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CM2


 技術的介入を開始します

 精神的介入を開始します


 出勤時間ピッタリにマシンを起動した俺の耳に、何度か聞いた機会的な声が入ってくる。


「The 2nd worldへようこそ」


 宇宙の中で浮いている感覚。

 真っ暗なのに、ずっと先まで見渡すことが出来る不思議な世界。

 目の前に広がる景色は、ついこの前見たばかりなのに、酷く懐かしく感じる。


 そして自分と同じ姿をした影のような者。


 確か、あの時はこの後……


 そこまで思い出した時、影の後ろから 黒と赤が飛んでくるのが見えた。


 近付くにつれて輪郭がハッキリとしてくる。

 黒い光は黄色と青のオッドアイが特徴な黒猫に、赤い光は白い羽に金髪の見知った妖精に。


「2回目ですね」


 微笑みながら肩に座る妖精が優しい音で呟く。


「シャル よろしく 裕二」


 暗闇の中で浮いている、というよりも空中に立っている黒猫が一定のリズムで口を開いた。


「よろしく」


 そう返した俺は遠藤さんに説明を求めるが、彼女は困ったような顔をして小さく答える。


「あれ? 学さんから説明があった筈なんですが……」


 その言葉だけでなんとなく察する事が出来た。

 あ、い、つ、め……

 

 肩の上で、メール来たのにぃ、と呟きながら慌ててる妖精を尻目に黒猫の尻尾が影に触れる。


「設定 終了済 by学」


 いつもより、ほんの少しだけ高いシャルの声が、鼓膜を揺らすのと同じタイミングで影に色がついていく。


 暗い髪は黒い髪に変わり、肌も、服も、メガネも、全てが変化する。


 間違いない、これは俺だ……


 それを見て冷静になれたのか、深呼吸をした妖精がいつもの調子で喋り始めた。


「裕二さんの今回のお仕事はプレイヤーとしてイベントに参加する事です」


 まぁ、なんとなくそんな気はしていたが……


 その後も遠藤さんの説明は続く。


 運営側に所属しているものの、特殊な知識を持っていない俺ならば公平性を保ちつつイベントに参加出来る、とリーダー含め何人かのメンバーが判断したらしい。


 また、今後も定期的に開催するにあたり、不具合や役職による大きな優遇や不遇が無いかを調査する為にシャルと遠藤さんが一緒についてくるみたいだ。


 2人は他のプレイヤーには見えない、触れられない設定になっているので、喋る時だけ気をつけて欲しいと頼まれた。


 本来なら今からお楽しみのキャラクターメイキングだった筈なのだが、黒猫曰く、すでに学が作っているらしい……


 確認したアバターのステータスが俺好みだったのが尚更腹が立つ。

 

 えんの まお レベル1

 体術使い

 HP50/50

 攻撃25

 防御5

 速度20

 技術0

 魔力0

 自由ポイント0

 スキル

 体術(1)

 


 ご丁寧に自由ポイントまで振り分けてある。

 申し訳なさそうな顔をした妖精が、作り直しますか? と聞いてきたがそれは断る事にした。


 本当にムカつくが、俺が1からキャラクターを作ってもこれと全く同じアバターが出来上がるだろう。


 対人戦、レベルが自分よりも上の相手に勝つ為には攻撃力は必須だ。

 相手に攻撃が通らなければ勝てる可能性すら生まれない。


 そんなのクソゲーだ。


 そう思う人もいるかも知れないが、対戦相手が所持ポイントで決まる以上、絶対に勝てない、絶対に負けない、そうゆうマッチングもあり得るだろう。


 理不尽かも知れないが、お互いのゲームに賭けた努力の全てを使って勝敗を決める。


 だからこそ面白い

 俺はそう思う。

 

 今からゲームを始める人間が本戦に行けるほど甘くはないだろうが、それでもやるからには上を目指したい。


 それに有利な点が全くないわけではない。

 確かに特別な知識は無いが、俺は最初からPvP用にステータスを調整する事が出来る。


 これが正解かどうかはわからないが、個人的に攻撃、速度を上げていくのが俺のプレイスタイル的にも、格上を倒すのにも最適だと思う。


 ついでに今回の歩合給は最終的に持っていた所持金の10%らしい。


 最初に所持しているアイテムも、レベルアップに必要な経験値も、倒したモンスターからのドロップも、全てが他のプレイヤーと同じ条件でスタート出来るようだ。

 

 元々このゲームで遊びたかったので、実は少し楽しみだったりする。


 それからいくつかの注意点や、軽いチュートリアルを行った後に俺達は遊ぶ側としてゲームの世界に入って行く。

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