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第5話

 後半はほぼ説明回です。ただ世界観をある程度確立するためには必要だと思うのでお付き合い頂きたく。

 リーナの家に戻るとヘルダが、おかえり−と声をかけてくれた。そういえばこの数年間、おかえりと言われたことはなかったかもしれない。そんなちょっとした感慨に耽っていると、どうやら昼食の準備をしていてくれたらしく、さっさと奥の部屋で着替たらご飯を食べながら色々と話をするよ、と奥の部屋でアッシュからもらった服に着替えるように促された。


 奥の−リーナの部屋に行き、早速もらった服の一つに着替えると、案の定色々とサイズが合わない。それはそうだろう。190cm近くありそうな筋骨隆々なアッシュに対し修司は、日本人の平均身長よりか少し高いくらいの175cmの普通体型なのだから。見た感じとしては、今後成長するからと、大きめな制服を買うことになる中学1年生男子のような具合である。


 リーナとヘルダの待つ部屋へと戻ると、ヘルダには軽く吹き出すように笑われ、リーナは後で全部サイズ直しますから、とフォローされてしまった。


 そんなこんなで席に着くと、目の前にはシチューのようなスープと少しばかり固そうな丸いパンが用意されていた。

 誰かが作ってくれたご飯を食べるのは久しぶりだな−。この数年、ご飯といえばコンビニ弁当かパン、大手牛丼チェーン店などがほとんどで、誰かの手料理と言われるものを食べた記憶がない。そんなことを考えていると無意識のうちに−特段習慣づいていたわけでもなく−手を合わせ、”いただきます”と口にしていた。


 そんな様子のシュージを見て、ヘルダは、

 「それはお前さんのいた世界の食前のお祈りかなにかかい?」

 と尋ねてきた。


 「ん、あぁ、いえ、お祈り・・・というのとはちょっと違うんですけど、確か、そのご飯となった生命、作ってくれた人への感謝とか、そういうのを一括りにして頂く、だから食べる前に手を合わせて”いただきます”っていうことだったと思います。・・・普段はそんなこともあまり気にしてなかったんですけど、だれかが自分のために作ってくれたご飯、そんな風に考えていたら自然と出てしまって。」


 気恥ずかしそうにそう答えるシュージに対し、そうかい−と、ただ一言頷くとそれ以上は何も言わず、目の前のご飯に手をつけ始めるヘルダだったが、その顔は散々からかってきた時のようなニヤついた笑顔ではなく、慈愛に満ちた優しい笑顔だった。


 しばらくは特筆するような会話もなく食事を続け、あらかた食べ終わった頃に、ヘルダはシュージへと話しかける。


 「さて、それじゃぁ今後どうするか考える前に、ある程度この世界について教えておくとするかね。この世界のことがわからなきゃ、今後どうすればいいか、はたまたどうしたいかの判断もつかないだろう?」


 ヘルダの言う通り修司はこの世界のことを何も知らない。なので修司は頭を下げ、ヘルダにこの世界について教えてもらうこととした。


 まず、この”捨てられた村”がある大陸の名前はアイシア大陸というらしい。そして現在、アイシア大陸には7つの主だった国があるとのこと。


 一つはリーナやヘルダの祖国であるエルフの国アルカナム。エルフの長老会を中心とした国で、エルフ至上主義とまではいかないが、プライドが高く、特に多種族との混血−つまりリーナのようなハーフエルフ−は穢れた血と言って、蔑みの対象になっている。


 次に、ドワーフの国であるバルドリック連邦。−そう、やはりファンタジーものよろしくこの世界にもドワーフがいるのである。そしてそのイメージ通りこのバルドリック連邦は、工業国としてはこのアイシア大陸では一つ抜きん出た国であり、案の定エルフの国とは仲が悪いとのこと。


 他には”ヒューマン”を中心とした国が4つほどある。−ちなみに”ヒューマン”とは、いわゆる普通の人間−ヒューマンの中にはエルフやドワーフを”()()ヒューマン”と呼ぶ者もいる−であり、これら3種族をまとめて”ヒト種”と呼んでいる。

 ヒューマンを中心とした国家としては、アルント王国、ボリス帝国、神聖法王国ルチオ、商業都市国家ベントゥーラがある。ヒューマン中心の国家とはいえ、アルント王国やボリス帝国、商業都市国家ベントゥーラにはエルフやドワーフなどもそれなりにおり、どちらかといえば”ヒト種の国家”と言える。

 また、商業都市国家弁トゥーラは、その名の通り一つの都市だけからなる国ではあるものの、工業国のバルドリック連邦、アルント王国、ボリス帝国の三ヶ国に接するという地の利を活かし、都市国家ながらその経済規模は先に挙げた国々と同等、下手をするとそれ以上といった国なのである。

 そしてヒューマンを中心とした国の中でも、”ヒューマン至上主義”を掲げているのが神聖法王国ルチオである。ヒューマン至上主義を掲げている国ではあるが、そこの住民全てがそうというわけではなく、どちらかというと一部の権力者が掲げているだけというのが実情に近いかもしれない。とはいえヒューマン至上主義を掲げていることもあり、そこに住まうのはほとんどがヒューマンのみである。


 −以上が”ヒト種”の主だった国である。ヘルダの話では、現在このアイシア大陸には7つの主だった国があるとのことだった。では、最後の一ヶ国とは?

 そう修司は尋ねると、ヘルダは少しの間を置き、こう告げた。


 −魔族の国だよ。

 次話の前半も説明回になりますが、ある種の予告?ではないですが、次の話ではファンタジーものにつきものの”あれ”が出てきます。(あらすじ部分でも書いていますが過剰・インフレは回避する方向ですが)

 また、今回様々な国の説明をさせて頂きましたが、規模や細かな位置関係をあえて省いています。現時点で手書きではあるもの、大陸の地図らしきものはあるのですが、1章ではそこまで他国は関係なく、物語を書き進めていくうちに登場させたい国や場所といったものが増えるかもしれないので。

 もしくは現時点のものを出して、新しく出したいものが増えたら適宜過去に戻って修正する、というようなやり方もあるとは思いますが、1章の間はこのままでいかせてください。

 引き続き楽しんで読んでもらえれば幸いです。

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