ルール説明その2
男性は次に、校内の見取り図をスーツの女性から受け取り、机に置く。
「先ほど説明した通り、フラッグを奪い合うことがこのゲームの基本となる。そこで重要なのが、何をもって所有者を決めるのかだ。そこで、このゲームでは『領土』というシステムを採用している。自らの領土にフラッグを持ち込めばフラッグを所有したことになる。君たちの卒業式、つまり三年後の三月十一日の午前九時時点でフラッグを所有していることが勝利条件となる。」
そこまで言って、七人の理解を待つように間を開ける。
「西棟、東棟、南棟の各教室、通路、階段、屋上、さらに寮のそれぞれの部屋、通路が領土として宣言可能だ。領土宣言の方法だが、大して難しいことではない。この会議室前に置いてある『領土宣言書』に名義と領土として宣言する場所を書いて中立地帯である職員室まで届けるだけだ。届けられた領土宣言書は、翌日のホームルーム前に校内放送で発表される。ただし、一日に届けられる領土宣言書は一名義につき一枚のみとする。ここまでで質問はあるか?」
「あの……その『領土宣言』っていうのを一度されてしまえば、そこはその人の領土であり続けるんですか?」
先ほどの気弱そうな女子が再び質問する。
「領土宣言に異議を申し立てることにより、対象者が領土を手に入れることを阻止できる場合がある。領土宣言した場所がすでに異議を申し立てた者の領土だった場合、異議が優先される。一つの領土宣言に複数の異議が申し立てられた場合も異議が優先される。一つの領土宣言に一つの異議が申し立てられた場合は、宣言された領土に近い位置に領土がある方が優先される。また、異議を申し立てる方法は、領土宣言と同じく、書類に名義とどこに対する誰の領土宣言に対する異議なのかを書いて職員室まで届けることだ。ただし、異議申し立てまでの期限は、領土宣言が放送された日の翌日までとする。それまでに異議がない場合、または領土宣言が優先された場合は、対象の場所は宣言者の領土となる。領土となった場所は、領主がその場にいる場合他人がその領土に入るには領主の許可が必要となる。異議を申し立てる以外に、領土宣言を無効とする方法はない。」