鋭い風
今日の更新はここまでになります!
「……ってことで、早速友達作りのための作戦会議をしようか」
正気を取り戻して話し合いに戻る。
こくりと頷くのを見て、瑠凪は口を開いた。
「最初は、そうだな……どんな友達が欲しいのか、簡単に人物像を設定してみよう」
「人物像……ですか?」
小学生に話すように、瑠凪は丁寧に説明する。
「あぁ。仮想的にでも、目的を決めておくのは大切だろ? 仲良くなりたい子がインドア系だったらグラウンドにはいないし、スポーツ系だったら図書館……には課題のためにいるかもしれないな。まぁ、そんな感じ」
「なんとなくわかりました。相手の傾向に合わせた場所やアプローチ方法があるってことですよね?」
思いの外飲み込みが早いことに驚き、満足気に口角が上がる。
「そうそう。だから、静香ちゃんがどんな出会いを望んでいるか、それが聞きたいんだ」
「えっと……私が友達になりたいのは……」
二十分後。
「………………難しいな」
申し訳なさそうに下を向く静香と、頭を抱えている瑠凪の姿があった。
どんな友達が望みなのか、彼女が思い浮かばなかったが故の停滞ではない。
むしろその逆で、「あんまり可愛いすぎると陰で笑われそうだから、程々の子がいいです」とか「私がインドア派なんで同じ感じがいいんですけど、休日連れ出してくれると嬉しいです」とか「あんまり会話上手じゃないから、出身が近い方が話題がある……かも?」とか。
個人の価値観に依るものだったり、矛盾していたり、外見上わかりにくかったり、そういう要望がポンポン出てきてしまったのだ。
「なんなら、出身を聞けた時点で半分友達みたいなもんだけどな」
「そ、そうですよね……すみません……」
流石に細かく理想を求めすぎているというのは理解しているようで、ペコペコと頭を下げている。
「でもまぁ、俺は人間マッチングアプリだってその筋では言われてるからな」
「そうなんですか?」
「バリバリ嘘だよ。今初めて名乗った」
静香は口をあんぐり開けている。
「でも、出来るだけ希望に合致する相手を探してみるよ。とりあえず二日……三日、待ってもらって良い?」
「わかりました。私は何かしておくことはありますか……?」
「……とりあえず、紫ちゃんだっけ? あの子に感謝しとこ」
「……はい……そうします……」
オチをつけるように、鋭い風が一陣舞い込み、ひゅうっと音を立てた。
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