妹再生計画その3
「終わったあああああ」
「お兄ちゃんお疲れ~~」
「お疲れじゃねえよ……」
本は散らかり、下着は散乱、服は出しっぱなし、お菓子の袋はそのまま……もう散らかり放題、だらしないにも程がある。
おまけに片付け出来ない、片付けさせたらむしろ散らかし始める始末。
「とりあえず今回は俺が片付けたから、次からは自分でやるんだぞ」
「えーーーー」
「だからえーーーじゃねえ、まずは生活環境から変えていくんだ!」
「はーーーーい」
「頼むよ本当に……」
妹再生計画1日目は部屋の片付けで終わってしまった。
そして深夜寝ている時に……妹が俺の部屋に来る。
「お、お兄ちゃん~~」
「う、ん? な、なんだ? どうした?」
深夜に突然妹の来訪、俺は慌てて起きる。いつもの芋ジャー姿の妹は暗い顔でベット脇から俺を覗きこむ、こえええよ。
「あのねお兄ちゃん……お部屋が綺麗すぎて、落ち着かないよおおお」
「はあ? し、知らんがな」
「落ち着かないから寝れないよお、どうしようお兄ちゃんんんんん」
「はあ……マジか……わかったよ、で? どうすれば良いんだ?」
「えっとね……多分お兄ちゃんが隣で寝てくれれば」
「はあ? い、嫌だよ」
「お兄ちゃんんんお願いしますううう、寝れないよおおお、明日起きれないよおおお」
明日は妹と出かける予定だ。とにかく時間がない、1日でも早く妹をなんとかしないと……俺は仕方なく布団を捲った。
「ああもう! ほら!」
「……良いの?」
「良いもなにも寝れないんだろ? しょうがねえじゃんかよ!」
「うん!」
妹はそう言うと笑顔で俺の隣に潜り込む、
「えへへへへお兄ちゃんと一緒に寝るの久しぶりだねえ」
「ああそうだな、って、良いから早く寝ろ」
「はーーーーい」
妹はそう言うと俺の隣で目をつむる、俺もそれを確認し目をつむった。
暫くして妹の寝息が……くっそ……俺が寝れねえ。
寝返りを打つ妹、俺を抱き枕と勘違いしているのか、腕にしがみついて来る。妹の髪が俺の目の前に、洗ったばかりの髪からシャンプーと妹の体臭が混ざった甘く良い香りがする。腕には妹の柔らかい胸の感触が……あああ、妹だ、こいつは妹だ! 畜生、なんで寝れないんだ!
「勘弁してくれええ……」
俺は朝方迄、寝つけずに何度も妹を起こさない様に寝返り打ち続けた。
◈◈◈
「ふわあああああああ」
朝方からなんとか少しだけ寝た俺は、妹を起こし出かける準備をする。
妹と出かけるなんていつ以来だ? いは、二人きりで出かけるなんて初めてかも知れない。
「お兄ちゃん、準備出来たよ」
「おーーって……なんで芋ジャーなんだよ!」
芋ジャーから芋ジャーに着替えるってどんだけ芋ジャー好きだよ!
しかもなんだその微妙な小豆色の芋ジャーは……よく売ってるなそんなジャージ……
「だってえ昨日お兄ちゃんが服全部洗っちゃたからこれしか」
「常に洗濯しろって、てか母さんがやってくれるんだから、出すだけじゃねえか」
「えっとね、お母さんに少しでも楽させようと」
「アホか!」
「えええええええ、親孝行でしょ」
「えええええええじゃねえ、そう言うのは孝行って言わん! ああ、もうなんか無いのか? さすがにジャージは」
「うーーーん、あ! 制服は?」
「夏休みに制服……まあ、部活帰りって感じでいいか、じゃあ着てこい、急いでな」
「はーーーい」
はああああ、予定変更、とりあえず服も買った方が良いな……昨日ろくな服無かったし……あああ、金かかるなあ……
10分程で制服に着替えてきた妹と二人で家を出る。
向かうは家の近くのショッピングセンター、まずは妹の髪だ、あのボサボサな髪をなんとかしないと……
黒髪でいつもは癖毛、いつもは……そう、今、妹の髪に癖はついていない……つまり頭を洗った翌日はストレートになる……いつもは癖毛……これから毎日洗わせないと……
背中まである髪の毛、元は綺麗な黒髪、しかし全然手入れをしていないので毛先が酷い、前髪も長すぎて、朝起きた時なんて貞○の様だ。
「とりあえず美容院だ、本当は染めた方が軽くなるんだけど、お前染めたらほったらかしにするから止めとこう、生え際がみっともくなるからな」
「はーーーい」
「終わったら服と下着を買うからな、あと靴とアクセサリーも」
「えーーーーお金ないよおお」
「母さんに少し貰った、さすがに母さんも見かねてたからな、俺も少し出すから」
「良いの?」
「仕方ないだろ」
「ありがと……お兄ちゃん」
「良いよ……」
妹は俺を見つめニッコリと笑う……そうだよ、この笑顔だ。小学生の時はこいつ、いつもこの笑顔でいた。今だって、同じ顔出来るじゃねえか……いつもこの笑顔で、この可愛い笑顔が出来れば、あの頃の様に……出来れば……
良かった……ブクマ0件じゃなくて(。´Д⊂)
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