表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

最後の責任


 髪型を変え、生活環境も変えた。美味しい物を作ったり、食べに行ったりし体重も増やした。胸のサイズもAAからAサイズに、背筋を伸ばし、猫背も矯正した。外見が内面を変えるのか? 俺と一緒にいる事が楽しいのか? 妹は笑顔でいることが多くなり、性格も明るくなった。まあ、オタクなのは変わらないけど……でも、これなら……彼氏、作れるんじゃないか?


 化粧も練習させ、顔の良さにもさらに磨きをかけた。


 俺はこの一ヶ月で妹に対してやれる事は全部やった。

 これで彼氏が出来なかったら……ああ、いいよ、責任取ってやるよ!


 俺はそれだけ自信があった。今の妹は見違えた……1ヶ月前ボサボサ頭で芋ジャーを着てたあの時とは比べ物にならない位に……他の男に取られるのが惜しいって思うくらいに……


 こういうのを親心っていうんだろう……この気持ちは決して恋心ではない。


「よし……これで完璧だ、萌、今のお前なら彼氏が出来てもおかしくない!」


「本当?」


「ああ、よっぽどの事が無い限り行ける……と思うぞ」

 妹は俺から見ても、可愛いと思える位に変わった、この間一緒に出掛けた時も、何人もの男が妹を見て振り返っていた。


「本当!」


「ああ、大丈夫だよ、絶対に出来るよ……あ、そうだ聞いた事なかったけど、お前ってさ、好きな人とか居ないのか?」


「いる……よ」


「…………そ、そうなの? か、あはははは、なんだ早く言えよ、そうか…………あ、じゃあ……そいつの好みを調べた方が手っ取り早かったんじゃねえかよ」


「え……う、うん……」


「まあ……でもさ、今のお前なら、大丈夫だよ、うん……」


「本当に?」


「……ああ、本当だ、俺が保証する!」


「…………」

 俺がそう言うと妹の顔から笑顔が消えた。


「ど、どうしたんだ?」


「ううん……」


「なんで……そんなに寂しそうな」


「お兄ちゃんはさ、私に彼氏が出来たら……嬉しい?」


「え? そ、そりゃ……」


「私ね……楽しかった、お兄ちゃんとずっと一緒に居れて、一瞬にお出かけして、この一ヶ月凄く楽しかった」


「そ、そか……」


「ありがとうね……お兄ちゃん」


「あ、ああ……」

 俺も……楽しかった……こんなに毎日一緒にいても、全然嫌じゃなかった。変わっていく妹を見て、凄くうれしかった。でも……これって誰かの為にやってたんだって思うと……惜しいって、悔しいって少し思う……ほんの少しだけそう思う……思ってしまう。


「…………じゃあ……私、今から……告白……して来ます」


「え?!」


「駄目だったら、お兄ちゃん……責任取ってくれるんでしょ?」


「いや、それは…………ああ、取るよ責任取ってやるよ!」


「本当?」


「ああ……でも……大丈夫、今のお前なら絶対に大丈夫だよ!」


「そか……」


「ああ…………」


「…………じゃあ、行ってきます」

 妹はそう言うとゆっくりと振り向き俺の部屋の扉を開ける。良いのか俺……あの扉が閉まったら……もう妹は……

 俺は何か言わなければいけないと思った。でも何を言って良いかわからない……妹に何か。


 妹はゆっくりと扉を閉める、こちらを振り返らずに、俺を見ずにゆっくりと……

 

 そして……俺の部屋の扉が完全に閉まった。俺と妹の楽しい夏休みが……今、終わった…………終わってしまった。



「良いんだ、これで……」

 そう思いながらベットの上に座り込む………これで良かったんだ、妹も好きな人と…………っていうか、ちょっと待て、妹の好きな奴って誰だ? あの総受けとか言ってた妹の事をバカにした奴か?


 いや、駄目だろ、そんな奴最悪だろ? そんな奴に告白して、オッケーされるとかマジで外見しか見てないって事じゃねえか!


 駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ、そんな奴に、そんな奴の為に、俺はそんな奴の為に妹をあそこまで可愛くしたわけじゃねえ!



「まだ間に合う! 今ならまだ」

 俺は立ち上がり、扉を開け部屋を飛び出す! 妹を追いかけ、追いかけ……



「お、お前……なんでここに?」

 妹は俺の部屋の扉の横に立っていた。


「ん? お兄ちゃん出てくるのを待ってたの」


「俺の事を? な、なんで?」


「…………好きな人に告白をする為に」


「…………は?」

 そう言うと妹は俺に向き合い、笑顔で、今までで最高の笑顔で言った。



「お兄ちゃん……ずっと好きでした……私と付き合って下さい!」



「………………はあああああああああああ?」


「駄目かな?」


「いや、そんな……だ、駄目だろ駄目だよ! お、お前何言ってるんだ?」


「そうかーーー駄目かーーー」

 

「なんで棒なんだ、いや、駄目だ、兄妹で付き合うとか」


「わかった、じゃあお兄ちゃん、責任取って!」


「は?」


「駄目だったら責任取ってくれるんでしょ?」


「あ! あああああああああ!」


「言ったよね? 告白が駄目だったら、彼氏が出来なかったら責任取るって、私、お兄ちゃん以外と付き合うつもり無いよ?」


 妹はウインクしながら俺にそう言った……そうか……そうか、俺は……妹に……まんまと嵌められたのか……


 しかし……一体どこから? 俺に責任取れって言った所から? 最初に泣きついた所から? まさか、もっと前……そうだよここ1年くらいであいつ急にオタクになり、だらしなくなったんだ。こいつは小学校までは評判の美少女だったんだ……それが急に……



 まさかこの日の為に……全部?!



「どうするお兄ちゃん? 付き合う? 責任取る?」


「いや、それは……」


「約束したよね?」


「した……」


「どうする~~~♪」


 嬉しそうに俺に向かってそう言う妹……悔しい、悔しいけど……どこかでホッとしている自分がいた……俺の好みの女子……俺が作った俺好みの女の子に、可愛い女の子に、好きって言われて……俺は凄く嬉しかった。たとえそれが妹だとしても……」


「わかった……わかったから……最後に一つだけ聞かせてくれ」


「なーーに?」


「お前本気なのか?」


「当たり前でしょ?」


「――――わかったよ、じゃあ…………」



 俺は妹を抱きしめた、強く強く抱きしめ、そして耳元で囁いた。



「責任……取ってやるよ……」


 妹に彼氏を作るって言った責任、妹に彼氏が出来なかった責任




 どっちの責任を取ったかは……いつか……また。












今まで書いた妹物中では一番の大失敗作だったかも。


もうちょっとじわじわ可愛くなっていく妹の姿を、それを見てどんどん惹かれていく兄を書きたかったけど……さすがにモチベーションがorz


次頑張ります~~( ;゜皿゜)ノシ

出来ればブクマを外す際に評価か感想をお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ