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プロローグ

「お前、もういらねえから」


「えっ・・・」


パーティーリーダーのライトからダンジョン攻略途中に急にこう言われた。

頭が理解を拒絶する。嘘だと信じたかった。


「えっじゃねえよ。お前はもう足手まといなんだよ

雑魚が、何年待ってやったと思ってんだ。

3年だぞ、3年間も冒険者やってよレベルが1つも上がらないなんて普通あり得ねえだろ。」


そうだ。僕は3年間どんなモンスターを倒そうがレベルが上がることはなかった。

そのため周囲の人から無能、欠陥品などと言われていた。

そんな無能いらないと言われればそれまでだ。

僕がパーティーのお荷物なのは事実だし、荷物持ちぐらいしか仕事がないのだから。


「そうよ、あんたみたいなレベル0の雑魚がうちのパーティーにいたら、私たちの評価までさがっちゃうじゃない。わかったらさっさと消えちゃいなさいよ。

あんたが生きていける場所なんてどこにもないんだからさ」


彼女、セレヒスが言ったこともまた事実だ。

パーティー「疾風の剣」は急成長し、この大陸有数の有力パーティーになっている。

平均レベルは300ほどあり、一般冒険者の平均レベルが30〜50くらいと考えると圧倒的な数値である。

そして、レベル0の僕がパーティーの汚点となっていることも。


「なあコイツ俺が殺していいか、前からさこいつが

恐怖で泣き叫ぶ姿が見てみたかったんだよ。」


乱暴者で普段から僕を虐めていたガラトスが僕を舐め回すように見てくる。


「や、やめてください。お願いします、なんでもしますから。どうか命だけは」


「はははっ。いいんじゃねえの。もう使い道無いんだし、ダンジョン内で事故死なら誰も怪しまねえ」


「そういうと思ったぜ。良かったなぁクソ雑魚弱虫の

ゼアルくん。このガラトス様がぶち殺してやるよ!」


狂乱しながら大剣を掲げたガラトスが追いかけてくる。

絶望しかない。僕と彼のレベル差は300以上だ。

後ろの2人はニタニタと気色の悪い笑みを浮かべこちらを見ている。


「ちくしょう!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない」


恐怖で思考がまとまらない。

生存欲求が頭を支配する。とにかく走る。足を止めたら死ぬ。数十秒全力で走っているが、追いつかれる様子はない。

畜生、いつでも追いつけるからなのか僕を舐めているのだ。

疲れて動けなくなったところで殺す気なのだろう。

レベル1で一般人と能力が何ら変わらない僕が全速力で走り続けられる訳もなく、とうとう限界が来てしまった。

それによく見れば壁際まで追い込まれており絶体絶命の状況だ。


「おいおい、鬼ごっこはもうおわりか?ずいぶん早かったなあ」


ニタニタと笑いながらガラトスが近づいてくる。

恐怖から逃れたい一心で、乱雑に壁をまさぐる。

そんなことしたところで無駄だとわかっていても手を止めることができなかった。

遠くから下品な笑い声がこだましてきた。

振り返ると剣を振りかぶったガラトスと目があった。

死を想像した。

その時だった。急に壁が光り始めたのだ。


「な、なんだこれ!どうなってやがる!」


ガラトスの焦った声が聞こえる。

僕も何が起こっているのかわからない。

その光はだんだん強くなり、僕の体を包み込んで・・


しらない場所にいた。どうやらダンジョンの中ではあるようだ。

混乱しながらも周囲の状況を確認する。

見慣れない場所だ、もしかしたら下層の可能性もある。

上層の弱いモンスターならともかく、下層のモンスターなんて僕が出くわしたら、死は免れないだろう。

だが絶対絶命の状況をとりあえずは切り抜けることができた。

音を立てないようにガッツポーズをする。


それはそうとして、僕の手持ちには護身用のナイフしかない。

出来るだけモンスターから身を隠しつつ地上を目指さないといけない。

そのため、出来るだけ足音を立てないように慎重に移動する。

しばらく歩いていると、何が闘っているような振動が感じられた。

敵を知れるチャンスだ。震える足を押さえ付け、振動源に向かって歩き出した。

そっとそっと近づき、敵の様子を伺う。

薄々感じていたことではあるが、格が違う。

出てきた感想はそれだけだった。

巨大な禍々しい亀のようなモンスターと、これまた巨大な兎のようなモンスターが戦っている。

無理だ、勝てるわけがない。

奴らの戦闘は大陸でも上位に食い込むであろう元パーティメンバーの戦闘よりも格段に上だと思う。

だがどれくらい上かはわからない。

なにせ、速すぎて見えないのだ。しかも両者がぶつかった時の衝撃で地面や壁は大きな穴ができている。

こんな戦闘始めてみた。

僕はどれだけ下の階層にいるのだろうか。

絶望で目の前が真っ暗になる。

ここから地上まで何層あるのだろうか、

その場にへたり込んで泣きじゃくる。


「こんな事なら、冒険者になんてなるんじゃなかった、実家の農業ついで働いてればよかったんだ。

ちくしょう、ちくしょう。助けて父さん、母さん。もう我儘なんて言わないから。真面目に働くから、どうか僕の命を救って下さい。」


大粒の涙を流しながらそう叫んだ。

そのせいで怪物たちが僕の存在に気付いたようだ。

怪物はゆっくりと近づいてくる。

先ほどのように逃げ出した、追ってくる様子はあるが、その差が縮まっているとは感じない。

ガラトスの時と同じだ、また舐められている。

人だろうが怪物だろうが関係ない、弱者は虐げられ

搾取され忌避される運命にあるのだ。

必死に走っていると、人だけが入れそうな隙間があったのでそこに逃げ込む。

奴等の全長は少なく見積もっても7メートル近くはあるだろう。

それに対してこの隙間は高さ2メートルほどしかない、

奴らが入ってくるのは不可能だろう。

ホッと一息つく。

今日はつくづく悪運が強い。

生きのびたところで何か変わるわけでもないが。

一体ここからどう逃げればいいのだろうか。

考えるのはやめよう。とりあえずの安泰は得れた。

今日は疲れたしもう寝よう。

僕はいつのまにかぐっすり眠っていた。

作者の公星と申します。

公星と書いてハムスターと読みます。

ノリと勢いで書いてしまったので続けるかは未定です。

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