妹再生計画その4
「どうかなお兄ちゃん?」
「良いじゃん、良いよ、うん凄くいい」
「えへへへへ」
美容室から出てきた妹は見違えていた。前髪を整え毛先を揃えただけなのだが全然いい、元は良いんだよ元は、小学校迄は近所で評判の美少女だったんだから。
「よし、じゃあ服だ服、服を買いに行くぞ」
「おーーー!」
段々やる気が出てきた、妹も俺も……
「あ、見て見てお兄ちゃん! あそこの男の子二人、メガネ受けだよメガネ受け、うえへへへへへ総受け~~」
「…………」
訂正、やる気があるのは俺だけだった……だから総受けってなんだよマジで……
「お兄ちゃん、先にここに入ろう」
「え? ああ、そうだな、行ってきな、ここで待ってるから」
「え? 一緒に来てよ」
「えーーーー!」
「お兄ちゃんが選んでよ~~~~」
「はあああ? それはさすがに……」
「だって、男の子ってどういうのが好きかわからないでしょ?」
「いや、それはそうだけど……」
「お兄ちゃん~~~~ねえねえ一緒にえーーらーーんーーでえええ」
俺の腕にまとわりつく妹、あああ、胸が当たる……って言うか、昨日から当たっているけど、柔らかいけど、なんか感触が……微妙な気が……バスト74だっけ?
「ああああ、もうわかったよ! すぐ買えよ!」
「わーーーい」
と言うことで……俺は妹とカラフルな布舞うワンダーランドに足を踏み入れた。
まあ、ただの下着売り場なんだけど……
ファッションモールの専門店ではなく、洋服売り場に併設されている下着売り場なので店員に止められる事はないんだけど、それでもやっぱり視線が刺さる。
ましてやここは家の近所、知り合いにでも見られたらまずい。
「ねえねえお兄ちゃん、どういうのが好き?」
「どういうのって、わかんねーよ、そもそもそんなに種類なんか無いだろ」
「うーーん、そうなんだよねぇ、じゃあせめて好きな色は?」
「えええ? って言われても……青かなぁ」
「フムフム、じゃあこれなんかいいかなぁ、どう? お兄ちゃん」
妹は制服の上から可愛らしいブルー基調の下着をあてがう、髪を切り清潔感が増し、可愛らしい顔で俺にそう訪ねる。
「まあ……いいんじゃない……かな」
「じゃあ、これ買おっかなぁ……ねえねえお兄ちゃんちょっとブラのカップなんだけど少し大きめ買った方が良いのかなぁ?」
「は? なんで?」
「だってさあ、お兄ちゃん私の彼氏作りに協力してくれるんでしょ?」
「ああ、そう言ってるけど、それとサイズと関係あるのか?」
俺がそう言うと妹は、? みたいな怪訝な顔でとんでもない事を言い出した。
「だって男の子っておっぱい大きい方が好きなんでしょ? だったらお兄ちゃんが私のおっぱい大きくする為に協力してくれないと」
「――――は?」
「だーーかーーらーー私のおっぱい」
「大きな声で叫ぶな、聞こえてる、聞こえてるから、てか、な、なんだそりゃ」
「え? お兄ちゃんが揉んで大きく育ててくれるんじゃないの?」
「だから、なんで、は? みたいな顔してるんだよ! しねーーよ、なんでそんな事までしなきゃなんないんだよ!」
「だってえ、成長しないんだもん、AAサイズとかじゃ彼氏出来ないじゃん!」
「揉んでもでかくなんてならねえよ! 都市伝説だ、良いから買ってこい」
「ぶううううううう」
俺がそう言うと妹は渋々レジに向かって行った……てか、バカだ、あいつはバカすぎる……心配だ。―――――――――AAか……どうりで
続いて服に靴、アクセサリーを買いに行く。アクセサリーは、まあ髪止めが良いかな? ジャラジャラと腕に付けたり、ピアスやイヤリングなんかは妹には似合わない。ネックレスとかは彼氏が出来てからデートの時にでいい、予算も少ないし。でも黒髪はやっぱりちょっと重い感じがするからワンポイント付けた方がいいかな?
俺は妹に似合いそうな髪止めを何個か提示した。
「お兄ちゃん選んで……私はどれでも良いから」
「そか、うーーーん、これかな?」
俺はあまり高くない、でも凄く綺麗なハートの髪止めを選び買う。
その袋を妹に渡すと妹は満面の笑みで俺に言った
「ありがと! 嬉しい……お兄ちゃんからのプレゼント、超嬉しい!」
「あ、ああ」
あれ、なんか俺、今ドキドキしてる……おいおい、待てよ、妹だぞ、なんでドキドキしてるんだ? まさか
「即売会で買えなかった総受けBL本が再販しますって告知があった時位嬉しい!」
「台無しだよ!!」
「えーーーーー」
「えーーーーーじゃねえ! 全くそのオタクなんとかならんか?」
「BLは私の魂だから、無理」
「魂って……」
「そして総受けは私の命!」
妹はそう言って可愛いポーズを取りなが俺にそう宣言した。
いや、握り拳を掲げて可愛くポーズ取っても駄目だから、てかマジで総受けってなんだよ!
ああ、勘違い勘違い、妹が可愛いとか無いから! 全然無いから!!