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第7章:挫折と再生
ある朝、山田さんが体温計の数値を見て顔を曇らせた。予定していたリハビリも急遽中止となり、入院の手続きが始まるとの報告が里美に届く。胸を締めつけられる思いで病院へ駆けつけた里美は、自分の不注意や見落としが招いたのではないかと自責の念にかられた。夜、帰宅後も涙が止まらず、ベッドの縁で痛ましい思いを抱えた。
しかし、同僚や先輩、そして山田さんのご家族からの温かい励ましの言葉が里美を支えた。誰一人責めることなく、「これからも一緒に頑張ろう」と手を差し伸べてくれる。翌朝、里美は再び病院の玄関をくぐり、「おはようございます」と笑顔で声をかける決意を固めた。どんなに辛くとも、支え合うチームと共に山田さんを見守ると自分に誓ったのだった。
病室に入ると、山田さんは微かに目を開け、かすかな笑みを浮かべた。「来てくれたんだね」。その一言に里美の胸は熱くなり、目頭がじんと熱く染まった。入院という挫折を乗り越えるには時間が必要だが、互いの気持ちがつながっていることを実感できた瞬間だった。再び歩み始めるための力を、二人は静かに胸に刻んだ。