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16歳〜

 いつからだろう。



ずっと昔は、常に希望に満ち溢れ、私はすごい人間だと思っていた。この世界を変えるかもしれないと胸に希望を抱いた生活していた。私は、みんなと違う。誰よりもすごい人間にって思って暮らしていた。



初めてのWEBオーディション。


親に内緒で応募したら一次審査が受かった。すごくドキドキした。嬉しかった。やっぱり私はすごいんだと思った。結果と同時に案内が来た。

対面審査のお知らせ~○月〇日に名古屋に来てください。その便りをもとに当日迎えたオーディション。自己紹介をし終え、自己PRと志望動機を口にする。その当時は無知で、自己PRなど事前に用意していたわけでもなかったので薄っぺらい言葉を並べ自己満足していた。それを終えると次は実技審査に移った。初めて人前でする演技。じわじわと汗が滲むのがわかった。最近日本語を覚えたんです!ぐらいカタコトで与えられた台本を読んだ。初めての演技だしまぁ上出来だろうと思った。そして時が経ち、どうやらこんなひどい演技でも認められたみたいで、合格した。実際、特待生と言っても、金を積めば入れる話だ。当時は、親に頼らず自分の力でなんとかしたいという反抗心で、金がないのを理由に断った。小さな変化でも、これが芸能界へ一歩を踏み出した気がしてすごくワクワクした。

 次はランウェイをかけたオーディションに応募した。これも合格した。ちなみにこれもお金を積めば誰でも出られるようなステージだった。そして、今は当たり前になっているが配信審査というものがあった。毎日早起きし、途切れ途切れのコメントを読み、10人見てるかわからない配信をぎこちない笑顔で乗り越えた。無事配信審査も終え、ファイナリストに選ばれた。ファイナリストになる基準が全くもってわからなかったが、芸能人への第一歩を踏み出した気がして嬉しかった。そしてランウェイを歩くことになった。

初めてのランウェイ。カメラを持った人たちに囲まれ、一本の道を歩く。初めてのウォーキングだったので、操り人形が歩いてるみたいにすごくぎこちなかった。歩くたびにカシャカシャとシャッターをきる音と洋楽が会場に鳴り響く。気分はまさにスーパーモデルだった。みんなが私を見てる。すごく気持ちが良かった。小さなステージで、一般の人が出るようなランウェイだったので、周りの友達からは裏で笑われていたかもしれない。そんな事は気にせず1日が終わった。

そして、ランウェイに出たからと言って何も変わらなかった。この時はまだ16歳というのもあり、一切焦りを感じず生活していた。まだこの時も何者でもなれると、どこからやってくるのか自信があった。

 承認欲求の塊である私は、次は事務所オーディションに応募した。応募したらすぐに最終審査に行くことになった。世の中を舐め腐っていた私は、この世界で1番えらいと思ったいた。オーディションもすんなりと終わり、小さな所属ではあったがそこの養成所に入ることになった。周りの友達に自慢した。たかが養成所に入っただけなのに先生に「もしかしたら、お仕事入ってくるかもしれないんで、たまに早退するかもしれません。」なんて、今考えたら恥ずかしすぎる。どこから湧いてくるのだ。その自信は。

 初めての養成所レッスン。胸に希望を抱きながら、スキップのように弾みながら歩いた。ちなみに17歳である。

周りから見たら、あまりに幼稚に見えただろう。

どんな人がいるのだろう。芸能人みたいな人がいるのかな。緊張とワクワク感を持ちながら軽い足取りで、階段を踏んだ。そして、扉を開けた。


ガヤガヤ。


小学校低学年かと思うくらい小さい子がいっぱいいた。落胆した。何か違う、、。こんなこともあるかと、そして、最年長である私。小学生の中にポツンと高校生である私がその場に足を踏み入れた。明らかに違う場所に来てしまった気がした。色々疑問に思うことはたくさんあるが、とりあえず考えても仕方ないのでレッスンを受けた。やったことは、発声練習と、歌と演技だ。演技といっても、お互いにじゃんけんをし合って、勝った時に喜ぶという単純な物だった。当時、新型コロナウイルスが流行っていたのでみんなマスクをしてレッスンに挑んでいた。マスクをしているのでみんなの顔も分からず、表情もよくわからなかった。ずっとじゃんけんをしていると飽きてきた。だけど先生には単純な物であっても、演技は新鮮な物でないといけない。常に初めて見た、経験したという事を頭に擦り込ませないといけないと言われた。確かに、、とは思ったものの、このまま続けて意味があるのかと先行きが不安なまま初日が終わった。養成所のレッスンは月2回しかなく、貴重な17歳はあっという間に過ぎ去っていった。それから18歳になり、私は早生まれなのですぐに卒業を迎えた。

 通常のレッスンでは物足りなくなってしまったので、ミュージカルの練習をしに名古屋まで通うことにした。私はここで初めて壁にぶち当たった。みんなのレベルがすごく高かったのだ。周りを見ても、幼稚園の頃からダンスと歌してました!そんな人ばかりで、今までいきっていた自分がすごく恥ずかしくなった。そして自分の無能さを知った。

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