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新たなる脅威

「あ、そうだカイくん」

「はい?どうしました?」

「今からこのまま北の森の調査に行くんだけど、せっかくだしカイくんも一緒に行かない?」

「な、フィン、冒険者とはいえ一般人を巻き込む訳にはいかないだろう」

「えー、でもカイくんがいた方が楽しそうだよ?それにこの前の森と関係が無いわけじゃ無さそうじゃない?」

フィンが意地悪くにやりと笑って団長を見る。


「くっ、カイくん、良ければ着いてきてくれないだろうか、もちろん報酬も払う」

少し困った顔で団長が俺に頼んできたし、特に断る理由もなかった。

「俺で良ければ力になります!」


そしてその日はとりあえずお開きになって俺は宿に戻って明日の準備を進めた。

「縮地八連撃、とんでもない技だったな、、副団長もめっちゃくちゃ強かった、それにしても時治癒魔法なんて初めて見たな、、」

そんなことを思いながら俺は眠りについた。


「それでは点呼を取る。第一小隊!」

朝、約束の時間にギルドの玄関へ向かうと騎士団が列を成して点呼を取っていた。


「おっはよー」

ドンと背中を叩かれ振り向くとそこにはフィンがいた。

「あれ?フィンは点呼を取らなくて大丈夫なんですか」

「まあ、居なかったら団長が気づくし大丈夫っしょ」

そんなことを言いながらケラケラ笑っていた。

ほんとに自由な人だなぁ。


「いい訳ないだろうが!!」

急に後ろからド迫力な声が響き、ブルっと身体が震える。

「団長ー、もう点呼くらいいいじゃん」

「ダメだ、上官のお前が乱れれば団全体の乱れとなる」

「いや団長がいるから乱れはしないでしょ」

コソッとフィンが愚痴をこぼした。

確かに、と思ってしまったのは内緒だ。


「それではこれから北の森への調査へ向かう。各自気を抜かないこと」


ザッザッザッと団員が一糸乱れずに行進して行く。

そして特に支障なく2日間かけて北の森のの近くまで着いた。

しかし、俺は段々と大きくなる違和感を感じていた。団員たちもチラホラこの違和感に気づき警戒感を高める。

いつの間にかいつもふざけているフィンも周りを見渡し明らかに警戒していた。


1歩、また1歩進むごとに異様な空気感は増していく。

なにかがいる、とんでもなくやばい何かが。


「全隊止まれ!」

団長の掛け声とともに団の行進は止まり辺りは不気味なほど静まり返る。

周りに生き物がいない。空も、地中も、森も、川もまるで死んでいるかのようだ。

「カイくんすぐに来てくれ」

団長に呼ばれて急いで前に向かう。

するとそこにあったのはデステニードラゴンの死骸だった。死骸といっても骨だけの姿だったので団に鑑定士がいたから分かった。

デステニードラゴン、この前のシャドウフェンリルと並ぶ伝説級の魔物だ。

そんな魔物が死んでいる。

普通ドラゴン種が寿命で死ぬ時は自分の巣の中で死ぬからこんな所で寿命を迎えて死んだわけじゃない。

明らかに何者かによって殺された。

デステニードラゴンの討伐記録は今までに存在しない。目撃情報ですら数少ない。

そして極めつけにこの異様な雰囲気。

その場のみんなが感じた恐怖感。

あの時以上だ。


急に左頬がピリつく。あの時と同じだ。

「みんな右に避けろ!!!!」

その声に反応して団長が続く

「総員右に退避!!!!」


凄まじい轟音の後辺り一面が土煙で覆われる。

「総員に告ぐ、相手が分からないため1度距離を取る、仲間がいる可能性を考え森から離れつつ土煙から距離を取れ!」


「カイ!こっち!」

俺はフィンに手を引かれ土煙の中から脱する。


「みんな無事か」

団長が土煙に向かって剣を構え警戒しながらみんなの無事を確認する。


「計5名の安否が確認できてません...」

「そうか」

団長の重い声が聞こえる。

そしてかすかに握りしめた剣の柄が軋んだ音が聞こえた。


「あれはかなりやばいねー、死んじゃったかも」

「死んだって...」

「カイも一瞬見えたでしょ あの怪物」


見えたのは事実だ。しかしあれが生き物なのかすら分からない。

全身が様々な怨念に満ちたモンスターの顔で埋め尽くされ、全身の形はドラゴンに似ているが鎌の様な鉤爪を持っていた。

「見えたけど、あれもはや生き物か怪しいよ」

「たしかに、同じような物を見たことがあるけどあれはすぐ崩れたからな」

「同じ様な物?」

「キメラだよ、町外れの神殿の中を探索してる時に出てきたけど団長が1回盾で弾いたらすぐ崩れていったよ」

「じゃあ今回のやつも」

「だといいんだけどね...」


じきに土煙が晴れて全身が見え始める。

中から出てきたのはやはりさっき見た異形の怪物だ。


バリッ ゴキッ

異形の怪物が団員を鎧ごと砕いて食べていた。


「なんだよあれ...」

「うわあああああ!!」

団員の数人がその場から逃げる。


すると怪物が腕を振り上げる。

「避けろーー!!」

次の瞬間腕の振り下ろした先の空間が裂ける。

そしてそこにいた団員が全員裂ける。


ギシャシャシャシャ

怪物が嘲笑うかのように泣く。

それは、獲物を追い詰めることを楽しむ、残酷な捕食者の笑みの様だった。


「こりゃダメだね……」

フィンが冷や汗を拭いながら呟く。

「どうするんだよこれ」

「どうするもこうするもないよ、逃げるしかない。今回はあくまで調査が任務だ。こんな状態で戦っても犠牲が増えるだけだ」

フィンの判断は冷静だった。俺たちは頷き、じりじりと後退を始める。 だが、その時だった。


ピタリ。

怪物が動きを止めた。

「ん? 攻撃を止めたのか?」

不思議に思った次の瞬間、俺たちは信じられない光景を目にする。 先ほど殺された団員たちがいた場所からドロドロとした赤黒い液体が地面から浮き上がり始めたのだ。


液体は重力を無視して空へ昇り、怪物の体へと吸い込まれていく。

ドクン、ドクン、ドクン

大気を震わすような、不気味な鼓動が響く。

「な、なんだ……!?」

バリバリバリバリッ!!

怪物を中心に、紫色の稲妻のような衝撃波が辺り一面に走る。 強烈な風圧に、俺たちは腕で顔を覆うことしかできない。

土煙が晴れた時、そこにいたのは、さっきまでの巨大なドラゴンの姿ではなかった。 余分な肉を削ぎ落とし、筋肉が圧縮された人型の怪物だった。


「……嘘だろ」

大きさは俺たちより一回りほど大きいほどまでに縮んだ。

だが、そこから放たれるプレッシャーは、さっきの比ではなかった。 そいつは自分の手のひらをニギニギと確認すると、人間のような仕草で首をコキリと鳴らした。


「こいつ……死んだ生き物を取り込んで、進化しやがった……!」

俺は戦慄した。 この怪物相手に「数」は意味をなさない。いや、逆効果だ。 弱ければ弱いほど、死ねば死ぬほど、こいつの「餌」になり、さらなる進化の糧となる。

「……逃げるぞ!! 今すぐにだ!!」

団長の悲鳴に近い号令が響く。

お久しぶりです。長く空いてしまい申し訳ないです

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