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不穏な森

ギルドに戻ると、そこには顔が真っ赤に染まったギルド長のオーサさんがいた。

「フィーンー、またお前か!!!」

怒号がギルド全体を揺らす。空気が震え、後ろにいた団員たちが一歩退いたほどだ。


「ううー、ごめんなさいってばー!」

「今日という今日は許さんぞ!!」

「今度からもっと離れてやるからー!」

「そういう問題ではないわ!!!」


俺は横で平身低頭。

「あの、ほんとにすみません……窓とか、地面とか、色々……」

「ん?カイくんは関係ないだろう。それより、なんで団長の肩に掴まっているんだ?」


「え?いや、その……今回俺とのタイマンでこんなことになってしまって……」

オーサさんの顔が赤を超えて、黒く見えてきた。

「おまえもかーー!!!」

「ごめんなさいごめんなさいーっ!」


結局、俺とフィンは揃って正座。

アレン団長が後ろで腕を組み、無言で見守っている。

その沈黙が一番怖かった。


「……反省はしているようだな。二度とやるな」

「はーい」

「はい……」


少しして、フィンがぼそっとつぶやいた。

「そういえば副団長って呼ばれるの、やっぱ固いよね。もう“フィン”でいいよ! 一度剣を交えた仲じゃん!」

「え、いや……そんな簡単に呼んでいいんですか?」

「いいのいいの。仲間だし!」


「そういえば腕、大丈夫ですか?早く治癒魔法かけないと」

「ん? あー、ほら、あそこに白い服着た根暗なやついるでしょ?」

「あ、あの隅っこで本読んでる人?」

「そうそう。あいつちょっと特殊な魔法が使えるんだよね」

「特殊な魔法?」


「うん。時魔法が使えるの!」

「えっ!? 時魔法なんて存在したんですか?!」


「おいフィン! あんまり嘘をつくな!」

遠くから団長の声が飛ぶ。


「え? 嘘なの?」

「いやいや〜、厳密には“時魔法”じゃなくて“時治癒魔法”! 生物の体の損傷を一時間以内なら完全に元に戻せるんだよね〜」

「……それ、十分すごくないですか?」

「まあ、魔力消費がえげつなくて連発はできないけどね」


視線の先では、白衣の治癒士が静かに杖を構えていた。

杖の先に淡い時計の針のような光が浮かび、フィンの腕を包む。

裂けた皮膚が音もなく閉じ、血が逆流するように肉が再生していく。

その光景に俺は息を呑んだ。


「……時を、巻き戻してるみたいだ」

「そう。傷ができる前の“時間”を引き出してるの。だから“治す”というより、“戻す”って感じ」

「すご……」

「でしょ? だから、彼はウチの騎士団では絶対に欠かせない存在なのよ」


俺は思わずうなずいた。

本当にこの世界には、知らない力がまだまだあるんだな。



──その頃、北の森。


重く赤黒い雨が、絶え間なく降っていた。

だがそれは雨ではなかった。

魔獣たちの血が空へと吹き上がり、再び地に落ちているのだ。


森の奥に、巨大な死体が横たわる。

デステニードラゴン。

死と運命の二つの名を冠する災厄の竜。


その鱗は黒曜石のように鈍く光り、裂けた翼の隙間から黒い霧が滲み出ていた。

大地が鳴動し、風が重く沈む。

この地に生きる全ての生物が、息を潜めた。


血の雨の中心──そこに、ひときわ大きな魔晶石があった。

深紅に染まったそれは、まるで脈打つ心臓のように鼓動している。

次の瞬間、魔晶石は血を吸い込み始めた。


どろりとした血が流れ込み、光が内部で渦を巻く。

やがて周囲の地面から血が消え、森が静まり返る。


空には月が昇り、その光を受けた魔晶石が微かに震えた。

まるで、長き眠りから何かが目覚めようとしているかのように──。

かなり間が空いてしまってすいませんでしたー

けど恐らく暫くは投稿頻度が不定期になると思いますが、ご了承ください

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