え、貴族だったんですか……
昨日投稿したと思ったら出来ていませんでした。しょっく。
おれは慌ててアウラから離れる。
アウラも居住まいを正し、おれを睨み付ける。その瞳は、絶対にイリスさんには話すな、と言っていた。
「今日はヒサヤさんが来てくれた日ですから、ちょっと色々用意しようと思いまして」
イリスさんは前が見えないほど、いろいろなものが詰まった籠を抱えていた。野菜や肉、きっと晩飯のために買って来てくれたのかも知れない。イリスさんは籠をどんと机の上に置くと、また忙しそうに外に出て行った。
「なんか、いろいろ買って来てくれたみたいで、申し訳ないな」
おれはぼそりと言った。
「買って来た? 買ってないわよ」
おれの言葉を拾って、アウラが言った。
イリスさんが置いた籠を指して、
「じゃ、それ、どこから手に入れたの?」
「うちの所領からに決まってるでしょ」
アウラはさも当たり前のように言ってくれる。
所領? ってことは、この家だけでなく、この辺一帯がアウラの家の所領ということなのだろうか。
「え、じゃ、小作人とかがいるわけ?」
「そりゃ、いるに決まってるでしょ」
「何人くらい? 百人とか」
「そんなに居ないわよ。七十五人よ」
え? とはてなマークが頭を飛び交う。ということは、こいつは綺麗で可愛いだけの女の子ではなく、金持ち、もしくは貴族のお嬢様ということなのだろうか。そう思って、家の中を見回すと、たしかに、調度品など安物には見えない。
「ででで、でも、なんつうか、お手伝いとか、侍女とかいないじゃん。それに、失礼かも知れないけど、この屋敷だって、べつに、そんなバカでかい訳じゃないのに?」
「だって、これで充分でしょ。それに、わたしもお母さんも、召使いとかを家に入れるほど不自由してないし、使用人だって、そんなことするくらいなら、少しでも生産を高めた方がいいって、お兄さんも言ってたし。わたしは生まれたときからこの環境だから、よく分からないけど」
つまり、アウラは、
「貴族なのか?」
「そうだけど」
なにか文句ある? とでも言うふうにつんとこちらを見つめてきた。




