ファストストーリー・ザ・デイ3
短編集三つ目、 の、つもりがやっぱりだんだん長くなっていく
私の癖ですねぇ
では、本編開始です
キィィィィィィィィフィンッ!フィンッ! ズズズズズズ ツキキキキキキキキ………
城でのオーバーホールを終えたミトン達のY_ROIを乗せたフローターが学園内に入りエンジンの出力を落とす
ちなみにフレクはフローターがないのでミトンと同乗である
ウキウキついでに運転をかって出たのであった
「今度は間違えてないわよね?」
「もう! 茶化さないでくださいよミトン様 それに今回は入り口一個しかないんですから間違えようなんてないですよ」
「ハハハ それもそうね あっ、そこに付けるみたいね」
「はい」
ガガガガガ ガションッ フィフィフィフィフィ………
シュゥゥゥゥゥ……
「ロック完了、 エンジン停止確認 ミトン様、登録手続きをお願いします 終わったら騎体ごとフローター停めてくるので先に寮に向かっててください では、行ってらっしゃいませ」
「ん、 行ってくるわね」
タラップを降り、親切にも赤線やアドバイス、検査の抜け穴などが書かれた校内マニュアルを見ながらセルフの登録用機械を触る
パチッパチッ チン キンッ! カチャカチャカチャ…………
「この親切マニュアル、なんやらなんやら書き込みすぎて逆ぁくにわかりにくいってぇありゃしないわよ」
ビー ピピンッ 「げっ! まぁたエラー」
「……もう一回ね…」
と、機械へもう一度手を伸ばす
ガシッ!
横から伸びた手に止められる 「はっ…!」
チャリ… バッ! ガシッ… カチンッ!
「えっ!?」
ミトンがスパッドを抜くが難なく止められたうえにボタンを押されスイッチをOFFにされてしまった
男である 長い金髪を腰まで伸ばした前髪パッツンの男
とんでもなく、超が付くイケメン
その容姿もさることながら、
一気に冷や汗が出る ミトンの勘、と言うよりは同化した過去の"記憶"のようなものである
「コイツはレベルが違う」 そうわかるのである
「レーダーよ 騎士が剣を抜くというのは、そう軽いものではないぞ?」
「あっ、 えっ… はいっ! す、すみません
急に出てくるものですから……」
「まぁ、俺の接近に今のお前が気づけないのは仕方がない それに、お前がスパッドを抜くのも、 あるいわ仕方がないとも言えるな…」
パッ 男がスパッドを離す
「フッ… 良かったぞ やはりお前の居合 俺でなければ今は斬られていた」
ドキイッ!! 物陰から覗いていた女子生徒(単眼鏡で覗く普通のストーカー)がいつぶりかのバカクソイケメン笑顔を見てもうフラフラである
ついでにポット出のくせに笑いかけてもらったミトンに物凄い視線を向け、最後にもう一回覗いてから何処かへ走って行った
「所で、 えぇ〜と 先輩、 ですか?
誰です?」
「5階生 ん、5年生だったか まぁ言い方はいい
レーダー お前の最強の友 ジャック=モレー だ」
「……ジャック モレーさん、 覚えたわ
なんとなくなんだけど、この間の戦闘 最後に助けてくれた人です?」
(レーダーって… 私の苗字、れいだ なんだけど……まぁいっか)
普段ならこんなイケメン前にして黙っていないミトンであるが今回ばかりはヘラヘラできない
もう怖くはないがまだなんとも気は抜けないのだ
それでいて感じ取る
あの時の助っ人か? と
友人うんぬんについては気づいていない
「そうだ そして今回も助けに来た ここはやりにくいだろう?
たまたま通りかかったのでな… んっ、ジャックでもモレーでも構わんぞ
なぁに 騎士の学園には飛び級もある
階級はそのうち大して変わらなくなる」
「あの時は本当に助かりました! えぇっとぉ、じゃあ、ジャック先輩で」
「む、 気にはしないのだが… ほれほれ言ってみろ」
「私が気にするんですっ!! それで! 助けてくれるんならやってもらって良いですか!?」
「むぅ…」 カチャカチャ… パシッ!パシッ!チキンッ ピピピピ
ビー! ビー!
流石最高学年 手早いものである それでもエラーが出るのはもはやご愛嬌である
実はミトンの騎体が色々と細工が激しすぎるためなのは内緒である なまじ性能の良いスキャンではエラーを起こすのだ
「まあいい あとで先生に言っておく 俺のカードを使え すべての施設機能が使える」
「え、 あ、はい」(良いのかな? …まぁいっか)
とりあえず受け取るが、あることに気づく
「あっ! 良いんですか?」 「うん?」
「いや、 先輩はそのカードなしで大丈夫何ですか?」
「………ついでに持ち物登録の部署までの案内も引き受けよう」
「…あ、ありがとうございます ……行きましょうか」
フレクにフローターを先に寮に回してもらい歩いていくことになった
一方何かの準備を終えたストーカーちゃん、
何と妙に明るいジャック様と例の新入生が並んで歩いている
我慢できるものではない
「ああぁあぁあ…… 何で? 何で…です……?
ん? 今登録してた…? なら、あの時の一年……
最後に助けてもらってたあの騎士…ね
学園には、 決まりがあるんですわよ?」
その後、ほとんどジャックの顔パスでパパッと検査と登録も終わり
寮用の武器保管ロッカーを借りた
ジャックは急な用事でここでお別れである
別れ際にジャックが言う
「ん、 レーダー シリカに聞いているだろうがこの学園、 出身はほとんどが貴族やら武家だ
人付き合いには特に注意しろ
魑魅魍魎蠢くってやつだ
お前は既に普通の生徒ではないのだからな… まぁ何かあればいつでも言ってくるといい」
何故シリカの事まで知っているか と聞こうとしたが気づけば視界にはいなかった
仕方なく教えてもらった寮に歩く
――――――――――――――――――――――――
「……… そういえば、こうやって一人になるのも久しぶりね 色んなことが、 起こったのね……」
『俺がいるけどな』
「シュガーは別よ そういえばあなた、最近出番なかったわよね? いつもみたいに騎体に居なくて良いの?」
『お前らみたいなやつらといたら出番も減るよ
騎体は後からでいい 登録終わってからならソフト面イジってもバレねぇだろうしな……… あっ、』
ついつい口を滑らせたシュガー
「………おかしいとは思ってたわよ こないだの戦闘でも、システムに明らかなバックドアがあるのはわかってたし、端子も三つだけで私より親和性が高い、 おまけにいっつも騎体の中にいるって…… カーリーの連れてるナイフォーとかと同じなの?」
『くっ、 違わないこともない… しかし完全にそのまんま"それ"というわけでもない 今はそこまでまだ』
「ふぅん… まっ、そう言うならそうなのね とにかく今まで支援してくれてたなら、今度からも今まで通りお願いね…?」
あっさりと流したミトンが言い シュガーが返す
『それはもちろん おっ、そうそう』
「ん?」
『いや、 こっちでの暮らしも慣れたか? と思ってな』
「それこそ今からよ ほとんど病室暮らしよ?」
『それもそうか にしてもどんなやつだろうなぁ?』
「何が?」 『何って、 寮は二人部屋だろ?』
「あっ、 確かに まぁ、それこそ言っても仕方ないわよ お楽しみよ お楽しみ」
そんなことを言い合っているうちに寮に到着する
「ここって(この世界って)、技術ある割にはこういう所でシックよねぇ」
と、周りを見渡す
いかにも異世界学園モノって感じの寮が並んでいる
いくつかの棟で固まって建っており団地のような配置である
しかしよく見ると電子ロックや室外機など色々と今っぽいものがある
思い返せば王城があった周辺も、城の周りはそれっぽいが少し離れれば高層ビルを基礎にしたメガストラクチャーが生え並ぶ街が広がっていた
いまだに貴族や騎士のいる世界ならでわの価値観である
ガッチャッ
寮のドアを開けて一言
「こりゃあ… 大したものだわ」
綺麗 である あからさまな豪華さも潔癖な清潔さもない
まとまった雰囲気
流石と言ったところである
ちなみに外観に引っ張られ "ただ"綺麗 でなく「大したもの」という感想を出すことができるのがミトンである
「にしてもシュガー」 『んん〜?』
「なーんかさっきから付けられてない? いや、見られてる? あっ、睨まれてる感じね!」
『ハハハ 今気づくのは、 まだまだだな… まぁお前も大概目立ったからな
ちょっかいかけてくる奴らもいるだろうな
おまけに貴族系の学校に来た平民新入生ときた こないだの王の件も、どう捉えられてるかわからんしなぁ…』
「本ぉん当、ややこしいわよねえ 学生は学生らしく適当で良いのに」
「違ぇねえなっと、 ん、なかなか(床の感じも)良いな」
シュガーが絨毯をフミフミする
すると、誰か 物音を立てつつ近寄り言う
ガタッ! チャプッガタッ!
「ああーーっ!! 貴女、寮内で接地型テイムは素足厳禁ですのよ!」
「えっ、 そうなんですか!? もう!シュガー 無神経だよ!」
『ぬ、 すまん』
「そうよ! 掃除しなさい やっぱり新いリ……」
バッ!
シュババババババ!!! カチャッ、 チャポン…!
「終わりました! お返ししますね あっ! シュガー、手出しなさい 拭いたげる」
『おう』
「え、 ちょっと…」
フキフキフキ
「ありがとうございました! 以後気おつけますう〜〜!!」
スタスタスタスターーーーー
嫌味先輩?風生徒から掃除用具をひったくり騎士の速さで終わらせ返してあげる
その後シュガーの足を拭かせソソクさと退散する
先輩はあまりの事に唖然とし棒立ち
その後
「………クソッ ですわ…」
逃走後の廊下
『一応聞いとくが、 良かったのか?』
「……」
『おいっ!』
「あぁ あの子、どうせさっきから付けてた子でしょ?」
『おっ、 わかったか?』
「 適当よ 」 『…… そうか』
「女子寮、 それも異才の新入生 何も起きないはずはなくってやつよ」
『自分で言うか…』
「あの感じならまだ来るわよね どうしよ?」
『知らんっ!』
「あっ、 やっぱりぃ 実は私も、正直どうでもいいのよねえ〜」
『ハハハハハハ …ところで、ここどこかわかってんのか?』
「ハハハハハハ …えっ?」
――――――――――――――――――――――――
「にしてもなんて広さよここは」
『まさかあんだけサイズあった寮が 全部繋がってたとはなあ いや、この感じじゃあ校舎の方もか? とっくに迷ったせいで部屋番号がどうとか言う話じゃねえな
IDもないしな』
「確かにそうよねえ せっかく貸してくれたけど、マスターキーじゃどこでも入れるから逆に今は困るわ
部屋割りだけでも確認しないと… シリカさんの所でも行くしかなさそうね」
西洋の城チックな建物 同じような形で規則性があればわかるがところどころ特徴を出した構造のせいで場所がイマイチ掴めないのだ
ちなみに今は渡り廊下らしき所にいる
「『ねえ、(なあ、) なんかおかしいくない?(か?)』」
「いや! どう考えてもこんだけ歩いて端につかないのはへんよ!」
『体感1キロ以上あるな 寮だけでこの広さこの学園 いくら広いとは言って 全部繋がってるにしても妙だ』
「……外から見たら離れていたはず、 地下で繋がってるにしても一度も下の階に降りた覚えはない…わよね?」
『術の反応は?』
「それが無いのよ いや、あるにはあるけど入ってからずっとで… てっ、つまりそういうことぉ?」
『多分な 俺としても迂闊だったか
これはトラップタイプのやつだな… とは言っても、あんなガキにここまでの空間系の術を使えるか? 強力な反応か?』
「うぅ〜ん… 弱くは無いけど、雰囲気は認識操作系? 大掛かりなやつじゃないわねぇ あっ、じゃあさっきから後ろから追ってきてる怖そうなのも術のやつかぁ…
もうちょっとで追いついてきそうだし、 どうする?」
『うん とりあえず逃げよう』
――――――――――――――――――――――――
「はっ!…… ここは…?」
『う、うぅ〜ん』
「あっ! 気づきましたか よかったぁ… 大丈夫ですか?」
ミトン 気づけば少し低身長でありながらフクヨカな雰囲気を持つ 長い青みがかった髪の少女に膝枕されていた
ガバッと立ち上がり捲し立てる
「あっ、 貴女こそ! アイツはスパッドでもダメで……!? 私のスパイドは!?」
「…やはり、 防犯トラップにはまっていたんデスか…
聞いてください 今まで見ていたのは
対侵入者用接地型魔術で極々小さな異空間に対象を固定して思考迷路に入れる 強力なものデス…
スパイドがないのもそれの効果デス
解除法は外から解くか、一種の嘘発見器の機能を持つ術内で… 例えばここなら自分の部屋に入れば解除されるデス」
「そんなので良いの? 解除は」
「電子ロックの解除をするにはパスワードなどの "確実に本当の事"をしなければならないのデス 防犯としては充分デス
中から解いて出てくることもできなくはありませんが相当強力な術師だけデス」
「つまり貴女が出してくれたのね いやぁ、助かった 本当に助かったわよ
ありがとうね ええっとぉ… 名前は?」
「あっ、 私は…」
自己紹介をしようとした矢先ドタドタと先ほどの生徒が走ってくる
「おかしいですわ! この術、そう簡単に…
貴女 どうやって!? ………あぁ 貴女ね… パチモン・ブルー……!!」
「ひっ…!」
「パチモン…… えっ!?」
ミトンが驚く さっきのストーカー娘が大量の魔力を床に送ろうとしているのが見えたのだ
恐らくまたあの術が来る…!
しかし! ミトンはパチモンと呼ばれた先輩を引き寄せ回避の動きを見せない!!
「えっ!? ちょっとっ!」
「観念したわね! さあ! その中で存分に許しを乞いなさい!!!」
バシュウウウウウ!!!!
ミトン達が空間に開いた隙間のようなところに吸い込みれる
「……さて、 中はどうなって……」
ストーカー娘が中を覗こうと術の準備をしようとした時
パカッ
「ハハハハハハ 解除完了ーーー!!!」
ストッ…!
早くも脱出したミトン一行を見て流石に狼狽えるストーカー娘が言う
「なっ、 ど… どうやって……? パチモンブルーが解除する暇なんて……」
「簡単よ! ジャックパイセンから貰ったマスターキー、 案外役に立つじゃない!!」
「……貴女、 今何と言って…」
急に静かになるストーカー娘
「うん〜? マスターキー…」
「違うっ!!」
「……ジャック先輩に貰った、のよ…」
ジュバッ! ガシッ! 「えっ…?」
言い終わった瞬間ミトンが首を掴む
騎士であるミトン、 エフェクターにどうこうできないのはわかりきっている
しかし今のストーカー娘は冷静ではない
「ねぇ… パイセン、 無駄ですよ
術出す前に…
死にますよ?」
「ヒッ! ハッ…!ウッ、ハッハッ …」
「……あれっ? 冗談なのに… それにしても、私のスパイドは?」
ガックガクに震え出したストーカー娘が小〜さい声で答える
「…わ、 私の… 部屋…… 転移させて…」
プルッ ガクガク…… シュシュシュ……
言いながら震える手をワキワキさせる
それを見たパチさん(仮称)が叫ぶ
「レイダさん!! 逃げてください!!!」
「うん? でもっ…… わかったわ」
パッ 手を離し
「失礼っ!」 ガシッ!
「きゃっ!」
パチさんを抱えて走る
ズババババババビビビビビビビ!!!!!!
「レイダさん! 来ます!!!」
「わかってる!! 電気系の、 この威力じゃぁ攻撃術ね!?
空気を伝ってくるなら…… これよね!!!」
立ち止まりパチさんを置き方向転換
飛んでくる術へ向かって走る
バシュ! 飛び上がり、
「でぇやあっ!!」
ビュビュッ!! 回転しながら手刀で十字に斬撃を飛ばす
すかさず体を正面に向け手を横に大きく広げ
バンッッッッ!!!!
腹のあたりで手を叩き合わせる
普通に手を叩くのとは訳が違う あまりの威力にほとんど爆発音のような音が響く
ミトンの口角が左側のみ グニャァァ〜〜と上がる
当然そのような音
パチさんは気絶しストーカー娘もふらつく
しかしどうにか耐えるストーカー娘に先程の手刀が到達
ドドッ! 「ゲフウッ!」
弱めに打っていたため、相当な衝撃と痛みはあるが出血はない
だが! まだ強力猫だまし(さっきのヤツ)の効果が来ていない!!
先程の猫だまし
あまりの威力に前方が一時真空になり、空気を伝う電撃は周囲に霧散する
加えて
当たり前であるが押された空気は向き的にストーカー娘の方に向かう
ストーカー娘は手刀で術を中断させられてはいるが……
一部空気中に残った電気が吹き寄せた風に乗り
以外に伝導性の良い物である人体
つまり!
ストーカー娘に一気に伝わるのだっ!!!
バチンッッッッ!!!!!
「ギャンッ!!」
ドサッ… プシャアアアアア……
いくらある程度空気中に帯電し弱まっていると言っても攻撃用魔術の電撃
外傷はないが当分は手足の痺れと付き合うこととなる
回復術を使い焼かれた神経を治したとしても、急激な再生に伴う苦痛を遮断する術や薬の影響で発生する軽度の運動障害である
「ハハハハハハ 新学期始まる前に制服汚してやーんの 助けは呼んでやるからね〜〜〜」
電撃で盛大に漏らしてしまった姿を見送りミトンが走り去る
本来であれば騎士による騎士以外への攻撃 その後相手は重症、 公共施設での私闘、 介抱せずに逃走
重罪である
しかし今回の件、実際全くと言って良いほどミトンに非はなく、介抱しないのも被害者であるパチさんの介抱を優先したためである
ここからは保護者(超多忙で死にかけのシリカ)の出番である
喧嘩の後始末は、 それぐらいの認識でよいのだ
――――――――――――――――――――――――
その後、普通に廊下に張り出されていた一年の部屋割り表を見つけ入室
またもマスターキーが役にたった
一方、ジャックはマスターキーなしで思いの外苦労してしていたのは別の話……
とりあえずベッドにパチさんを寝かせ、横にシュガーも寝かしてあげる
「コレね…」
内線を使おうと備え付けタブレットに手を伸ばす
グニャァァ〜〜……
突然の目まい
「…うん?」
グラッ… ドサッ
――――――――――――――――――――――――
80年前………
ある街の外れ
岩や木が生え、地形も凸凹な土地
色黒で黒い短髪、黒い装甲服に色褪せた小さめのマントを羽織った大柄な男
ひどく沈んだ雰囲気のおとなしい顔である
「……12番!!!」
そう叫び、抜刀し斬撃を飛ばす
刀身はまさに巨大な鉈であった
前を走っていた男がバラバラになる
ギュッ……ドドドドドッ!!!!!
ズババババババ!!!!!
少し走った後同じように叫び、今度は先ほど使った剣の鞘に内蔵したショットガンを撃つ
「31番ッッッ!!!」
ドキョッ!! バババッ!!!
高散布型ベアリング掘削弾が命中しまたもバラバラになる
「………後、63人… いつ、 いつ終われるのだ…
僕は……」
何かを感じ取り喋るのをやめ、しゃがみ込み構える
「70番っ!!!」
ガギイインッ!! キリッ! キュキュッカチカチ…
どうやって隠れていたのか 全くの背後からの攻撃
何とか受け止め鍔迫り合いをする
黒い男、上がった口角が耳に付かんとする勢いの笑顔である
黒い男が袖口から小型のスライダーを四つほど滑り出させ
敵の足を狙う
パララッ… シュッシュッ!!
スカッ! ドドドッ!!
放出後加速し対象の足を狙うがかわされ地面に刺さる
しかしこの一瞬にも上では剣撃が続く
黒い男は片手で大型の鉈状のスパイドを振り回し、本来の鉈の使い方同様肉を削ぎ落とすための刃を相手に添わす動きをする
対する敵はショーテルを2本持ち 防御に重きを置きつつ刀身のカーブを利用した巧みな攻撃を行う
僅かながらに黒い男の方が体の各所から出血がはじまる
しかし男は冷静である
こうなってくると逆に敵側が焦る
互いに短期決戦型のはずのスパイド系武器を使い、加えて男の鉈は当たれば一撃 さらについ先ほど何人も斬り、何かしらの病原菌を持つ可能性すらある
そしてその男は非常に冷静にこちらの隙を見ている
落ち着いていられる訳がない
カチンッ! ズバッ!
ショーテルを振り上げ鉈を跳ね除け、もう一本でガラ空きの腹を斬りつける
ガチャッ…
「ッッ!!」
ここに来ての鞘ショットガン!
しかし 本来騎士には銃など当たらない
そのための散弾! 避けなければ面の攻撃を受ける
やはり当たらない
そのための閃光発生弾!!
ドキョッ!! ドバッ… キカアアアッッッ!!!
「ッ!!」
カチンッ!
目眩しを喰らい正確な攻撃を諦めた敵はシャーテルを連結させ、
ギュギュッ… ギュルルルルル!!!
柄に付与した術式を起動し手のひらの上で回転させ突撃する
銃を避けるため離れて閃光を喰らったのだが、とにかく前からの斬撃が来る前に対処したい一心でまた近づいたのだ
閃光弾、 一般にイメージされるほどの 喰らえば短時間目が見えなくなる
それほどの効果は無く、 一瞬ビックリするか、数秒ボヤける程度である
ボヤける視界 しかし正面から左右に動いた風には見えていない
つまり 少なくとも正面にいると考えての攻撃なのだ
ズバッ!
スカッ……
まさかの位置!
なんと背中を見せ帰っていく!!
逃げるべきである
持ち前の想像を超えるような相手と、 戦ってはいけない
タワケ! 間抜け!! バカ!!! 阿保!!!!
飛び込む 飛び込んでしまった!!
「まぁ…わからんでもないが、 迂闊だよ…」
カパッ… シュシュシュッッ!!
ドズドスドス
ドサッ
先ほど地面に刺さったスライダーの柄の部分が展開し小型の針が射出
全て命中し敵、
沈黙
ようやく終わったが、ゆっくりもしてはいられない
番号待ちは決まって部下もいる
基本命惜しさに逃げるが、こと番号持ちの一味に限ってはイカれたやつしかいないのでそうもいかない
「……僕はね…」
ズシュッ! ゴッリュッ!バッ ドボォ! グジュジュッ
ズルゥ ドパア! ガリッ! デゥブブッ ゴポッ ビジッ! ベジョオッ!
ベッチョッ… ドチャッ…カリカリカリ…
30人以上斬り捨て、戦闘中に着いた血や肉片を滴らせながら歩きつつ、 一言
「……俺は、 僕で良いんだよな? 私は自分だが…… いや、僕のはずだ 私でないはずがない…」
「君はどう思う……?」
えっ………?
――――――――――――――――――――――――
「ハアッ!!??」
がバッ!
「夢… 記憶の同化? でもP.Kにも乗ってないし……
あの鉈、『俺の』 鉈そっくりで……
えっ? 俺っ、て… 今……!」
ガサガサ…… もにっ…!
「あっ…」
手元を弄っているとなにか柔らかいものに触れ、
更に
ガチャッ 「さっきの倒れてた人、とりあえず運んだけど大丈夫かなぁ ミトン様、あれ? 鍵、もう開いて…… は?」
到着したフレクが入室
客観的に今のミトンは、寮に入って早々自分の部屋に連れ込んでベッドで寝ている女に若干被さった体制で胸を揉んでいる……
ように見える!!
「……誰ですか? ……その女…」
「いやっ! 違うからっ!」
「何がです? 何が違うんですか?」
「さっき助けてもらってえ! 私もちょっと助けて今に至るのよ!!
まだ名前もこれからでっ!!」
「つまりまだ名前も知らない相手に盛っていらしているのですね?」
「いやいやいやいや その認識はおかしいんだってぇ……」
「私も混ぜてくれないとですよ」
「あぁ 確かに! …… てっ! え? そっちなの?」
(あちゃー フレク、まさかそのタイプかー どうしよっかなー…… あれ? クッソ スケベよねこれは……… ああー 流されそうー この感じ流されそうーーー
早くおきてくださいパイセーーーン!!!!)
「とりゃあああ!!!」
「いや待ってええええ!!!」
ルパンダイブしてきたフレクを押さえつけ、チラリと先輩の方を見る
目が合う
「「あっ……」」
ミトンは気づいた
客観的に見ればこの状況もミトンがフレクをベッドに押し倒しているようにしか見えないと!!
「先輩… これはぁ〜〜……」
「あっ… 私のことは気にせずどうぞぉ」 スススス〜〜
「違うんですー!! だから逃げないでくださいい!!」
「先輩も混ざらないんですか?」
「そこお! ややこしくなるからやめてーー!!」
「いえ、 私はこういう時は見る専デス」
「えぇ……」
結局あれこれ誤解を解くのに10分ほど掛かったとさ
「私は ハワイブル・アイス エフェクー科2年デス」
「よろしくお願いします 先輩
改めて、私はレーダー O ミトン です」
「あっ、 私も同じく一年の フレク です……
あのぉ… ハワイブルさん… いえハワイブル様って、 タリシャート朝廷の……?」
「ハァ…… 確かに、 そうデス でもあまり気にしないでちょうだい? ……それに、 一年生で私なんかと一緒にいたら貴方達にも迷惑になっちゃうデス…」
「それは……」(さっきの嫌な先輩の態度、 アレね!)
「ぅんっ……」(なんかそれ、なんとなくわかっちゃう… ヤダな……)
向こうさんから言ってきた こういう場合、本当に"そう"なのだろう
実際"そう"である
しかし、ハワイブルは可愛い
なら、ミトンという女
もちろん"こう"する!!
「ふぅ〜ん でも先輩可愛いし 特に気にしませんよ? そんな事よりご飯行きましょうよ! ご飯!」
と言いながら肩を抱き込みビシッと前を指を刺す
「!?」
「ご飯です ご飯! カッカッカッカッカッ」
特徴的な笑い方で人懐っこい笑顔を見せる
「んっ! うぅん!!」
ババッ!
振り解いて走って行ってしまう
ミトンら騎士の力では逃さないことなど容易いが、
やはりそこは騎士
嫌がられたら離すしかないのだ
「ミトン様…!」
「あちゃー 振られちゃったカナ?
……フレク、 私はね ああいう風にしか人と仲良くする事、わからないの……」
「い、いえ… 確かに、人によって相性はあります
ですが、 あの、ハワイブル様に必要なのはきっとミトン様のような……!
だから…!」
「カッカッカッカッカッ そう言ってくれるなら、ね そうよね カッコいい騎士、 なるならこれぐらい」
こうは言っているミトン、 実のところまだまだハワイブルにアタックする気満々である!!
「ヨシっ! フレク ご飯行きくわよ ところで、食堂どこだっけ?」
「ええっとぉ… たしか建物の右下 中庭に面した当たりのはずです」
「早く行くわよ! 相席狙うの!」
ドヒュウウウウウウンッ!!!!!
――――――――――――――――――――――――
ガヤガヤガヤガヤ
食堂
上品ではあるが流石に全校生徒が集まるとなると多少賑やかである
「雰囲気、アレね ○リーポッターと○星の魔女の食堂合体させた感じね」
(知らない… いえ、超昔の作品でしたっけ?)
雰囲気のあるカフェ(クソデカい)と言った具合である
「とにかく肉よね〜 メニューはっとぉ…… あれ? 注文ってぇ」
券売機がなく、直接注文でも無さそう つまり
事前注文式学食……!!
「はぁ〜〜 まぁ幸い、購買あるみたいだしそっちにしよっか」
「アハハ… そ、そうですね」
ミトン おにぎり、惣菜パン、プロテインバー、牛乳
フレク 肉弁当、パン、フルーツ、秋刀魚猫のサラダチキン
なかなかの量で売店のオバチャンに先輩にパシリにされているのかと心配しれつつ買い、抱えて席を探す
「さてどこに… あっ! 先輩ーーい!! ご一緒しまーす」
「え!? レイダさん! さっき何を聞いて…」
ドサッ
「失礼しま〜す」 スススッ…
二人が座る
ミトンが正面、その隣がフレク
「良いじゃないですか先輩 わざわざ追ってきたんですよ〜?」
「なんでそこまで…!」
それを聞き突然おちゃらけた雰囲気が消える
「可愛い子と仲良くなりたい
これ以上の理由は他にないんです」
「何より貴女は、 ハワイヤブル先輩は良い人ってわかるんです」
「……!!//」
(まったく… ミトン様は こんな調子でなら、私が背中 守って差し上げなきゃですよね)
「さあ! 早く食べちゃいましょう」
急に後方理解者兼彼女面しましたフレクであった
――――――――――――――――――――――――
「ご馳走様っと… 次の授業ってなんだっ……
"侵略意思"が、来る…」
「ミトン様、何か言いました?」
フレクが聞くと同時に横から声がかかる
「あれえ〜 私達の定位置なんだけど! ここ
パチモンに、一年生ちゃん達、」
「退いてくんない?」
二人組のイヤな雰囲気な女子生徒である
やはりこういう手合いはいるのだ
もちろんハワイヤブルへの嫌がらせのためである
「んで? あぁそうだ ねえフレク 流石国立、味は完璧ね 明日はちゃんと注文ね」
「そうですね やっぱり売店って、食堂に比べたら少々割高ですよね」
「トンカツとかチキンステーキ、良いわね お昼は肉よ肉」
完全に無視し会話を始める二人
しかし、
カチャカチャ
「二人とも 行こ? えっ…?」
どうやらトレーをまとめ移動しようとしていた様子のハワイヤブルが立ち上がりミトン達の方を見るが、 まったく意に介さず会話している様子を見て戸惑う
慣れ、習慣とは恐ろしいもので、家柄でいえばこの中の誰よりも位が高いのだが…
よく知らないミトンはともかくアホ二人とその他大勢はこの調子で、ハワイヤブル自身もとっくに違和感を感じていないのだ
いつものミトンなら無視するか殴り込む所だが、つい先ほど自分とはノリの違う者もいると理解したばかり
グッと堪え、 どうせ移動するだけか と納得した
ハワイヤブルが、「良いのよ、 もう食べたから…」 とまだまだ残ったチキンピラフ定食のトレーを持ちながら言う
「あれぇ〜 じゃあそれ、 もう要らないのね? ぅペッ…!」
グペチョ… 飯の上にガムが吐き掛けられる
すかさずキレたミトンが殴り飛ばそうと飛び出し、それに気づいたフレクが無理だとわかっていながら止めようとした瞬間
横から声がする
「それ、 要らぬなら私が頂こう」
ミトンが思わず方向転換し今すぐ口説きにかかりたいレベルのイケメンである
エイトーもイケメンではあったがあのアンバランスさ
それとは比べ物にならない
全てが完璧
ジャックと同程度であった
名を、 コウ・カツホ 香・勝滅 騎士である
正真正銘、 破綻者 ド変態である
「えっ、 貴方!?」
ミトンが反応するが、それより早く完了する
ヒョイッ パクッ…!!
ジュジュッ…! グッチュ! クチャクチャクチャクチャクチャクチャ
ゴクンッ!!
ニュッチャ もごっもごっ…… タチッ…プッ ニュ~ プクチュッ
ゴクンッ!
「ふむ、 ふむふむ 美味…!
では私はこれで… 失礼する」
一度ガムに付いた女子生徒のヨダレなどを吸い取り飲み込んだ後、咀嚼しまた飲み込み去っていく
アホ二人含めたミトン達5人は言葉を失い呆然としている
その後何故か皆んなで椅子に座り、無言のまま昼休みが終わる
この変態が今後準レギュラーとして登場するとはミトン達はまだ知らない
これにて午前終わり
ここから午後、 初ホームルームである
(最初のやつはミトン達の決闘と例の襲撃で流れてしまった)
さて本当にただの日常回
面白かったでしょうか
次回からもたぶん日常回ですかね?
まっ、 是非楽しんで頂きたい
乞うご期待です!!




