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短編集

俺は意地でもスローライフをする

作者: ミスPちゃん
掲載日:2026/03/19




チート能力が有るのなら意地でもスローライフ守らないとね




 社会人生活の日々に疲れた。

 頑張っても出世できない下っ端の平社員で残業はサービス当たり前。

 休日出勤が続いて今日は30連勤目。

 なぜこの会社は訴えられないのだろう?

 疑問に思っても、親なし、金なし、技能なし。

 この仕事を失えば次の仕事だってあるかどうかわからない。

 なんて酷い時代だ。

 大学に通う為に奨学金を頼りにしたところから失敗だったのかもしれない。

 もう俺は、自宅に帰らず、ビルの屋上で暖かい缶コーヒーを飲みながらタバコを吸っている。

 金がないのは家賃が高いからなのだが、社員寮なのに何故高いんだ。

 趣味のゲームもやる時間はない。

 だから積み上げただけの未開封のゲームソフトが段ボールに溜まっている。


「そっか、夜逃げしようか・・・」


 そうしたらのんびり気の抜けた生活をしたい。

 田舎の方が良いかな・・・。

 人とはしばらく会いたくないしな。

 スローライフの定義って何だろう?

 幅があって、座るのに丁度よい、腰ほどの高さしかない柵に座ろうとした時、ビルが揺れた。

 携帯から緊急地震情報の通知音が鳴り響いた時に俺は落下していた。




 目の前が真っ白になった。

 本当に真っ白で何もない。

 立っているの逆さまなのかもわからない場所で、俺は声を聴いた。


―――・・・あなたにはこの世界を生きていく為に能力を授けます―――


 それだけ?


―――さんざん説明したのに聞いていなかったじゃないですかっ―――


 怒られた。

 そんな事を言われても本当に聞こえっ・・・・・・おっ、落ちるっ?!




 今度こそ、本当に目を覚ましたのだと思う。

 目の前には水が滾々と湧き出る泉。

 周りは少し開けた広場のような場所で、少し離れると四方は森。

 遠くには山も見えるし、雲も太陽もある。


「どこだココは・・・?」


 考えても始まらないので持っているはずのモノを探す。

 財布がない。

 タバコとライターが無い。

 泉に自分を映して確認すると、今まで着た事の無い男性用であろう服。


「日本だよな・・・?」


 自分で呟いて諦めた。

 ここには何もない。

 だが何も持っていないと思っていた自分のズボンの中に紙切れが一枚入っていた。

 コンビニのレシートかな?

 違った。


 ―――追加で無限収納可能なストレージとすべてのスキルを覚える事が可能なマスター職にしておきました―――


 何の事だ。

 俺はゲームの世界にでもいるのか?

 やり方と言うか、使い方が分からない能力を渡されても困る。

 そう思っていると、目の前に一冊の本が空から降って来た。

 取扱説明書と書かれているので、とりあえず読むしかなさそうだ。




 読んで分かった事。

 この世界はオープンワールド的なゲームの世界で、何でも出来る自由度が有る。

 魔法が使える・・・今は使えないようだ。

 ストレージは空間に現れる為、リュックのような物は不要。

 独自の言語と通貨、街や城のような生活圏がある。

 魔物の肉は強敵ほど美味しい。

 スキルは1500種類以上あり、戦闘用や生活用と、多岐にわたる。

 まあ、自由度の高いRPGだな。

 そして俺は今、空腹だ。

 たった一人でどうしろと?


 とにかく周りを探索する。

 木の実がある。

 見た目はミカンのようだが食べられるのか?

 美味い。

 他に何かないか探してもミカンぐらいだ。

 ああ、面倒だ。

 こんな土地で俺は生きていけるのかな?


 一週間が過ぎて、広すぎる森から抜けられるような気がしない。

 小川を見付けたので、辿れば町は有るかもしれないが、見つけてしまった得体の知れない生物に怯えて戻ってきた。

 この泉の傍に居ると生物が寄ってこない。

 なので地面から生えた天然の草が今のベッドだ。

 むなしい。

 それよりも寂しい。


 一ヶ月が経過した。

 何日か分からなくなると困るかもしれないので、手ごろな石を並べて日数を数えている。

 面白い事も解って、この泉の傍に来ると晴天に成り、外だけが雨だったりする。

 範囲も分かった。

 やはり、森との境目だ。

 魔物もそこからは入ってこない。

 もうスローライフだよな?


 一年が経過した。

 このままでいいじゃん。

 病気にもならない。

 取扱説明書も全て読み尽くしているが、森の中が恐ろし過ぎる。

 キノコのような姿をした生物に負けそうになって逃げて来たから、少し動きたくない。

 そう思って寝ていた。

 もうミカンだけでいいや。


 十年が経過した。

 石で数えるのを止めて三年が過ぎている。

 だから十年も、だいたいそんなもん。

 泉に映る俺の姿は変わらない。

 この世界に来た時が24歳ならそのままだ。

 髪の毛も髭も伸びないし、なんといっても性欲が無い。

 そんな俺に悲鳴が聞こえた。

 男か女かもわからない。

 そもそも人かどうかも分からない。

 魔物に襲われているのかもしれないが、せっかく覚えた戦闘用のスキルは殆どが武器を必要としていて、全く使えない。

 使えても威力が弱すぎる。

 魔法なんて一つも覚えていない。

 可愛そうかもしれないが、俺には助けられない。

 悲鳴じゃないかもしれないし、すまんが放置だ。



 そして、俺は何年と分からない生活を続けた。

 それは、1万年という時を過ぎても、何一つ変わらなかった……。


今のところ続きは考えていません(笑)

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