七変化
クリスタルウルフの色が変わる。
白銀色の魔晶石が身を包む。
「まさか、クリスタルウルフの最上級ユニークスキル『クリスタル変化』か、、?」
やばい、最上級ユニークスキルとは最終進化種の中でもさらにレベルの高い個体が稀に持つとされるユニークスキルだ。
ただ珍しいだけじゃない。効果もてんこ盛りのものばかりだ。
その中でもクリスタル変化は厄介さがずば抜けて高い。
なぜならその効果は《使用者の判断により身体に纏うクリスタルに任意の属性を付与できる》というものだからだ。
簡単に言うと、魔法に耐性を持たせたり、物理攻撃に耐性をもたせたりなど耐性を付けることも出来れば、火属性にしたり水属性にしたりなどなど、、
このクリスタルの色はその中でも剣士と相性最悪な斬撃耐性だ。
さっきまでは無属性クリスタルだったから刃が通ったが、もうまともな攻撃でしか通らない。
まともな攻撃ですら通るか分からない。
だが、やるしかない。
ー『縮地』!!ー
使用した瞬間今までとの違いを感じる。
一気に周りの景色が引き伸ばされる。
はっっっっやっ
レベルが2つ上がったせいか速度がとんでもなく速くなっていた。
一瞬で間合いに入り込んだ。
速すぎて狙いが定まらないのでとりあえず振るだけ振った。
ザグッ!
肉を断つ音が聞こえた。
グォオォオオォ!!!
左前脚に刃が通った。
まさかここまで通るようになるとは。
けど先程と単純に比較はできない。なぜなら今のクリスタルウルフには斬撃耐性が付いているのだから。
速さによって攻撃が上がる、、、?
まさか、、、?
慣性、、、、なのか、、?
縮地は基本の基本のスキルなので剣士はみんな持っていて初めの頃はみんなこれで獲物との距離を詰める。しかしそれによって攻撃力が変わるなど聞いたことがない。
縮地のレベルは基本みんな2までは上がる。それ以降は派生スキル『居合』や『超加速』が手に入るからそっちをよく使う。
もちろん縮地を使い続ける人もいるがそれは手軽で使いやすいからというだけ。普通は攻撃力が上がらない。
なら、なぜ?
今はとりあえず考えるのをやめた。
クリスタルウルフは大変ご立腹の様子だ。
ー消えた?ー
次の瞬間目の前が真っ赤に染まる。
「グボォ」
内臓が飛び出たかと思った。しかし、すんでのところで後ろに縮地をしたため衝撃波だけで済んだ。
だが衝撃波のくせに俺の腹にはくっきりと掻き傷が付いて鮮血が胸から吹き出す。
目の前が真っ白になる クラクラする。気絶しそうになるのをグッと堪えて立ち上がる。
奴の左脚は復活したようだ。再生が速すぎる。
気づけば奴のクリスタルの色は緑に変わっていた。風属性になっていた。風属性は字の通り風に乗れて通常より速度が出る。
「速攻で俺を狩るつもりか」
仕方ない、こちらから攻めるしかない。
ー『縮地』!ー
今度は簡単に避けられる。
「俺の縮地のトップスピードと同じ速さかよ」
また消える、それを認識した瞬間、鉤爪は俺の頭上に来ていた。
縮地の踏み込みの準備が出来ていない。
まずい、これは、、、死ぬ
次の瞬間その鉤爪は俺のだいぶ前で空振っていた。
俺は縮地が使えていた。なんとレベル5では踏み込みが無くても短い距離なら縮地を使えるようだ。
だがそれには脚の筋肉が悲鳴をあげる。
「くそ、右脚が痙った」
だが命よりはましだ。片足で縮地を使うしかない。
ー『縮地』ー
今度はクリスタルウルフも避けられると思っていなかったのか動揺していたおかげで右前脚を根元から切り落とした。
ーガァルルァァァァァ!ー
「よし、これなら勝てるかもしれない」
そんな希望を持った時、それを打ち消すかのようにクリスタルの色が変わる。
漆黒だ、あんな色は見た事がない。
なんなんだ、、あれは、、、




