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第7章 告白2




第7章 告白Ⅱ


7‐1


「ただいまー」


私はいつも通り帰った


「お邪魔します」


こうちゃんと一緒に私の家に帰った



「あら、この前はどうもぉ」


私の母はこうちゃんに言った


「あ、この前は自己紹介もせずすみませんでした」


とこうちゃんは母に深深と頭を下げた


「そんな…謝らないでください」


と母は慌てて言った


「いやぁ…本当に申し訳ありませんでした」


と言いながらこうちゃんは頭を上げた


そして母に自己紹介をした



どうやら母とこうちゃんは相性がいいみたいだった










7‐2


「ママ、話あるから」


と私は母をテーブルの奥の方に座らせた


手前には私とこうちゃんが並んで座った


「ただいまー」と


聞きなれない組み合わせの声が聞こえてきた



「お、おかえり」


私は思わず動揺してしまった


私達の前に現れたのは


父と弟の羽標〔ハジメ〕だった


「なんで一緒なの?」


母は不思議そうに言った


「たまたま帰り道で会ったんだ。この子は?」


父も不思議そうに言った










7‐3


「僕は…」


とこうちゃんが言いかけた瞬間


「あっ!」と羽標が指を差して言った


「どうしたの?羽標」


私は羽標に言った



「この人知ってる」


と羽標は言った



「まぁまぁとにかく座ってさっ!なんか話あるらしいから」


と母が言ってくれた



「僕は、夏美さんと現在お付き合いさせていただいている桜井航祐と申します」


父は無表情


「実はね、あたし赤ちゃんできちゃったの…こうちゃんの」



父、母、羽標、無表情のまま



「はっ?何言ってるの」と母はパニック状態



父は黙って目を閉じていた


「パパ?聞いてるの?」と


私は思わず怒鳴ってしまった



「ねえちゃん…まじ?」と羽標


羽標は小学5年生のくせに1番冷静だった









7‐4


「ねえちゃん、生むの?」


両親はすっかり放心状態



もう私と羽標の会話になっていた




「生む」


私が一言呟いた


「彼氏さんは?ねえちゃん生むっつてるけどー?いいの?」


羽標はこうちゃんに言った


「僕は生んで欲しいと思っています。だって、僕達の赤ちゃんだもん。会いたいからね」


とこうちゃんは優しく言った


「はぁ…まぁ彼氏さんもいい人みたいだし、生んでほしいって言ってるし、生めば?」



羽標は優しくて、活発で、


成績は中の中って感じだが、頭の回転が早く、とてもいい子


祖父に似てちょっとワルで、言葉づかいが悪いところは改善すべき点だが


可愛い顔とのギャップがあって周りからは人気があるようだ


しかし、当の本人は、恋愛などには全く興味が無いらしい



「ありがとう、羽標」


私は泣いてしまった


「泣くなよねえちゃん」


羽標はこうちゃんがいるのもお構いなしに私を強く抱きしめた


私より小さい体のくせに……私より温かくって……


なんか安心できた










7‐5


「航祐君がいいって言うならいいんじゃない?」


急に母が言った


「ママ…」


「だって、航祐君いい子だしさぁ…ママはこの子なら大丈夫な気がする」


ママは真剣な目で言ってくれた


「ありがとう、ママ」



さぁて


問題は父である



「パパ、だめ?生んで」


いきなり父に振ってみた



父は静かに口を開いた


「生んでも構わない。でもそんなに生みたいのなら自立しなさい」


父はそう言った、目を閉じたまま



「自立なんて無理よ!働きたくっても働けないんだから!自立しろっていうなら

 住む家と毎月の生活費をください。それだけあれば自立して生活できるから!」


私は物凄い勢いで言った


こうちゃんも母も羽標も驚いていた


「わかった」と父は言った










7‐6


今は10時


私は自分の部屋にあるベッドの上でこうちゃんと電話している


「僕達どうなるのかなぁ」


こうちゃんは心配そうに言う


「もし、もしね、2人で暮らすってことになったらどうする?」


私は少しの不安を抱えながら言った


「そうだといいなぁ。なんか2人で暮らすの楽しそう」


とこうちゃんは明るく言った


そのあと私達は「おやすみ」と言い合って電話を切った



「パパ?」


私は1階に行って、パパに話し掛けた


「夏美、本当に自立できるのか?」


と表情を変えないまま言った


私は無表情で首を縦に動かした



「待ってろ」


と父は自分の書斎へ行った



「これ」


と渡されたのは厚い茶封筒だった


「なにこれ?」


私がそう言うと


「それで暮らしなさい」そう言った


中を見るとたくさんのお金が入っていた


「住むとこは?」


「明日探してきなさい」


と父は言った



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