第参話
【ベス】
「大変お待たせしました。今からヨーロッパは、クインシア王国よりお越しの“マルスの盾”の皆さまに、お話を聞きたいと思いまーす」
“マルスの盾”一同、ダァーと返事。
【ベス】
「ちなみに、本日、こちらの会場で飾り付けられております色とりどりの鮮やかなバラの花3万本は、クインシア王家のご厚意によりまして、全て薔薇の都ローゼンヌより空輸したものでございます」
一同、それでバラが~、と感動。
【ベス】
「更に、本日ご来賓の皆さまに、こちらのバラをお1人様、100本の花束を作りましてお持ち帰り頂きまーす。」
一同、なんかスゲー、と更に感動。
【ベス】
「それでは、まずは“マルスの盾”のリーダーと言えば、この人!ガブリエラさんです」
一同、拍手。
【ガブリエラ】
「本日はお招き頂き、まことに感謝致します。クインシア王国ヨシュア王に代わりまして、御礼申し上げます。私は“マルスの盾”に所属しております、ガブリエラ・K=タイラーです。今回のミッションの隊長務めております。それから、極たまにですが、ヨーロッパでモデルの仕事もしています。どうぞ、お見知りおきを」
ガブリエラ、むちゃくちゃ流暢な日本語で話し、“ニッコリ”微笑む。
一同、へたすりゃ日本人より日本語が上手いと驚く。
【ベス】
「日本語、すっごく上手ですよね~?」
【ガブリエラ】
「あら、貴女もとても上手じゃない」
【ベス】
「私は5才から神戸ですから~。ガブリエラさんも日本に住まれた事は有るんですか?」
【ガブリエラ】
「いいえ、住むどころか、今回が初めての訪日ですわ」
【ミハエル】
「姉上は、“姫さま”の為だけに、日本語を覚えたのさ。“姫さま”命だもんね。あっ、インタビューの途中すまない。僕はミハエル・M=タイラー。ガブリエラの弟です。姉上が全権大使なのに対し、僕はいろんな窓口をしています」
【ベス】
「ミハエルさんも、お姉さまに劣らず流暢ですね~?」
【ミハエル】
「僕は仕事で海外飛び回ってるからねー。全部で10カ国語以上は話せるよ」
【ガブリエラ】
「あら、仕事以外にも、アナタの場合使うじゃない」
ガブリエラ、意地悪に微笑む。
【ベス】
「えっ、ひょっとして・・・。そのイケメンのルックス利用して、女の子口説きまくってるんですか?プレイボーイなんですか?」
【ミハエル】
「失礼だなぁ、確かに僕はプレイボーイだけど・・・。残念、女の子には基本興味がないんだ」
【ベス】
「えっ、それって・・・、男が好きって事ですか・・・?こんなにイケメンなのに!ありえなーーい!!」
一部の男性、貞操の危機だーと尻を押さえる。
【ミハエル】
「大丈夫、安心したまえ。えっと、確かジョージ君だっけ?君みたいな人は圏外だ」
ジョージ、複雑な面持ちで微妙に凹む。
ミツル、何だか分からないが、大丈夫っすよと勇気づける。
【ミハエル】
「それから、ミツル君は、まぁ味見しだいかなぁ。後で僕の元へ来たまえ」
ミツル、固まった後、嫌だー、まだ童貞なのにー、と号泣。
【ガブリエラ】
「くすっ。それくらいにしといてあげたら?彼、本当に泣いているわ」
【ミハエル】
「あらあら、軽い冗談なのに・・・。僕が好きなのは、カールみたいなカワイイ男の子さ」
ミハエル、カールを引き寄せ、全員の面前で強引に唇を奪う。
“はねくみ”一同、リアル・ボーイズ・ラヴだぁーと騒ぐ。
ミハエル、カールを軽く突き放すと、会場を見回し、真を指差す。
【ミハエル】
「あと、そこのミスター・ヒョウザキみたいなヒトなら、抱かれてもいいかなぁ~」
真、いきなり話を振られ驚き、首をブンブン横に振る。
【ベス】
「驚きました。タチ、ネコ、両方いけるんですね。なんだか・・・、凄いです。ミハエルさん」
ミハエル、くくっと笑う。
【ベス】
「さて次は、キスされてたカール君です」
【カール】
「コンバンワ。カール=ウルム、デス。ゴメナサーイ、日本語、上手ク、アリマセン」
“はねくみ”一同、キャー!カワイイとはしゃぐ。
【ベス】
『英語は大丈夫ですか?』
【カール】
『日本語、ヨリハ・・・』
【ベス】
『昔からゲイだったの?』
【カール】
『昔ハ、“ガール”ガ好キダッタケド、今ハ“ミハエル”サマヲ、愛シテマス♡』
【ベス】
「えっと、ですねー。昔は女の子が良かったんだけども、今はミハエルさん一筋らしいですー。あまり突っ込むと、エライ話が出てきそうなので、次行きます」
ミハエル、更にくくっと笑う。
【ベス】
「お待たせしました。アンジェさんとエルザさんです」
【アンジェ】
「皆サン、コンバンワ。アンジェ=リューネブルク、デス」
【エルザ】
「コンバンワ。エルザ=コンスタンツ、デス。ワタシハ、ガブリエラ様ノ秘書シテマス」
【アンジェ】
「ワタシモ、デス」
【ベス】
「お二人とも、セクシーですよね。こんなのを、大人の色気って言うんでしょうねー」
【アンジェ&エルザ】
『アリガトウゴザイマース』
【ベス】
「エルザさん、噂ではグルメだとお聞きしましたが?」
【エルザ】
「ソンナコト、アリマセーン。普通デス」
【アンジェ】
「嘘ツキネー。サッキモ、鉄心サンニ、マグロノレクチャー、イロイロ聞イテタジャナイ」
【ベス】
「やっぱり・・・。エルザさん、白状しましょうか?食べるの大好きですよね?」
ベス、“ニヤリ”と笑う。
エルザ、赤面する。
【エルザ】
「実ハ・・・、食ベルノ・・・、大好キデス」
【ベス】
「私もです。食べるの大好きなんです」
エルザ、驚く。
ベス、右手を差し出し、エルザとガッチリ握手する。
【エルザ】
「本当ニ?」
【ベス】
「ええ。私達、いいお友達になれそうですねー。藍も食べるの好きなんですよー。ねっ?藍?今度、エルザさんも連れていこうねー!」
藍、“あいっ”と可愛く敬礼。
【ベス】
「アンジェさんも、一緒に行きましょうよー」
【アンジェ】
「イイノデスカ?」
【ベス】
「もちろん!ねっ?藍?」
藍、“あいっ”と再び敬礼、やっぱり可愛い。
こころ龍之介、三度乱入。
【こころ龍之介】
「ベス~。申し訳ないが、プライベート・トークは後にしてもらないかなぁ・・・。そこのナイスガイの2人組が、とっても退屈そうだ・・・」
【ベス】
「あっ、先生、ゴメンなさい」
こころ龍之介、頼むよと立ち去る。
ベス、アンジェとエルザに耳打ちする。
【ベス】
「最近仕入れた情報ですけど、大阪の交山市に美味しいお好み焼きの店が在るらしいんですよ。たしか、“和”って店です。詳しく話は、又、後で・・・」
【アンジェ&エルザ】
「O.K.」
アンジェとエルザ、ウィンクで応える。
【ベス】
「大変失礼しました。クインシアよりのナイスな使者、ヨハン&ロルフのお2人です」
一同、拍手。
ヨハンとロルフ、手を振る。
【ヨハン】
「ヨハン=エアフルト。パイロット、ヤッテマス。」
【ロルフ】
「僕ハ、ロルフ=ハレ、トイイマス。サブ・パイロットト、ガブリエラ様ノガードマンヤッテマス」
【ベス】
「しかし、ダンディですよねー。お2人とも」
【ヨハン&ロルフ】
「アリガト、ゴザイマース」
【ベス】
「あっ、そうそう。先程、ヨハンさんの奥様からインターネット回線を通じまして、ビデオメールが届いてます。あちらのモニターをご覧下さい」
ベス、モニターを指差す。
ブロンドの美人の画像が映った。
【ヨハン】
『母ちゃん!』
【マーサ】
『こんばんは、皆さま。そこにいるヨハンの妻のマーサです。うちのがいつもお世話になってます』
モニター上で瞬時に日本語表示が移し出される。
ヨハン、モニターを見続ける。
【ヨハン】
『母ちゃん・・・』
【マーサ】
『アンタ、ガブリエラ様の為に、しっかり働くんだよ。今日は特別に報告があるから、こうしてビデオメールさせてもらっているのさ』
【ヨハン】
『!?』
マーサ、頬を赤らめる。
【マーサ】
『アンタ、授かったんだよ。5人目が・・・』
【ヨハン】
『嘘っ、マジか?マジか!やったぁ!!』
“マルスの盾”一行、“ウオォー”と歓喜の声。
【マーサ】
『今度は、男の子だといいんだけど・・・。なるたけ早く帰ってきてね。アンタ、愛してるよ』
ビデオメールは切れた。
【ベス】
「えっ?何?何があったんです。ミハエルさん」
【ミハエル】
「いやぁ、非常にメデタイ。マーサさんが5人目を懐妊されたって、報告のビデオメールだったんですよ」
会場、ヨハンにおめでとうの嵐。
ヨハン、涙目。
【ヨハン】
『ありがてぇ。異国でこんなに祝って貰える俺は、なんて幸せモンなんだっ』
【ロルフ】
『よかったじゃないか、その分しっかり働かなきゃな。でも、その前に、とりあえず祝杯だ』
【ヨハン】
『隊長、給料上がりますかねぇ・・・?』
【ガブリエラ】
『おめでとう、ヨハン。申請はしといてあげるわ』
ガブリエラ、微笑む。
会場がザワついた。
藍が、お祝いのお金が入ったお盆を持ってくる。
【藍】
「ヨハンさん、裸で申し訳ないどすけど、会場のみんなからどす。受け取ったっておくれやす」
20万はありそうだ。
ヨハン、号泣。
ロルフ、肩を抱く。
【ガブリエラ】
「ヨハンが感動のあまり号泣しておりますので、ヨハン、マーサになり代わりまして、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます」
ガブリエラ、頭を下げる。
残りの“マルスの盾”、続いて頭を下げる。
会場、拍手喝采。
【ベス】
「いやー、おめでとうございます。こーゆーのを本当にサプライズって言うんでしょうね。では、次に行きたいと思います」
ベス、隼人鉄心と娘達に向かって歩きだす。