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プロローグ

 IT系企業に勤める社畜、白河元保(初老)は、開発期間2年の大型プロジェクトの基幹業務開発リーダとして、炎上プロジェクトにお決まりの仕様変更、設計誤り、設計変更、顧客からの理不尽なクレームの数々の対応、ずさんで場当たり的なプロジェクト管理に起因したデスマーチ状態を約1年、カットオーバ前のひと月は片道1時間ちょっとの通勤時間でさえ削るためにオフィス近隣のビジホ住まい。


 平均睡眠時間は4時間の社畜生活、永遠とも思える精神を蝕む負のスパイラル生活を乗り越え、サービス開始後の初期トラブル対応についても3日前の緊急パッチ適用を最後にリリースしたシステムが漸く安定的に運用しはじめたため、溜まりに貯まった振替休日と有給休暇の取得を申請した俺は約一カ月ぶりに自宅に帰宅することができた。


 自宅のベッドに入り、顧客からの絶えないクレームの電話/メールから解放され、熟睡できるまで常に頭を悩ませる残課題への対応方針を検討していた高ストレス環境からの脱却により、熾烈な交渉で捥ぎ取った2週間にもおよぶ長期休暇の計画を考える間もなく至高の睡眠に突入するのであった……


 久方ぶりの目覚まし不要な睡眠……平均4時間睡眠の弊害によりたびたび意識は覚醒するが、ベッドのあたたかさから抜け出す気力もなく2度寝、3度寝を繰り返し、空腹を感じだした夕方まで惰眠を貪りつつ、この長期休暇の過ごし方を考えた。しかし、あの超ブラック勤務の後での長期休暇、そもそも社畜にとって自由より束縛のほうが心地よいらしい。


「巷で囁かれているように自由とは孤独とセットなんだよなー。1日が長すぎる……哀しいくらい自由なの……って仕事は不倫相手じゃねぇーよ」



 それから5日後、元保の目は血走っていた。哀しい自由時間からのがれる為、孤独に火を付け……某有名オンラインRPGを3日前よりはじめていた。


 オンラインゲームは元保の孤独を完璧に一掃させてくれていた。現実ではありえないイケメンキャラになりきり、女子大生エルフや妖艶なウンディーネの若妻、獣耳でにゃんにゃんなOLとの癒しのオンラインチャット、社畜生活で鍛え上げた集中力と職人気質からくる妥協なきキャラ育成を不眠不休で楽しんでいた結果である。


「エナジードリンクだけだと流石に逝きそうなんで、堕ちますね」


「ちゃんと寝ないと めっ だぞ」


「今夜アースドラゴン狩りだからね!」


「お疲れー」


「「おつー」」


 さて、コンビニ行って食糧調達にでもいかないととマンションを出ると長時間の極小睡眠によりマンションのドアを開け外出したところで建物の影などが3D化しグネグネ動くようなの中、運悪く非常階段脇あたりで元保の意識は薄れて倒れ込んでしまったため、非常階段を下落……

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