表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/27

契約解除

 アウラは萎れるようにして椅子に座った。よくない知らせが来たことは間違いない。


 おれはどうしたらいいのか分からない。こんなとき、イリスさんはどこに行ってしまったんだろうか。


「イリスさん、どこ行ったのかな」


「そうだ。わたしはこんなふうにしてちゃダメなんだよ」


 アウラは、バシバシ、と気合いを入れるように自分の頬を叩いた。そして、大きく息を吸い込むと、再び、眦を高くする。


「ヒサヤ。さっきの使いが来たのはお母さんには内緒。っていうか、もう帰っていいよ」


 帰っていい? もとの世界へ帰っていいということだろうか。というか、帰れるのだろうか。いや、帰りたくないことはないとして、こんなにあっさり元の世界に帰ったら、なんのためにおれはこの世界に来て、この美少女と出会ったのだろうか。


「ちょ、まってよ。そりゃなんていうか、おれにも、一応、その、プライドっていうか」


「だって、ヒサヤ全然役に立ちそうにないし」


 そう言われてしまうとなにも言い返せないが。


「まて。おれでもなにか役に立てることがあるかも知れない」


「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないんだよね」


 アウラは先ほどおれがサインした紙を持ってきた。


「これは、わたしとあなたの契約。この契約を反故にするには、わたしとあなたが一緒にこの紙を破らないといけない。この紙を破き契約を解けば、あなたは三日後に元いた世界に戻ることができる」


 え、三日もかかるの。三日もいれば十分だ。三泊四日でスイスに来たと思えばいい。というか、泊まるための簡単な書類とか騙されたわけだ。もしおれがすごい力を持っていたら、この契約のことも知らせずに、ずっとこっちの世界に居させられたわけか。恐ろしい女め。


そうと分かれば、さっさと帰ろう。といってもあと三日はここで暮らさなければならない。美少女と美熟女にも会えた。目の保養もばっちりだ。


 おれはアウラ持った紙を一緒に握って縦に裂いた。


 紙はファンタスティックな青い光を一瞬だけ発して、そして消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ