第捌話
【こころ龍之介】
「じゃあ、ハルナ、自己紹介よろしく」
【ハルナ】
「あんまりしたないけど、しゃーない。シズクと同んなじキャバで働いてます、ハルナこと燕澤ハルナです。河内生まれの河内育ち。瑠奈は親戚になります。先生、こんなモンでエエ?」
【ベス】
「さすが瑠奈の親戚だけあって、よく似てらっしゃいますね」
【ハルナ】
「よー、言われます。性格、全く逆やけど」
【ベス】
「ちなみに、今日はどうして遅れたんですか?」
【ハルナ】
「いつもの事やがな。シズクがヘタレのキャッチに捕まって、ウチが引っかけ橋まで迎えに行って、一悶着」
【ベス】
「上手い事、抜け出しましたねー」
【ハルナ】
「うん、シバきあげたから」
【ベス】
「へっ?」
【ハルナ】
「だーかーら、シバいた」
【ベス】
「話合いとかは・・・」
【ハルナ】
「無理!シバくのが1番!」
【ベス】
「ははっ、そうなんだ」
ベス、顔が引き攣っている。
こころ龍之介、見兼ねて割って入る。
【こころ龍之介】
「ベス、ちょっと外してくれる?」
【ベス】
「了解りました」
【こころ龍之介】
「キミらが、しょーもないキャッチをシバき倒したんは理解った。つか、ハルナ、馬脚を表したね」
こころ龍之介、ニヤリと笑う。
【ハルナ】
「え?」
【こころ龍之介】
「遅刻はこちらの手違いかと思って、同伴を許可したが、今の話でこちらに落ち度はない。よって、同伴は無しだ!」
こころ龍之介、自信顔でフフンと笑う。
【ハルナ&シズク】
「え”ーっ、同伴ポイントがぁー」
【こころ龍之介】
「諦めたまえ」
ハルナ、キレる。
【ハルナ】
「先生、そんな事言ってエエの?あの事、ここでバラしてもかまへんの?」
【こころ龍之介】
「へっ?」
【ハルナ】
「シズク、話してエエらしいわ」
【シズク】
「えー、いいんだ。あの事話しても、勇気あるなぁ」
【こころ龍之介】
「へっ?」
こころ龍之介、どの事だろうか?と考える。
こころ龍之介、雰囲気的にヤバいかもと思いだす。
【ハルナ】
「皆さーん、このこころ龍之介は・・・」
こころ龍之介、ハルナの口を塞ぎ、囁く。
【こころ龍之介】
「わかった。それ以上言うな。同伴するから・・・」
会場、なんだなんだと騒ぎ始める。
ハルナ、目がキランと光る。
【ハルナ】
「先生、とりあえず詫び入れて貰おか?」
【こころ龍之介】
「すまなかった・・・」
【ハルナ】
「ゴメンなさい、は?」
【こころ龍之介】
「ゴ、ゴメンなさい・・・」
【ハルナ】
「とりあえず、先生が思ってるヤバい事、今度、同伴の前に話して貰おか?」
こころ龍之介、気付く。
【こころ龍之介】
「あーっ。し、しまった、謀られた・・・」
【ハルナ】
「じゃ、先生、同伴よろしく~。ウチ、“ハゲ天”の天ぷらがいいなぁ~。なっ、シズク?」
【シズク】
「だねぇ、天ぷら、美味しいだろうねぇ」
【ハルナ】
「男に二言は無いんやで、先生」
【こころ龍之介】
「む、ぐぅ・・・」
【ハルナ】
「ところで先生、ウチらお腹空いた。何か食べるモンあれへんのん?」
【シズク】
「だね、お腹空いたよねー」
こころ龍之介、ため息を吐く。
こころ龍之介、鉄心を呼ぶ。
【こころ龍之介】
「鉄心さん、この2人に造って貰ってるの出してあげて」
【鉄心】
「いいんですか?俺は、喜んで喰ってくれるんなら、かまやしねぇが・・・」
【こころ龍之介】
「頼むわ、例の総マグロ重」
【鉄心】
「嬢ちゃん達、こっちおいで。おっちゃんが、美味いの食べさしたるから」
【ハルナ&シズク】
『はーい』
ハルナ&シズク、納得したのかステージを下りる。
【こころ龍之介】
「やれやれ・・・」
【ベス】
「先生、お疲れ様でした。噂には聞いていましたが、迫力ありますねぇ。」
【こころ龍之介】
「ハルナは基本、ツンデレ属性あるからねぇ・・・」
【ベス】
「それはそうと、何ですか?さっきの総マグロ重ってのは?」
【こころ龍之介】
「ああ、アレ?この後でする予定だった大抽選会の景品の1つ。まぁ、1コ位無くなっても大丈夫だろ」
【ベス】
「えー、私、狙ってたのに。酷い・・・」
ベス、泣きそう。
こころ龍之介、慌てる。
【こころ龍之介】
「分かった。ベス、今度、勝浦、一緒に行こう。存分に食ったらエエがな」
【ベス】
「先生そう言って、女の子騙して、遊んでるんでしょ。酷い・・・人の心弄んで・・・」
【こころ龍之介】
「あー、もう、分かった、分かった。“はねくみ”全員で行こう。コレでエエか?」
ベス、ニッコリ笑う。
“はねくみ”、温泉とマグロだぁーと盛りあがる。
【ベス】
「だったら許してあげます」
【こころ龍之介】
「ナンボかかるんやろ・・・」
【ベス】
「かわいい女の子7人も連れていくんだから、文句言わないの、先生」
会場の男の一部、俺たちも行きてぇーと騒ぐ。
【こころ龍之介】
「ミツル、ジョージ。お前らは、ぜってー連れて行かねー。てめーら稼いでんだから、てめーらで行きやがれ!」
ジョージ、ミツルにお前のせいだと鉄拳制裁。
こころ龍之介、深くため息を吐くと、思い直す。
【こころ龍之介】
「さて皆さん、最後の最後にスペシャルゲストの登場です。今から18年前の今日、この場所にある人物が来ていまして、私、こころ龍之介が時間軸を越えて召喚します。現れましたら、盛大なる拍手でお願いします」
会場、なんだか解らないが凄そうだ。と、ざわつく。
こころ龍之介、ADが用意したステージの真ん中に箱を指差した。
箱がガタガタ動き、扉が開いた。
光が箱の中から零れ、人影登場。