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第14話

本日の本文の最後に、現段階での”アイシア大陸”の地図を載せることにしました。

 「それで、今後どうするのかはそろそろ考えたかい?」


 魔法の練習を終え、少しくつろいでいるとヘルダにそう言われた。


 修司は一瞬、なんのことを言われているのかわからずキョトンとしてしまう。

 そんな修司を見てヘルダは半ば呆れたように溜息をつきながら、


 「この村に残るか、それともこの村を出て他の街なり国へ行って暮らすのか、元いた世界への戻り方を探して旅をするのかとかについてだよ。」


 そう言われて初めて、そういえばこの村でやっていこうと思ったことをまだ伝えていなかったことを思い出した。

 しかし、改めてヘルダから選択肢を示されて”疑問に思った”ことがある。それは選択肢の中に”この村を出る”というものがある点である。というのも、リーナとの勉強において主要な国がどの辺りにあるのかということを学ぶついでに、この村がどこにあるのかも教えてもらっていたからである。


 この捨てられた村は、北の森を縦断する大山脈である”イグナーツ山脈”と北の森の間にあるわずかな平野部にある。つまり、周りを魔物の巣窟である北の森と3000〜6000m級の山々が連なる大山脈に完全に囲まれているのである。加えるなら、北の森ではなぜかコンパスは効かず、イグナーツ山脈を越えることができてもその先にはまた北の森が広がっている。

 要するにこの村を出るのであれば、そこにはほぼ確実に”死”が待っているのである。それなのにヘルダの口ぶりから、他の街や国へと行けると言っているように聞こえる。


 その疑問をヘルダにぶつけてみると、


 「あー、確かに前まではそうだったんだけどねぇ。」


 と、なにやら複雑な表情で若干笑いながら話を続ける。


 「今はちょうど出かけちまってたからお前さんはまだ会ったことがないけど、この村には”変わり者のドワーフ”が3人いるのさ。この3人っていうのが元々ドワーフの国であるバルドリック連邦内でも有数のドワーフだったらしいんだけどね、なんでも新しい鉱石を求めて国を飛び出してイグナーツ山脈を3人で探索してたらしいんだよ。そしたらたまたま小さな洞窟を見つけて、奥まで行って軽く掘り進めたらこっち側に出ちまったんだと。それでその洞窟ってのが、この村から歩いて3日ほどのとこにあるのさ。その洞窟を使えば比較的安全にこの村を出ることはできるのさ。当然そこから最寄りの村や街までの間に一切の危険がないわけじゃないが、北の森に比べたら−ね。だから出ようと思えばこの村は出れるし、その時は多分だろうけどアッシュとか誰か腕の立つ奴が何人か付いて行ってやることになるはずさね。」


そう説明を受けて、納得した修司。要はそのドワーフ達のおかげ?−でこの村を出ることも一応可能になったということだろう。しかしながら、そうした説明を受けても修司の気持ちは変わらなかった−というよりも一層この村でなにかしら役にたちたいという思いが強くなった。


 「色々と考えましたが、この村に残りたいと思います。それにわざわざ自分を送るためだけに、アッシュさんや他の人たちに迷惑をかけるわけにもいきませんから。」


 −素直にこの村で恩返ししたいとは言えず、表面上の理由を言う修司だった。


 それに対しヘルダは、

 「ふーん。・・・まぁ、良いさね。」

 と、なにやら思わせぶりというか、正直こちらの内心を見透かされているのではないかと思わせる表情でそう言うだけであった。


 「まぁ、そうと決まれば、これからもよろしく頼むよ。」


 「はい。こちらこそよろしくお願いします。」


 −これはアッシュさん達にも改めて挨拶しておいたほうが良さそうだな−


 そんなことを考えていると−


 「そうしたら次はお前さんの家をどうするかだね。希望の場所があればアッシュなんかと相談して、問題がないようだったら大体の間取りなんかを決めて、ドワーフの連中が帰ってきたら家の簡単な設計図を引いてもらったら力のある連中で造らないとね。」


 確かに、この村に住むと決めたのならいつまでもこの家に間借りするわけにはいかない。それに本格的にどんな仕事をしていくのか。恐らくは、最初は手伝ってもらうことになるだろうが、自分の畑を持つことになるだろうな−とこれまで一週間ほどではあるが働いてみて思うのだった。


 −それにしても、マイホームか。元いた世界ではまだまだマイホームを持つだなんて想像もしてなかったな。けどそうなるとあまり無茶は言えないけど、ちょっとこだわりたいよなぁ。特にやっぱり、”あれ”が欲しいよなぁ−


 修司の言う”あれ”とは、もちろん


 ”風呂”


 である。


 当然ながらこの世界にも一応風呂というものは存在するらしいが、大量の薪などが必要になることや、そもそもそうした習慣があまりないことから一般的ではない。この村で風呂に入るとすれば、やはり大量の薪を用いるため、そんな贅沢など行えるはずもない。


 しかし、修司には一つだけ考えがあった。


 「それで、どの辺に住みたいとかっていうのはあるのかい?」


 そう聞かれた修司は、


 「はい。少し村外れになりますが、”イグナーツ山脈の麓”辺りが良いかな、と考えています。」


挿絵(By みてみん)

以前、地図に関してはしばらく載せない旨を書いていたと思いますが、やはり色々と想像が付きにくい(特に私の表現力のなさのせいで)部分もあるかと思いましたので、現段階でのものを載せることとしました。(本当は、数日前にネットで地図作成サイトのようなものを見つけて作ってみたものを見て欲しかった・・・なんてことはないはずです。)

首都の位置とか川や湖は割と適当に描いているので、物語が”捨てられた村”から外へと広がる際に、随時修正される可能性が多分にあります。

 また、作中ではまだ触れておりませんが、大陸の大きさとしては、アメリカ合衆国(北アメリカ大陸でなく)とほぼ同じ大きさを想定しています。(これも後々変わる恐れあり)

 そうした点をご了承頂ければなと思っております。


 引き続き楽しんでもらえるよう頑張りますので、よろしくお願いします。

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