第15話
本日少し短めですm(_ _)m
「イグナーツ山脈の麓辺りって、本当に村外れの方じゃないかい。なんでまたそんなところにするんだい?」
イグナーツ山脈の麓辺り−その周囲にはまだほとんど誰も住んでいない。というのも、そこから採れるものがほとんどないため、今までは平野部の中心から若干北の森寄りへと徐々に村が広がっていたからである。とは言え、北の森に近寄りすぎるのは危険なため、ある程度は山脈側へとも広がっていたし、最近では、件のドワーフ達が山脈のすぐ近くに住むようになったが。
そのため、てっきり農作業なりを仕事にするだろうと考えていたヘルダからすると、思ってもいなかった場所であったため、疑問に思ったのだった。
「あ、と言っても、できれば少し調べて見たいことがあるので、それ次第でイグナーツ山脈の麓にするか、それかもう少し村の中ほどにするかを決めたいんです。」
「だから一体なにを調べるっていうんだい?」
そう問われた修司は、少しバツが悪そうにしながらもヘルダに答える。
「実は・・・お風呂をどうにか作れないか、と思っていまして。」
「お風呂?風呂っていうとあれかい。大きな桶みたいのにお湯を張って入るやつだろう?・・・言っちゃぁなんだけど、それはちょっと難しいんじゃないかい?それに、そんなものなくても別に困りゃぁしないだろう?」
お風呂をどうにか作れないか−そう聞いたヘルダは少し呆れながらこのように修司に言ったのだが、まさか修司に火を点ける結果になるとは思ってもいなかった。
「いえいえいえ、ヘルダさん、ちょっと待ってください。お風呂というのは非常に有用なものなんですよ!そうですね、この際なのでしっかりと説明させていただきますのでちょっとそこに座ってください。いいですか?まず、人の体は温かくなることで血管が広がって新陳代謝が高まる−つまり体内の不要物が体外へと排出されるのです!例えばですが、畑作業などを行うと当然ながら筋肉を使用します。この際筋肉は使用すればするほど乳酸というものが蓄積されます。この乳酸こそが疲労物質なのですが、お風呂に入り新陳代謝が高まることで排出が可能!つまり疲れを取ることができるのです!他にも水圧効果というものがありまして−・・・(5分経過)・・・−それでは続いて浮力効果について説明させて頂きますが−・・・(10分経過)・・・−というように簡単に説明しても以上の三つの効果により非常に健康にとっていかにお風呂が有用かご理解いただけたかと思います。加えてお風呂には美容効果もありまして−。」
「わ−わかった。わかったから。お風呂が体に良いことはわかったから。」
お風呂大好き民族である日本人に対してお風呂をないがしろにするような発言をしたヘルダは、二度とシュージの前でお風呂をないがしろにするようなことは言うまいと心に誓った瞬間だった。
そんなヘルダの反応を見て修司は、正直まだまだ説明したりないところではあったが、いつの間にやらリーナがテーブルに突っ伏して寝ているところを見て、いささか長く話すぎたか−とほんの少しだけ反省したのだった。
そうして二人が少し落ち着いたところで、
「お風呂が体に良いことはわかったけど、現実的に考えて、その・・・ほら、ちょっとばかり難しいんじゃないかい?お風呂に入るためには当然湯を沸かさなきゃいけないだろ?そのためにはたくさんの薪が必要になるけど、そこまで大量の薪が余ってる状態でもないからねぇ。」
と、恐る恐るシュージに言う。
それに対して修司は、
「あ、はい。その点は理解しているつもりです。自分もそこまで我儘をいうつもりはありませんので。可能なら入りたい−くらいの気持ちなので。」
という修司の言い分を聞いたヘルダだが、先ほどの説明をされた身からして、とてもではないが信じられないという気持ちでシュージを見る。
そんなヘルダに対して、
「まぁ、だからこそ一度イグナーツ山脈を調べてみてから麓に住むかどうかを決めたいんですよね。」
と、そもそもの話題へと立ち返る。
「以前、リーナにこの周辺のことを聞いた時に、イグナーツ山脈で腐った卵みたいな匂いのする場所の近くに危ない場所があるから近づかないように−と言われたのですが、もしかしたらその近くに温泉があるんじゃないかと思いまして。」




