第拾壱話
【こころ龍之介】
「痛ぅーー」
桜子とハルナ、驚きステージへ駆け上がる。
【桜子】
「先生、お怪我は?」
【ハルナ】
「先生っ、大丈夫?」
【こころ龍之介】
「痛たたたたっ・・・」
こころ龍之介、桜子とハルナに起こされる。
こころ龍之介、頬っぺたを摩る。
頬にクッキリ、紅葉の跡。
天猫くらら、こころ龍之介を覗き込む。
【天猫くらら】
「リュウ君、大丈夫ぅ?」
【こころ龍之介】
「まぁ・・・、なんとか・・・。はははっ」
【ハルナ】
「ちょっと!ウチらの先生に何すんねんな!何モンなん?アンタ」
【桜子】
「いきなりビンタは、無いんじゃなくって?」
桜子とハルナ、天猫くららを睨みつける。
まさに、一触即発。
【天猫くらら】
「ふーん、リュウくん、彼女いるんだ。こんな可愛い子、しかも、2人も。そーいえば、昔っから、優柔不断で八方美人なトコあったもんね」
天猫くらら、こころ龍之介を睨む。
桜子とハルナ、彼女呼ばわりされ驚き、こころ龍之介を支える手を離す。
こころ龍之介、精神的ショックと、手を離された事により倒れる。
ドタっ。
【こころ龍之介】
「っ、痛っ」
桜子、真っ赤になって反論。
ハルナ、普通に反論。
【桜子】
「それは誤解よ。アタシは大好きな人が他にいます!」
【ハルナ】
「ウチも残念ながら、先生はタイプ違うわ。同伴してくれるから、ご飯付き合うだけやし~」
【桜子&ハルナ】
「まぁ、親みたいな者だから・・・」
こころ龍之介、立ち上がる。
こころ龍之介、桜子とハルナの本音を聞き、少し凹む。
【こころ龍之介】
「あーっ・・・、凹むなぁ。まぁ、そーゆー事で、キミが考えてるよりは、全然僕はモテないよ。くららちゃん」
【天猫くらら】
「ホントに?」
【こころ龍之介】
「あぁ」
天猫くらら、何だか安心すると、こころ龍之介をキッと睨む。
【天猫くらら】
「リュウくん、顔貸して」
【こころ龍之介】
「はぃ?」
【天猫くらら】
「いいから、顔」
こころ龍之介、妙な期待をして顔を差し出す。
【こころ龍之介】
「こ、こうでいいの?」
天猫くらら、真っ赤になって頷く。
【天猫くらら】
「目もつむってくれるかな・・・」
【こころ龍之介】
「マジで?いいけどさぁ・・・」
【天猫くらら】
「いいから、早くっ」
こころ龍之介、かなり期待しながら、目をつむる。
会場一同、ゴクリと期待。
天猫くらら、光速のスピードで間合いを詰める。
天猫くらら、左手で一閃。
バチ~~~ン!
気持ちいい位、よく響くビンタの音。
こころ龍之介、くるくるくるっと3回転半しながら吹っ飛び、尻餅をつく。
会場一同、呆気に取られる。
【こころ龍之介】
「へっ?」
こころ龍之介、状況が理解出来ていない。
こころ龍之介、今度は右の頬に紅葉の跡。
天猫くらら、つかつかっと、こころ龍之介に近付き、見下ろす。
天猫くらら、まだ顔は赤い。
【天猫くらら】
「もっとモテる為の努力くらいしろっ!アホっ!アタシが恥かくだろっ・・・」
【桜子】
「くららさん、それって、告・・・」
天猫くらら、首を振り桜子の言葉を遮る。
天猫くらら、顔はまだ赤い。
【天猫くらら】
「まぁ、貴女たちと同じで、親みたいな者だから・・・」
ハルナ、こころ龍之介を起こし、諭す。
【ハルナ】
「まぁ、先生、そんだけ期待されてるって事や、色んな意味で・・・。くくっ。ウチは、よー知らんけどな」
こころ龍之介、気を取り直す。
【こころ龍之介】
「はぁ。今日は厄日だ。丁度、いい機会だ。はねくみ全員ステージにおいで」
“はねくみ”、ばたばたとステージの上に。
【こころ】
「あちゃー、先生、両方のホッペに綺麗な紅葉ったいねー」
【藍】
「ホンマどすなぁ。よー似合ってますえ」
【こころ龍之介】
「このくららちゃんを中心として、みんな集まってご覧。瑠奈の代わりは親戚のハルナが入って、キミたちは良く似てるから」
“はねくみ”、天猫くららを中心に周りに立つ。
【こころ龍之介】
「何かに気付かないかい?」
【はねくみ一同&ハルナ】
「?」
藍とハルナ、感が鋭いので気付く。
【藍】
「先生、ウチ、気付きましたぇ」
【ハルナ】
「ウチも」
他の“はねくみ”、気付かない様子。
【こころ龍之介】
「言ってご覧。藍、ハルナ」
藍、敬礼すると説明しだす。
【藍】
「あいっ。ウチ、前から思ってたんどすけど、“はねくみ”って、どっか顔似てるなぁ、って。で、今日、くらら先輩?に会わせてもろて、確信しました」
【こころ龍之介】
「藍、くらら先輩って表現は正しいよ。じゃあ、続きは、ハルナ、頼む」
【ハルナ】
「しゃーないなぁ。特別やで、先生。全員の最大公約数の顔が、くららさんの顔になんねん。なんでなん、先生?全員のおかーちゃん?そんなワケあれへんわな?」
【こころ龍之介】
「ハルナ、そして、藍。よく気付いたね」
こころ龍之介、正面を向くと、ピンライトが当たる。
【こころ龍之介】
「ここに、この“禁断のくらら”シリーズの最大級の謎の1つがあります。“天猫くらら”と“はねくみ”の関係とは?これが解決される為には、まだまだ本編に出てきていないピースが必要です。これは読者さまへの挑戦状にはしませんが、考えてみて下さい」
こころ龍之介、ペコリと頭を下げる。
【こころ龍之介】
「くららちゃん、キミの可愛い後輩達と時間の許す限り、話してやってくれないか?お茶とケーキを用意するから」
【天猫くらら】
「リュウくんは?」
【こころ龍之介】
「後でちょっと顔出すよ」
【天猫くらら】
「了解った、後でね。みんな、行こっ」
天猫くらら、ステージを下りる。
“はねくみ”、全員はーいと言い、くららを追い掛ける。
【こころ龍之介】
「鉄、真、JJ、お前らも行っておいで。話したいんだろ?」
“三獣士”、スマンなと言い、天猫くららを追い掛ける。
ステージの上、こころ龍之介とハルナが残る。
【ハルナ】
「先生、学園生活も楽しいんやろね?」
【こころ龍之介】
「まーなぁ。ハルナも行ってみたいかい?」
ハルナ、少し考える。
【ハルナ】
「やっぱり、ええわ。ウチには夜のネオンが合ってるし。学校は瑠奈だけが行けば十分」
【こころ龍之介】
「そーか。気が変わったら言ってくれ」
ハルナ、少し照れる。
【ハルナ】
「おおきに、先生。ありがと」
【こころ龍之介】
「いやいや、礼にはおよばんよ。それはそうと、今日、最後のイベント手伝ってくれるかい?」
【ハルナ】
「ウチ、ベタな大阪弁しか喋られへんけど、かめへんの?」
【こころ龍之介】
「それで十分」
【ハルナ】
「シズク、呼んでいい?」
【こころ龍之介】
「あぁ、助かる」
【ハルナ】
「シズクぅ~、先生のご指名や、上がっといで~」
シズク、ステージの上に。
シズク、しなを作る。
【シズク】
「先生、本日はご指名ありがとうございます。未来のスーパーモデル、シズクでーす」
【ハルナ】
「シズク、ナンボ愛想振り撒いても、店違うから指名料付かへんで~。言わば、ボランティアや」
【シズク】
「マジ?かなり、損した気分~」
【ハルナ】
「アホやなぁ、こーゆー場所では、損して得取れや。先行投資。印象良かったら、読者さまが、主役の話作ったってくれーって、メールするやろ?」
【シズク】
「あっ、そっかぁ。シズク、一生懸命頑張ります。読者さま、応援ヨロシクお願いします♡」
【ハルナ】
「まぁ、読者もアホやないから、もう遅いけどなっ」
シズク、キツいツッコミにガクっとなる。
会場、笑い。
【こころ龍之介】
「あのー、もうその辺で漫才止めてもろてかまへんかなぁ。進行すすめたいんやけど・・・」
【ハルナ】
「先生、すんません。シズク、アンタのせいで、怒られたやんかー。アンタも謝っとき」
【シズク】
「ゴメンなさい、先生」
こころ龍之介、手をあげて了解を示す。
こころ龍之介、改めて正面を向く。
【こころ龍之介】
「いやー、長かった。やっとここまで辿りついた。本日の大座談会、最終イベントはコレだっ!」
こころ龍之介、ステージの後ろを指差す。
バサっと幕が落ちる。