もう【外れスキル】なんて言わせない③
「【鑑定】結果出ました。間違いなく、アトラク=ナクアの素材です! し、信じられません!」
「スキル鑑定結果出ました。スキル名は……【超嗅覚】!? 聞いたこともない……いや、もしかして伝説の超感覚か……!?」
「おおおおおおお!」
職員達の驚愕の声が響くと、観衆達がざわめいた。
いつの間にかギルドの建物内にいる全ての職員と冒険者がこちらに注目し、ギャラリーと化していた。
「ひ、ひ、ひ、申し訳ありませんでしたああ!」
キュゥ……バタリ。
さすがに事の大きさを悟ったのだろうか。
問題の受付嬢は真っ青になりながらも、なんとか謝罪の言葉を捻り出し……そのまま気絶してしまった。
おそらくギルドはクビになるだろうが、これもひとつの経験だ。
せいぜい今後の人生に活かしてくれとしか言いようがない。
「なるほどスキルの覚醒か……超感覚に目覚めたのであれば、討伐できたとしても不思議はない」
理解早くて助かる。
さっすがギルマス。
もう大体わかったようではあるが、改めて事の顛末を一通り説明した。
アンドリュー達の裏切りから、巨大蜘蛛の討伐まで。
話を聞き終わったギルドマスターは難しい顔をしている。
「……ふむ。キバくんがそれでいいのであれば、巨大蜘蛛の死体の回収はギルドで請け負おう。欲しい素材とかは無いかの?」
「いえ、今の俺では武器や防具の性能は関係ありませんから」
「なるほど……では討伐報酬と素材の売却費から経費を差し引いて支払おう。しかし前例がない事態だからのう、金額の査定には数日かかる。それでいいかの?」
「はい、問題ありません」
「となると残る問題は……アンドリュー達の件じゃな」
なんでもアンドリュー達はとっくに国外に行ってしまった、らしい。
まったく逃げ足の早い事だ。
冒険者ギルドは国毎に縦割りの組織になってしまっている。
ギルドマスターからアンドリュー達の行き先に通知は出してくれるらしいが、犯した罪の処罰がきっちり下されるかは……かなり微妙な線だ。
「重ね重ねすまないのう……せめて、キバくんの巨大蜘蛛討伐の件や超感覚の件を公表すれば奴らの処分に影響を及ぼせるんじゃが……」
「それはやめてください。本当に、俺は目立ちたいわけじゃないんで」
それに……アンドリュー達に打つ手は、実はもう決めてある。
国外にいるなら、いっそ都合が良いくらいだ。
「では、話はここまでで。査定結果が出る頃に、また来ますよ」
用事は終わったし、査定結果が出るまではゆっくりするとしよう。
いや、まずは師匠のところに顔を出しておくか。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
少しでも、
「あの伝説の!」「超速理解!」「面白い!」「続きが気になる!」
と思って頂けましたら、
ブックマーク登録や、評価をお願いします!
評価は画面下部の、
【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】を押すことで出来ます。
面白ければ是非【★★★★★】に!
もちろん、星一つでも大丈夫です。
読者の皆様の応援が、作者の執筆の活力になります。
よろしくお願いします!