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愛が重いだけじゃ信用できませんか?  作者: 歩く魚
第2章

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飲み会

 待ち合わせ場所が近づいてくると、すでに男子陣が集合しているのが見えた。


「やる気ありますね。まだ15分前なのに」

「あの様子だと3時間前からいてもおかしくないな」


 向こうも俺たちの姿を確認したようで、ブンブンと元気そうに手を振ってくる。


「よぉ。まだ二人?」

「あぁ。飲み会までセッティングしてもらって悪いな」


 蓮が申し訳なさそうに頭を下げる。

 しかし、言葉の中には微かに興奮が混じっているのを感じた。

 ……このあと自分の好きな相手と確実に会話できる機会があるんだから、そりゃあそうだ。

 彼の今日の服装は、初めて会った時と同じくシンプルなものだ。

 紫の好みが分からない以上、無難に攻めるというのは間違っていない。


「セッティングしたのは俺じゃなくて、蓮の隣にいるやつだよ」

「はーい隣にいるやつでーす! 俺が店のリサーチから予約までこなしましたァ!」


 テンションが振り切れているのが二階堂楽人。

 黒を基調としたスポーツミックスのコーデを組んでいる。

 下手すると浮いてしまうファッションだが、彼がスポーツマンで身体が鍛えられていることもあり、むしろ一目で屈強さが分かる特化型として成立していた。

 忙しなく動くものだから、団子に纏めている髪がすごいことになっている。UFOの軌道並みに不規則だ。

 本来なら楽人を抜いたメンバーで行うはずだったが、男女比の均等化や日頃から謎のスポーツを頑張っている彼の息抜きも兼ねて誘ってみたら、即答で参加が決まった。

 というか、自分から場所のセッティングまで秒で終わらせてくれた。


「……古庵、こいつは大丈夫なのか?」

「大丈夫もなにも、KLの部長はこいつだぞ?」

「えぇ……」


 その気持ちもわかる。

 日本人離れした顔の造形もあいまって、今の楽人は完全に、初め

 日本に遊びに来てはしゃいでる外国人だからな。


「いやぁそんなことよりさ、今日はどんな子が来てくれるんです? っていうか瑠凪の後ろにいるのが新メンバーの日向さんだよな? 二階堂楽人です! よろしく!」

「あ、はい」

「驚くほどの塩対応! でも大丈夫、君が瑠凪のことが好きなのは知ってるから、二人っきりになれるように手伝っちゃう!」

「……へぇ?」


 楽人の暴走っぷりに引いていた七緒だったが、何か悪いことを思いついたかのようにニヤリと笑う。


「二階堂先輩、良い人ですね。それじゃあ、私と瑠凪先輩の仲を取り持ってくれるなら、先輩が他の女の子と話せるようにサポートしますよ」

「……理解したぜ。これは心強い味方ができたなァ!」


 ゲームだったらここで「同盟成立!」とか出そうだな。


「浮つきまくってんのに仲間作るのは得意なのな」

「駆け引きってか、敵と味方を区別すんのは重要なのよ。ピチュランダでは特にな」

「ピチュランダどんなスポーツなんだよ……」


 気になるが、一度見てしまったら脳内から離れなさそうなのでやめておこう。


「それで、どんなメンバーが来てくれるんですゥ!?」

「もう着くって連絡あったから――あ、いた」

「どれどれ!? …………わぁ」


 楽人が思わず恍惚の表情を浮かべるのも納得だろう。

 到着したのは安田、白峰の二人だ。共にめちゃくちゃ気合が入っていた。

 大まかにいえば、どちらも依頼を持ち込んできた時と同じような服装だったが、以前よりも細かい部分に力が入っている。

 髪の巻き方やアイシャドウのラメ具合、そして甘く香る香水。

 ……狙った男がいる時の気合の入り方では?


「……二人とも、まだ自分が彼女だって思ってるんだよな? どうしてそんな気合入ってるわけ?」

「いや、むしろ彼女だと思ってるから気合い入れてんでしょ。アタシの方が可愛いって思わせれば勝ち的な?」

「大学で1番の称号を持つ私がギャル如きに負けるなんて有り得ないけど? っていうか足出しすぎなんだけど、恥とかないわけ?」

「は? あんたも香水つけすぎだから。頭から香水振りかけたの?」


 うん、今日も仲が良さそうで何よりだ。

 隣の楽人が震えている気がするが無視……はしないでおくか。


「かっこいいところ見せれば友達紹介してもらえるかもよ」

「……はっ! ミスコンの友達はミスコン……ギャルの友達はギャル! 閃いた!」


 類は友を呼ぶというやつだ。

 可愛い子の友達は可愛いことが多いし、ギャルの友達はギャルなことが多い。


「っていうか、紫ちゃんがまだだな」


 あまり遅れそうなイメージがない紫がまだ来ていない。

 ……と、ちょうどその時、こちらに駆け寄ってくる足音が聞こえた。


「……ごめん、遅れちゃって。ちょっと用事があって」


 息を切らしながら紫が到着した。

 大きく呼吸をするたびに、それぞれ赤と青の髪のサイドが揺れる。

 相変わらずスリムで、黒一色の服装がさらに体型を引き立てていた。


「む、紫さん! こんばんは!」

「ん? うん」


 反応は芳しくなかったが、1番に挨拶する積極性は素晴らしい。


「……これで全員揃ったか」


 男子陣、七緒、紫、喧嘩している二人を見回し、全員集合したのを確認する。


「はーい、それじゃあお店入るから着いてきて〜」


 外でウダウダやっていても仕方ないので、早々に入店することにした。

 それぞれが思惑を巡らせながら、めんど……一筋縄ではいかない飲み会が始まる。

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