第1章 毎日
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あれから、あたしは断れなかった
「お試期間みたいなってだめ?」
そんなこと言ったら
「いやだなぁ。そういうの。無理なら無理でそう言ってほしい」
ってまた真剣な表情で言われちゃって…
「じゃあ…付き合っちゃいますか?」
なんてかるーく言ってみた
「ほんと?ほんとうに!?」
そんな風にはしゃぐ桜井君を見ていたら可愛くなって
「ほんとだよ」
とかって微笑んじゃった…
私達は付き合いはじめることになりました
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「おはよー!」
昨日の事聞かれそうだな…
「おはよ」
私は少し緊張していたせいでテンションがさがっていた
「おはよう」と誰かが後ろから私の肩を叩いてきた
振り向くと後ろに立っていたのは桜井君だった
「お、おはよう」
私は慌てて返した
「えっ何!?この2人どうなってるの!?」
仁百が少し焦りながら言った
私は、ゆっくり口を開こうとした
「僕達、昨日から付き合うことになりました」
と桜井君が言ってくれた。
私は思わず「桜井君…」と言ってしまった
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私達はあの後アドレスを交換したのだ
そして
「もう桜井君って言わないでください」
って言われたばっかりだった
「じゃあなんて?」そう私が言うと
「好きなように呼んでくださっていいです」って
だから私は“こうちゃん”
桜井君は“なっちゃん”
と呼び合う約束をした
あと、敬語禁止の約束も
「なっちゃん?今“桜井君”って言った?」
と、さっそくつっこまれてしまった
「んー?バレた?ごめん…」
と言うと「いーよ!可愛いから、許す」
「朝から熱いねー!じゃあ先に行ってるよー」
と…その場に2人置いていかれてしまった
「なんかごめんね」と謝ってくるこうちゃんがすごく愛らしかった
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正直言って初めは、付き合うことにあまりノリ気じゃなかった
一応私より2つ下だし、あんまりこうちゃんのこと知らなかったから
すぐ終わるんじゃないかと心配だった
でも彼は私が思っていたよりしっかりした人間だった
彼は誰よりも私を想ってくれた
そして、誰よりも私を大切にしてくれた
でも、これから毎朝、こんなラブラブな状態で学校に行くと思うと…
ちょっと複雑な気持ちだった
でも、こうちゃんと付き合い初めてから、毎日がとても楽しく
私にとっては、毎日宝石箱みたいに思えた
少し恥ずかしかったけれど………