第13章 誕生
第13章 誕生
13‐1
背中にうった麻酔はとても痛かった
でも少ししたら痛みは引き、意識はあるまま感覚だけがなくなった
それから……お腹をくすぐられているような感じがして…
そしたら、赤くて皺くちゃの赤ちゃんが大きな泣き声をあげていた
なんだかよく分からなかったが赤ちゃんは無事に生まれてくれたらしい
本当に良かった
「おめでとう!男の子よ」
中山先生は私に赤ちゃんを見せた
「先生、ありがとうございました」
私は思わず泣いてしまった
「よく、頑張ったわね」
「はい……」
私が赤ちゃんを抱いた時
「なっちゃん!」
こうちゃんは私を心配してくれていた
「こうちゃん…私」
「喋んなくてもいいよ…頑張ったね、なっちゃん…ありがとうね」
こうちゃんは号泣していた
「こうちゃん…抱いてやって…?」
「うん」そう言うとこうちゃんは生まれたばかりの赤ちゃんを抱きあげた
「可愛い……」
こうちゃんの顔は涙と笑顔で溢れていた
「こうちゃんも赤ちゃんも可愛い」
私は1人、呟いた
13-2
「夏美ちゃん」
こうちゃんのお母さんが病室に来た
「こんにちわ」
麻酔が切れてきて少しお腹の傷が痛むが私は笑顔で言った
「おめでとう。頑張ったわね。」
こうちゃんのお母さんは笑顔で言った
「はい、ありがとうございます。」
「夏美ちゃんだったらきっといいお母さんになれるわね。期待してるね」
とこうちゃんのお母さんは言い「赤ちゃん見てくる」とニコニコしながら病室を去った
「姉ちゃん、痛かった?」
羽標がニコニコしながら母と2人で来た
「少しだけ…ね」私は言った
「へぇー…じゃ俺の子供も生んで?」
羽標は無表情で言った
「何言ってんのー?彼女に生んでもらいな」
私は冷たく言った
「じゃ、姉ちゃんが俺の彼女になってー」
無表情で言っているから、妙に真剣に感じる
「姉ちゃんが好きなの?」
「愛してる」
いきなり言われた意外な言葉に私が言い返せなかった
「羽標、お姉ちゃんはもうママなんだから、バカなこと言ってんじゃないの!」
母はそう言ってなんとかしてくれた
「だってー…姉ちゃんが勝手に子供作ったんじゃンかー!俺、ずっと好きだったのに」
初めて聞いた、大好きな弟の本音
でも、できれば、聞きたくなかった
「夏美、羽標のことは気にしないでいいから」
と母は羽標を見ながら言った
「なんだよー俺、結構マジだったんだぞ?」
「ほんと?羽標」と私が言うと「当たり前。今度襲ってやろうと思ってたのに」羽標はそう言った
可愛い顔してるくせに…そんなに可愛い顔がもったいない
「もう、襲えないね、残念でした」
私は笑って言った
「はぁ…まあいーや」
と羽標は言ってどこかに行った
「困った子ね。まったく」と母はため息をついていた