SOS
耳を澄ますと聴こえる波音。
潮風に吹かれながら服を揺らして、沖の奥を気にかけている。
カモメはなんとも賑やかに朝から騒いでいて、うっとうしいぐらいだ。
今、僕は砂浜と戯れながら考え事をしてる。
いくら砂浜に文字を書いたとしても、いずれかは風にイタズラをされて消されてしまうと知りながら…今一度この砂浜に、胸の想いを書き残しておこうと思い、この海辺にやって来た。
まぁその文字と言うのが、なんとも恥ずかしい「SOS」。
いや、別に意味があってそんな言葉を書いているわけではない。
ただ、「SOS」という何とも不思議な響きを、胸に留めておくんじゃなくて砂浜に書いてみようって思った。
先ほど散歩していて見つけたあの時と同じような流木。
その流木を僕は、自分の言葉を指揮するかのように動かした。
思い返せば2年前と同じ行動だと、気が付いた。
今も誰にも教えたくない、この海。
でも、ここから見える海の沖の奥が何故だかすごく気になるから、いつかは誰かと来たいと思う。
「SOS」
砂浜に大きく書き残した。
SOS,今、僕はここにいるよ。




