3R7
洞窟の中に突入した瞬間に辺りにいた他の人間が消滅、猫と妖精は居るが、プレイヤーは俺と頼人の2人だけが存在する世界に変化する。
ハミルトン領地を除けば初めてのダンジョン。
洞窟の中は真っ暗だと思ったが、天井の岩が青白く光っている為、結構ハッキリと道が見える。
「とりあえず進むか」
「そうだね」
迷っていても仕方ない、前に進んでいけばその内に敵モンスターでもボスモンスターでも出てくるだろう。
頼人も頷くと前に向かって歩き始める。
念のために俺は丸太トンファーを装備、頼人は黒い杖を装備して2メートル後ろを、警戒しながら歩くフォーメーションだ。
歩き始めてから暫くは真っ直ぐだった洞窟は、時間が経つに連れて右に左に複雑になっていく。
それから3分位だろうか?
1本道だった進路に初めての分かれ道が現れた。
「冒険してる感じがワクワクしますね」
肩に乗ってる妖精の小さな呟きをスルーしながら頼人が追いつくのを待つ。
「どうす……る?」
後ろを振り返った瞬間に襲ってくる笑いたい衝動を必死に抑えながらの問いかけ。
「左手の法則でも使ってみるかい?」
杖を持ってない方の手をヒラヒラさせながら答えてくれる頼人の頭には黒猫が引っ付いていた。
彼に見えないのを良いことに頭の上で寛ぐ黒猫は前足で頭をかいたりゴロゴロしている。
「ヒントも何も無いし、まおさんに任せるよ」
余裕、そんな感じの立ち振る舞いも猫が頭にいる状態では格好がつかない。
「とりあえず左行くか」
答えのない選択肢に迷っても時間の無駄だ、特に深く考えずに決めた俺は前を向いて歩き始める。
「了解だよ」
少し遅れて距離を取りながら後ろをついてくる頼人。
今までよりも暗い1本道を警戒しながら進んでいく。
それから数分後、目の前には同じような分かれ道が現れる。
「左手の法則継続で良いのか?」
なんとなく見覚えのある分かれ道に嫌な予感を感じながらも追い付いてきた頼人に質問する。
「うん、もう1回左に進んでみようか」
同じ事を考えているのだろう、答えを返す声にいつもの元気はない。
それでも検証は大切だ、もう1度同じ陣形をとりながら左の道へ進んでいく。
道中後ろで何かが落ちる音が聞こえたが、それ以外に変わりはなく、やはり同じような分かれ道に帰ってきてしまった。
「右に行ってみようか」
頼人からの提案に頷いて返しながら右の道へ歩いていく。
「マッピングとかしたら楽しそうですね」
肩に乗る妖精がさっきよりも強い光を放つ上の岩を見ながら呟く。
「そうだな」
距離をとって歩く頼人には聞こえないように賛同する。
しかし流石はゲームの中、入り口付近の岩の輝きから青さが薄れて透明度の増した光は凄く綺麗だ。
そんな景色に見惚れながら進んでいたら、もう1度分かれ道に遭遇する。
とはいえさっきと違うのは2点。
洞窟内の明るさと分岐の数。
「さて、これはどうしようか……」
同じ光景を見たであろう頼人が頭を掻きながら感想を口にする。
ちなみに頭を掻くために左手を上げた瞬間に黒猫がビクッと体を震わせていた。
「さて、どうするか」
目の前にある12本の道を見ながら考える。
時間制限等はない以上、1つずつ試せばいつかはゴール出来るのだろうが、それは最終手段だ。
「ちょっと実験するね」
まおさんはそこで待っていて、そう言い残した青髪は猫を連れて1番左端の通路へと進んでいく。




