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第5章:心の距離

日々の介護を続ける中で、里美自身の疲労も徐々に蓄積されていった。夜勤明けの帰り道には、頭が重く足取りも鈍くなることがあった。そんなとき、山田さんの「あんまり頑張りすぎちゃだめだよ」という一言が思い出される。ベッドサイドで見せた彼の子どものような笑顔が、里美の肩の力をそっと解き放った。

同僚やベテランスタッフとのミーティングでは、山田さんへのケアプランを見直すアイデアが次々に飛び交った。里美は自分一人で抱え込まず、チームと協力し合うことの大切さを痛感していた。家族との連携を図るために電話を入れ、時には直接面会をお願いすることも増えていった。支え合う輪が広がるほど、里美の心にも余裕と前向きさが戻ってきた。

山田さんもまた、里美を気遣う発言をするようになった。「里美ちゃん、大丈夫?今日はゆっくり休んでいいんだよ」と優しく声をかけられるたびに、里美は胸が熱くなった。介護は一方通行ではなく、お互いに支え合う関係なのだと改めて実感する瞬間だった。距離はまだ残っているけれど、その距離感こそが二人の関係を穏やかに深化させているように感じられた。


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