これが魔王のレベ上げだ?4
この先、死霊騎士ハミルトン領地
道の途中で見つけた看板に赤い文字で書かれていた。
ボロボロの木の看板に目の前に見える村、
これは間違いなく何かのイベント示唆だ。
あれからスライム二匹とウサギ三匹を倒したがレベルは上がっていない。
ちなみにウサギは見た目以外は全然可愛くなかった。
どいつもこいつも悪口と共に弾丸見たく突っ込んでくる。
どちらも一度倒してしまえば後は簡単だった。
スライムは跳ねるだけだし、
ウサギも突っ込んでくるだけだ。
残念ながらこの二種類以外のモンスターとはまだ遭遇してない。
レベルについてだが、
学曰く、魔王がそんなに簡単に強くなったら誰も勝てなくなっちゃうじゃん!
そうゆう理由で一定以上からは上がりにくくなるらしい。
その通りだとは思うが、ある程度レベル差があるモンスターを倒してこれだ。
先が長そうだなと少し鬱になる。
とはいえまだまだ歩き始めたばかりだ、まだここは序盤のはず、
「ハミルトン領地へようこそ」
色々考えている内に村の入り口に着いていた。
遠藤さんが木で作られたアーチに書いてある言葉を読んでくれる。
「さっきの看板にも書いてあったな」
赤い文字を思い出しながら、
中に入ろうとすると突然目の前に警告が出て来る。
※この先ハミルトン領地 推奨レベル ソロ70 パーティ35※
「これは辞めといたほうがいいか?」
これが現在の最高難度のダンジョンか……
俺は目の前の数字に驚きつつ2人に相談する。
「裕くんならいけるよー」
緑の方が適当に答える。
「そうですね、たとえ負けたとしても大丈夫ですし挑戦してみても問題無いと思います」
金髪の妖精が真面目に答える。
「そういえばデスペナとかってあるのか?」
1番嫌なのがレベルや経験値が無くなることだ。
そんなリスクを承知で無茶をするのは勿体ない。
それによって挑戦するか決めよう。
「所持金が半分になる事とダンジョンで死んだ場合はそこで手に入れたアイテムを失うだけだよー」
ね、何の問題もないでしょ?
早く行こうよーと騒ぐ小学1年生。
なるほど、何かアイテムを拾ったわけでもなく所持金も始めたばかりで少ない俺には関係ないか。
いや、現金と交換出来る以上結構重いデスペナなのか?
「裕くんも難しい事に挑戦するの大好きでしょ?」
羽と同じ緑の瞳が心を見透かすようにこちらを見つめる。
あぁ、俺はゲームが好きだ
普段は死んでる頭が生き生きする
現実では難しい事に挑戦なんて出来ない
時間をかけて何かを成すような強さもないし
本当に出来るか分からない事にどうしても一生懸命になれない
だがゲームは違う。
レベルは頑張った分だけ上がるし、
反射神経も運動神経もいいわけではないが躱す、攻撃する、防御する等のプレイヤースキルだってやる度に上昇するのが体感でわかる。
そして最高難度という魂を煽る言葉。
心が熱くなる、頭が働く、テンションが上がっていく。
ただ生きている毎日の中で本当に生きていると感じられる瞬間だ。
失う物は無いに等しい。
ならばもう迷う必要はない。
俺達は当然のように村に侵入する。