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妹再生計画その6


「とりあえずは見た目だ、見た目をなんとかしよう、人間第一印象が大事だ! 可愛いは正義だ! お前は可愛い!」


「おーーー!」

 妹も気合いを入れる。自分の姿が変わっていく、どんどん可愛くなっているのが嬉しいのか、常に笑顔でいる。


「まず髪型を少し変えよう、黒髪ロングのストレートも良いけど、俺はアップとか好きだなぁ、編み込みで可愛い帽子とか良いなぁ」


「ふむふむ、じゃあお兄ちゃんがやって!」


「へ?」


「お兄ちゃんがやってみせて~~」


「ええええ、いや、こういうのは自分で」


「やった事ないもん、お兄ちゃんがそういうの好きならやって~~」


 妹はベットに腰をかけながら両手で髪を一度ふわりと持ち上げると斜めに座って俺に背中を見せた。


「し、仕方ないなぁ、で、出きるかなぁ」

 俺はそうは言うも、興味津々で棚から自分の使っているブラシを手に取り妹の横に座る。

 艶やかで綺麗な黒髪、その髪を手に取る。ヒヤリとしたサラサラの髪、ふわりと漂う妹の髪の匂い……な、なんかドキドキする……妹とは言え女の子の髪を触るなんて……初めての経験だ。


 俺はまずブラシで妹の髪を鋤いてみた。引っ掛かる事なくサラサラと流れる髪、絹糸の様な美しい黒髪は明かりに照らされ輝きが増していく。


「なんか気持ちいい~~」


「え? そ、そうか?」


「うん! お嬢様になった気分」


「俺は召し使い方よ……」


「うむ、よきにはからえ」


「うっせ」

 俺は何度か髪を鋤くと、おもむろにスマホを取り出し編み込みの検索をかける。

 「成る程、三編みを何本か作ってそれを纏めるのか……」

 何百通りとある中で比較的簡単な編み込み方法選ぶ。


 俺は妹の髪をせっせと編み込む、なんか楽しい……なんだろう、なんでこんなに楽しいんだろう……ああ、そうか、俺は…………美容師の才能があるんだ、そ、そうだ、うん…………そういう事にしておこう。


「お兄ちゃん……あのね……」


「ん?」

 俺が編み込みをしていると妹が何か言いたげに天井を向いた。


「えっとね、えっと……ううん、なんでもない」


「……」

 なんだそれ? 少し気になったが構わずに妹の髪を触る……するとなんだか不思議な感覚に襲われる。なんだろう……ああ、そうか、これは子供の頃に戻った様な感覚だ。小さい頃妹に付き合わされて一緒におままごとをしてたあの頃に戻った様な感覚に……


 そうか、俺はあの頃からこんな事をしてたんだなぁ……




◈◈◈


 そして色々試行錯誤しながら妹を改造して数日が経った。


「おおおお、見違えた! すげえ……」


「いえーーい」

 俺に向かって親指を立てる妹、アホっぽいから止めなさい……


「見違えたな~~いや、マジでめちゃくちゃ良いじゃねえか」


「そう?」

 妹は俺の前でクルリと回る、ミニスカートがふわりと浮かびパンツが…………み、見えてないぞ!


「ああ、理系女子っぽいな、知的な感じがする」

 赤いお洒落なメガネ、髪をアップにしてベレー帽をかぶり、ストライプのシャツに紺のミニスカート、そこから伸びたすらりとした細い足、す、すげえ……これが俺の妹か……


「えへへへへ、お兄ちゃんから誉められた、嬉しい……」


「お、おお……、よし、じゃあ、後は……」


「ねえねえお兄ちゃん、デートしよう!」


「は?」


「デートしようよ!」


「な、なんでだ?」


「え? えっとねえ……ほら、彼氏出来た時の予行演習だよ、うん」


「いや、でも、彼氏出来たらそれがゴールなんだから」


「えーーーできたらそれでってなんか無責任~~」


「いや、まあ、そうだけど……」

 

「なら良いでしょ、ね?」

 

「あ、ああ、まあちょっとだけだぞ、まだやらないといけない事が一杯あるんだからな!」


「やったあああ」

 

 両手を上げて喜ぶ妹、いや、マジでこれ俺の妹なのか? 可愛すぎる……って何言ってるんだ俺は!


 勘違いするなよ、これは妹なんだ、別人だけど、妹なんだ! でも……でもさ、今の妹は、萌は……俺のドストライクなんだよ……そりゃそうだよ、だって……知らない男、まだ居もしない萌の将来の彼氏の好みなんてわかるわけがないんだ……つまり俺は意図せずに萌を改造して、綺麗にして可愛くして、そして……


 俺の好みに、理想の女子にしてしまったんだから……

 

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