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置物聖女

あるセレティア至上主義の道程

作者: 環 エン

短編『置物聖女は元引きこもりの天職です』に登場する護衛騎士アレン視点です。

短編『拝啓、王太子殿下さま。アレンさん、いよいよ本気出すってよ』と合わせてお楽しみください。

「アレンさんは、本当セレティア様至上主義ですね」


 護衛騎士仲間だが王族の狗でもあるジュライは、俺のことをよくそのように呆れながら言うのだが、そんなことは一々言わなくても極々当たり前のことであり、それを毎度指摘してくるジュライにこそ俺は呆れてやりたいと思っている。


 俺がセレティア様を何よりも尊ぶのは、セレティア様が誰よりも孤高の存在だからだ。


 少し、昔の話をしようか。


 俺は赤ん坊の時に孤児院の前に捨てられていたらしい。聖女の力のおかげで世界の安寧が保たれていても、子を捨てる親なんてのはどこにでもいるもので、王都の孤児院は捨てられた子供が多く暮らしていた。そんな物心ついた時から他人に囲まれて生きてきた俺は、処世術ばかり身についていった。


 俺は他人よりも要領が良かったらしい。何かに躓けばすぐに足を引っ張ってこようとしたり、優位に立っていると偉そうに振る舞う奴が多かったので、そんなやつらに隙を見せたくなったというのもあるが、何事もさして苦労せずに身につけることができた。


 適当に可愛がられ、適当に頼られる。適度に居心地が良くて、適度に寂しい。そんな距離を周囲と築いていくうちに、俺は笑う以外で感情を表現しなくなっていた。どんな時も顔が穏やかであれば敵は少なくなる。それも生きていくための術の一つだった。


 そんな俺も気づけば孤児院から独立を考える年齢になっていた。孤児院で世話になれるのは満12歳まで。例外は国の施設、騎士団や文官などで働くことができる奴で、それらは13歳からの所属だった。合わせて孤児院も事前試験に合格している者であれば所属が始まる春の月になるまで延長して滞在することができたが、それ以外の子供たちは皆13歳の誕生日がくると孤児院から立ち去ることになっていた。


 孤児院から出なければいけない13歳になったばかりの子供が社会で生きていけるのかといえば、半分くらいは普通の庶民のように生きていけた。師弟制度をとっている職が多いので、大体の奴らは住み込みで弟子入りし独立を夢見て生活していく。あとはさらに半分くらいは庶民以上の暮らしを手に入れることができた奴もいる。世界が安寧へと導いてくれるからなのか、何故か上位の身分の人たちとの繋がりを得て大成することがある。まあ、そのどちらにも成れなくて落ちぶれていく奴も少なくはないから、結局は本人の生き方次第だろうけど。


 俺は自分の力で生きていきたかったので、迷わず騎士団の入団試験を受けた。ちゃんと剣を握ったのは、それこそ入団試験の時が初めてだったが、一応孤児院で筋トレや棒を振ってみたりはしていたので体力は問題なくついていけた。技術は試験会場に手本となる人たちが多くいたので大いに参考にさせてもらい、実技試験で実戦を積んでいった。動作を確認、修正しながら剣を振っていたら、気づけば最終試験の勝ち抜け戦で指定の先輩騎士全員を倒して問答無用に入団が決まっていた。


 天才だなんだと言われたが俺にとっては、生きていくための職を手にいれた程度の考えしかなかった。なぜ生きていくのかわからないまま、周囲の必死さにつられて流されて生きてきたから。これからも生活の場が孤児院から騎士団に変わるだけで、この面白くもない人生は続いていくのだと思っていた。


 そんなくだらないことを考えていたのもセレティア様に出会う前までだが、当時の俺には生きる目的が無かった。無駄に要領が良かったのと、他人を信用していなかったので、常に周囲を警戒していたんだと思う。生きる目的を知らないまま、生き残るために笑顔を振りまく。そんなことに意味を見出せないまま、止めることも出来ずに生きていた。


 今の俺が、あの頃の俺に言いたいことがあるとするならば、お前が周囲に気づかれないように必死にもがいて身につけていたものは全てセレティア様のお力になっているから喜べよとでも言おうか。今の俺は自分が要領の良い人間でよかったと日々感謝しているからな。


 そんな俺の人生観を変えてしまったセレティア様の護衛に入団したての俺が就けたのはまさに運命だったと思う。当時、セレティア様は『聖女適応試験』を受験するための必要最低年齢である5歳で資格を認められた最年少聖女であった。そもそも5歳で受験する者が少ないのと、さらに試験を通過出来た者となれば断然に少なく、セレティア様が数十年ぶりの達成者だと話題になるくらいだった。


 期待の聖女様となったセレティア様がお勤めを長く続けられるように、国と教会は環境を整えようとセレティア様との面談で色々と希望を聞いたらしい。その時に出たお言葉が『優しそうで威圧感がなくて、ずっと私がいる部屋の扉を守ってくれる年が近い騎士をつけて欲しい』だったそうだ。


 すぐに騎士団に連絡が行き、合致する人物を探したところ選ばれたのが俺だったというわけだ。セレティア様の望む人物が俺に合致するなんて運命と呼ぶ以外ないと思わないか。まあ、当時の俺はその喜びを知らないままに任命を受け、セレティア様のいる王都の祈りの塔へと向かったわけだが。


「はじめまして、セレティア様。今日から貴女の護衛騎士になりました、アレンと申します。色々至らぬ点も多いですが、これからよろしくお願いしますね」

「……」


 初めてお会いしたセレティア様は、簡素なワンピースを着たとても可愛らしい女の子だった。黙って表情も変えずに、少し長めの前髪の隙間からこちらを窺うようにしている瞳は、孤児院でも新しく入ってきた子供がしていた目に似ている。彼女もきっと見定めようとしているのだろう。


 ここに来るときに聞いた、国と教会との面談でセレティア様が唯一出した人選の希望に合致したのが俺だ。ならば俺は望まれる護衛騎士になるのが仕事だろう。孤児院で世話係をやっていたときに身につけた無害なお兄さんキャラを装い、相手が望むであろう言葉を紡ぐ。


「では、挨拶も済ませましたので早速護衛を始めます。俺は外に出ますが、扉の前におりますから何かあったら合図してください。あとは好きに過ごして構いませんよ。俺は徐々にセレティア様を知っていこうと思いますから、貴女は貴女のままでいてください」

「……ッ」


 なるべく意識しないように扉から出て行ったので、セルティア様の顔をよく見ることは出来なかったが、驚いたように目を丸くさせているのが一瞬だけ見えたので、閉じた扉の前で立ちながらつい口元が緩んでしまったのは仕方がないことだろう。なんというか野良猫がこっちに興味を持ってくれたときの嬉しさというか。


 セレティア様のあの顔がとても可愛らしく感じたし、表情を変えられたことが嬉しかった。相手の望む言葉を笑顔で吐くことなんてずっとやってきたのに、俺自身が初めて相手の反応が嬉しくて、もっと聞かせてあげたいと思ってしまった。つまりさっきの言葉は俺の本心だと言える。そしてその本音が相手の心に響いた。嬉しくないはずがないじゃないか。きっと俺はそこからセレティア様に惹かれていたんだと思う。


 ちなみに初対面でセレティア様の表情をあんなに変えることができたのは、俺が側についてからの統計では、俺以外まだ誰もいないのが自慢である。大概の人間は、あの可愛らしい死んだような目でじっと見つめられるのが怖いらしく、その怯えを敏感に受け取ったセレティア様が近づかないという判断をするので表情が変わりようがないのだ。つまり俺はセレティア様を怖いと思わなかったし、セレティア様も遠慮などせず俺を受け入れてくれたわけだ。やはり運命を感じる。


 ともかく、この出会いでセレティア様に興味と好意を抱いた俺は、彼女の望む護衛騎士になるべく日々を生きるようになった。簡単な奴だと言われるかもしれないが、今までこんな心を動かすことなく生きていた俺にとって、初めて自分からやりたいと思って出来た生きる目的なんだから多少は張り切るだろ。しかも、そのセレティア様が可愛らしい方なんだからもう全力を以て当たるしかない。


 この時の俺は、セレティア様を可愛らしい護衛対象者だと思っていた。自分を選んでくれた彼女に報いたい、仕事をきっちりこなすためにもっと彼女を知りたいと考えていた。


 とはいえ、それは中々難しいことだった。セレティア様が望む護衛騎士とは彼女に干渉しない存在であり、干渉しようとする者への排除ができる存在であるからだ。なので、最初はセレティア様の信頼を得るために、彼女へ干渉しようとする者を排除することに重きを置いた。勿論その間もセレティア様の行動パターンや距離感、表情を観察、把握をして、俺自身が彼女に不愉快な干渉だと思われないように立ち回るのも忘れなかった。


 俺とセレティア様が出会って3年。少しずつ二人の距離は縮まったと思う。というか、お互いの距離感が掴めてきたんだと思う。この頃の俺はセレティア様のことを可愛らしい守りたい女の子だと思うようになっていた。家族という存在を持ったことはないが、セレティア様にはそのくらいの親愛を持つようになっていた。


 そんな俺はセレティア様の表情から気持ちをだいぶ理解できるようになっていたので、コミュニケーションも円滑にできている。まあ、セレティア様はすごく優しい方で、俺との場合はこちらがきちんと彼女を見て対応すれば答えてくださるので、交流に困ったことはないのだが。


 この日は神官の一人がセレティア様への面会を求めてきた。たまに教会や国からの指示で彼女へ繋ぎを得ようとやってくる神官がいるのだが、この男もその一人だった。一度セレティア様は挨拶をしたが、その時の神官の彼女への態度は、彼女をただの自分の駒としか見ていない態度だったので俺は二度とセレティア様に会わせないと決めていた。


「失礼します、神官が一人挨拶に見えました。ただのご機嫌伺いのようですから、セレティア様が直接お会いしなくても俺で対応できますが、どうしますか?」

「……」

「わかりました。適当に言いますから安心してください。ただ、午後の聖女教習には出なくてはいけませんよ。集団ではなく個別指導に変わりましたから頑張りましょうね」


 セレティア様は必要以上の他人との接触が苦手で出来ればやりたくないと考えている。それでも今の環境を守るために必要なことは行うと決めて頑張っていらっしゃるので、俺もそれに沿って行動を決めていた。


 本当ならこの神官が来た事実すら伝えたくはないのだが、こういった手順で面会を断らないと色々と面倒なことが起きるかもしれない。一応、訪問者が来たことを告げる。セレティア様への聞き方も断りやすく誘導しているし、俺は彼女にあの神官を会わせる気はないので一種の様式美みたいなものだ。そして、一番の理由は俺がセレティア様のお顔を見るためにやっているとも言える。セレティア様のことを考えてなるべく部屋へは行かないようにしているが、機会があるならば少しも逃したくはない。


 そしてなんとこの日は少し違った。お顔も見られて満足した俺が部屋を出ようとした時、セレティア様が動く気配がしたのだ。いつもと違う様子に振り向くと、立ち上がって此方を見ているセレティア様がいるではないか。しかも何か話したそうにしている。俺は期待を抑えつつ、なるべく圧をかけないようにしながら、彼女の次の行動を待った。


「……ありがとうございます。その、色々のこと」


 その言葉を言うためにどれだけの勇気が必要だったのか。今でもはっきり思い出せるくらいに、この時のセレティア様のお顔は真っ赤に染まって非常に可愛らしかった。いつも瞳が感謝を伝えているのは知っていたが、こうやって直接の声が聞けると可愛さの度合いも違ってくる。


「俺はセレティア様の護衛騎士ですから当然ですよ。それよりも、セレティア様からお言葉がいただけて嬉しいです。貴女の声が聞けて今日は良い日になりました。では失礼します」


 セレティア様がわざわざ声をかけてくださったことに浮かれてしまいそうになるが、会話が苦手な彼女のためにすぐに部屋から出る。つい嬉しかったと伝えてしまうのは仕方がない。彼女は好意に対して不愉快ではなく戸惑いを覚えるようなので言い逃げは正しいだろう。俺が部屋から出ても俺のことを考えてくれるのならすごく嬉しいことだ。


「アレン殿、セレティア様はどうでしたか?」


 セレティア様の言葉と表情を脳内で噛み締めているところだったのに、待たせていた神官が話しかけてきた。そのことに大分イラついたが、この男が訪問したおかげであのセレティア様が見られたのだと考えれば、少しだけ優しくしてもいいと思えたのでいつもの表情で対応する。


「あぁ、すみません。やはりお祈りに集中したいようです。午後は聖女教習がありますし、それまではお祈りの時間になりそうです」

「わかりました。セレティア様が聖女としてお勤めを果たしているのは存じてますが、これからも頑張っていただきたいものです。しかし、アレン殿も騎士というよりも世話係のようで、全く子守は大変ですな」

「セレティア様は大変可愛らしく賢い方なので子守だと思ったことはありません。護衛騎士として彼女をお守りするためには訪問者の対応も致しますよ。害悪は排除しなければいけませんからね」

「し、失礼します」


 慌てて去っていく神官を見ながら、直前にセレティア様の声を聞いていなければ、あの不愉快な神官をこの祈りの塔からすぐにでも追い出していたなと思う。セレティア様を都合の良い存在として軽く見ている神官は、彼女の行動を時々馬鹿にするように見ているのだ。


 全ての神官がそういうわけではないのは知っている。教会がセレティア様を長く聖女に置いておきたいのもわかるが、彼女自身を見ることなく利用することしか考えていない連中が多いのは非常に迷惑な話だった。そんな感情にセレティア様を晒したくないし、その辺りの環境づくりもしておこうと、この頃から俺は色々動くようになる。


 俺が出来ることはセレティア様の周辺を、彼女が生活しやすいように整えることくらいだ。色々動くようになってから4年経ち、セレティア様も12歳になった。俺が孤児院を出なければいけなかった年齢でもあるように、この国では準成人となる年齢だ。ちなみに成人は18歳である。


 5歳の時から聖女として王都の祈りの塔で生活をしていたセレティア様だが、これからは別の塔に移動の希望が出せるようになる。彼女の実力ではもっと早いうちから移動してもよかったのだが、恩恵を間近で受けたい王家の要望で、幼い彼女を王都から離すのは何事かとずっと許可されなかった。しかし、準成人となるセレティア様の要望は、教会としても聖女のために叶えなければいけない。


 セレティア様を理解し考えてくれ、俺が色々と動いていた時も協力してくれた、信頼できる神官や先輩にあたる聖女様たちは、セレティア様が王都の祈りの塔の暮らしでは聖女の力を十分に発揮できないことを理解してくれていた。なので、セレティア様が12歳で転属願いを出したときに積極的に動いてくれて上層部まではスムーズに話を進めることができた。


 そのあとは、まあ案の定王家が難癖をつけようと面談を希望しに来たかと思えば、代表でやってきたのは王太子だったり、その王太子からの条件で王家からの推薦でセレティア様の護衛騎士を増やしてから転属することに決まった。


 転属が決まってからセレティア様が過ごすことになる祈りの塔の選抜などで一年程かかり、その後に追加された護衛がジュライだったわけだ。最初は生意気な奴で頭に来たが、しっかり教え込んだら随分と素直な奴になっていた。あの王太子と幼なじみで友人だというのだからこの男も貴族なのだろうが、そういった雰囲気を感じさせない奴だった。多分王太子もそこが気に入っているんだろう。今ではすっかり鍛錬が好きなやつになっている。鍛錬は手段であって目的ではないと思うのだが、まあ楽しいのなら構わない。セレティア様もそう思っているみたいだし。


 そんなセレティア様も王都の祈りの塔から、国境の祈りの塔を一人で任されるという大役を担ってから先に予想した通り、現在は聖女の力を存分に発揮し日増しに強くなっているくらいだった。聖女の力というのは個々人の資質によって発揮される力の強さが変わると言われているが、セレティア様は歴代の聖女様の中でも上位に値すると王都にいるときから言われていた。


 今のセレティア様は初代聖女様にも匹敵するのではと魔法陣を管理している神官が話してくれた。セレティア様も長く聖女を続けたいだろうから嬉しいことかもしれない。


 初代聖女様は生涯現役で聖女を勤めた唯一の人とされている。祈りの塔と魔法陣のシステムを作り上げ、この国の建国にも携わったとされる偉大な人物だ。彼女の伝記はいくつか残っており、その中で俺は見つけてしまった事実があった。


 そして、それを知った日から俺には一つの欲が生まれた。


 セレティア様が孤高な存在に感じる理由。それは彼女には自分だけの世界があって、それだけを大切にしているからだ。俺も一人で生きてきたと思う。孤独だと感じることもあったがうまく生きてきたとも。そしてセレティア様に出会って、俺の世界にはセレティア様が存在するようになった。生きる目的ができて幸せを手に入れたのだ。


 セレティア様には最初から自分だけの世界があった。彼女はそれをずっと大切に守っている。部屋という殻に籠もってその世界を愛で続けていた。彼女の天秤はいつも彼女の世界を守る方へ偏る。セレティア様にとって、この世界の安寧などは彼女の世界を守るために必要な殻の一つに過ぎない。


 俺はそんなセレティア様を、彼女が大切にしているものも全て守りたかった。彼女だけで完結している彼女の世界の一番近くにいるのは俺だと自負していた。時々その世界から外を見ているセレティア様の瞳に映るのが俺ならいいと思って、ずっと彼女の世界に寄り添っていた。


 セレティア様が自分の世界を大切にしている限り、聖女の力は発揮され続け、俺は護衛騎士としてセレティア様のそばにいることができる。彼女と彼女の世界を見守り続けるのが、俺の仕事だと手に入れた幸せなんだと思っていた。


 16歳になった彼女は可愛らしいだけでなく美しくなった。5歳の時から俺の大切な人ではあったが、そこに違う欲が乗るようになったのは初代聖女様の件を知ったからなのを自覚した。自覚して諦められないのなら、あとはもうやるしかないだろう。


 ビビアン嬢の件で少しだけセレティア様が外の世界に触れた。こうやって少しずつ馴らせていけば彼女の世界も少しずつ広がるだろう。


 セレティア様のお側で彼女だけの世界を一番近くで見ていた。俺の世界にはセレティア様がいるのに、彼女の世界には俺がいない。それでも彼女が幸せならいいと思っていた。それなのにいつしか、満足できなくなっていた俺はセレティア様の世界に交ざりたいと思うようになった。彼女に俺を自覚させたい。彼女の世界に俺も受け入れてもらいたい。そんな自分勝手な欲望だ。


 ただ強引なのは本意ではない。ずるいけど俺はセレティア様が望んだ護衛騎士であり続けたかったから。セレティア様の望むことをしてあげたいし、叶えてあげたいのが根本にある。であるならば、セレティア様が望むようになるまで俺が誘導すればいいのだ。彼女の一番近くにいる俺ならばきっとできるだろう。


 まあ時間ならまだ沢山あるし、のんびり行こうじゃないか。でも早くセレティア様に教えて差し上げたい。


 ねえ、セレティア様。初代聖女様は生涯現役で聖女の力を発揮した偉大な方ですが、実は生涯愛した伴侶がいたそうですよ。大切なものがあるから世界の安寧を祈れないなんてことはないのです。きっとセレティア様も知っているでしょう。


 早く貴女の世界に俺を交ぜてくださいね。



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― 新着の感想 ―
[良い点] セレティア様が喋った…多分初めて アレンさんのセレティア様至上主義が判明 でもセレティア様…ただのヒッキーなんだけどね
[一言] こうして読んでみて聖女様至上主義もなるべくしてなったんだなと思いました。 ところで初代聖女様も引き籠り気味だったのではという説が自分の中で浮上しているのですが…
[一言] 面白かったですが、セレティア様には孤高を貫いて欲しいですね( ・`ω・´)
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