生存 その7 ギルドⅠ
ケルンブルグ冒険者ギルドのミランに先導されて歩いて行くが
徐々に俺の横に並び話しかけてきた。
「あなた方は変わった恰好ですがどちらからお見えに?」
「ああ、東方より来たのだが道に迷ってな、そこをモニカに助けてもらった」
煽情的な眼差しで見つめて来るとは好かんが、まずは情報収集だな
ヨーコの目付きが厳しいが暫くは置いておこう。
東方と言えばウソではないしな。
「あらそう、貴方の相方さんも武器を持たないし凄い魔法でも使うのかしら?」
ちらりとヨーコを見て話しを振っている。
「おい女よ詮索は好かぬのう」
「あら、ごめんなさいね、でも資格がないなら職員の
私に話してくれれば力になるわよ?」
「何故見ず知らずの俺達に良くするんだ?」
「あらら、嫌われたわね、でも疑り深いのは好きよ」
あまり年下に見える女にそう言われるとカチンとくるが取り敢えずは我慢だ。
そしてとりとめのない会話を交わすとギルドに辿りついた。
まるで西部劇に出てくるような入り口が酒場のような3階建ての建物だ。
「じゃ私はお仕事があるから頑張ってね~~」」
そう告げると足早に先に建物に入って行ったので一旦立ち止まって
一息つく事にした。
「モニカよ先程から黙っていたがどうしたんだ?」
「私、ミランさんに会った事ないから様子見してた」
「若いから下っ端ではないのか?」
「受付では見た事無いです」
「ほおぅ」
「ご主人いいから入ろぞえ」
「まず私が報告をしますので、それからお二人の冒険者カードを作りましょう
それとお二人は中で絡まれると思いますが無視して下さいね」
「ああ任せた」
そうして忠告を受けるとモニカを先頭に冒険者ギルドの建物に入るのであった。
初見の建物に入るのにはいつも緊張する。
キイイイーーバタン
スイングドアをくぐり中に入ると通路があり、その脇には複数のテーブルが置かれ
屈強な物たちが席に座って俺達に視線を送っている。
品定めのようだ。
そしてそのうちの一人が立ち上がり近づいて来た。
「おいモニカ仲間はどうした?乗り換えたのか?」
「私を残して全滅したの、手続きがあるからお先ね」
「おい待て!、お前ら二人は何もんだあああん、美人な獣人連れてよ!!」
ダーーン!!!!、グイッ
「イイイテーハナセ―!!!」
男が目標を俺達に変え掴みかかって来たので、足払いをして倒し腕を取ると
ヨーコが援護に回り周りを警戒する。
「おい兄ちゃんそこまでだ、姉ちゃんも警戒を解けよ俺はギルドのサブマスターだ、
これ以上は騒ぎを起こさせないからボルツを放してやってくれ」
30台位の厳つい男が現れた、中々強い気配が漂うな凄腕の下士官兵みたいだ。
「いいいててえって放してくれよ!!」
「信用していいんだな」
「ああ、ここで仕事をしたいのなら離すのが正解だ」
「判った」
固めていた腕を解き立ち上がると案の定立ち上がり拳を振りあげてきたので
反撃に入る瞬間
「ドス!!」
「ううぐう」
「約束を破んな糞が。おいこいつをつまみ出せ!」
反撃前にサブマスターなるものが撃退し、男を外へ運び出した
素早い動きに感心し、俺もまだまだと実感する。
殺してしまうとなケンカは苦手だ…
「おい、すまなかったな用があるなら先に済ましとけ、ちょい話がした」
「面白い話などないぞ」
「それは俺が判断する事だ」
「判ったよ」
どうやらサブマスターなるものに目を付けられたようだ、仕方が無い。
そしてようやくトラブルが解決して、モニカと共に受付へと向かう事となった。
カウンターは3つあり各受付けには若い女性が体の線が丸見えで、
煽情的な制服を着て応対している、良く分からん世界だ。
「あらモニカ他のメンバーはどうしたの?それと後ろのお二人は?」
「実は…」
あれこれと事情を説明し終わると、受付嬢が俺達の方に顔を向けた、
眼鏡を掛けた鼻周りのソバカスが目立つ愛らしい少女だな、
いたい、足履むなヨーコ。
「遅れました私受付けを担当しておりますパロマです、お二人が手伝って
依頼を達成させたという事ですね?」
「ああ、まあ成り行きでな、俺はスズキ、こいつはヨーコだ。
実は俺も身分証が欲しかったから付いてきたんだが如何なんだ?
俺も冒険者とやらになれるのか?」
そう受付けに問いかけると受付嬢が頭を抱えている、何か不味かったのだろうか?
「取り敢えずゴブリンとやらを倒す腕はあるぞ、後キングゴブリンとやらもな」
ゴブリンの耳が入った袋をテーブルの上に置くと、中身を確認している。
そして満足したのか俺達をじろりと目視している。
「そうですね、本当はゴブリン討伐は単独行動だとDランク、KゴブリンはC
パーティーだとEクラスからの案件なのですが、モニカさんはEでしたね、
弱ったわ、キングゴブリンを倒してるし…
ですが冒険者志望でなくあからさまに身分証希望で来られましたからね」
「それは困ったな、無宿者は避けたいのだが」
「そういうのが良くありません」
「いいわパロマ、ギルドの役に立てるかどうかテストしてもらえばいいわ」
カウンターの奥から同じ制服姿のミランが現れた、襟章が違うから上役か?
何だか流れが変だぞ。
くそっ。
「テストを受けないと証明は貰えないのか?」
「貰えるわよ、一番下のGランクからコツコツとスタートできるわよ
町の駒使いや薬草取りとかの下積みね、あなたたちの年から始めると大変よ」
やはり旨い話は無い様だな、取り敢えずヨーコに確認を取ってみる。
「どうするヨーコ一当てするか?」
「そうよのうご主人、所でミランよテストとは筆記試験もかえ?」
「クスクス」
「何じゃ!」
「御免なさい、字を書けないでしょ?
そんなんじゃなくて戦闘力を調べる摸擬戦よ、実力があればランクを上げて
スタートできるわ、キングゴブリンをそれだけ狩れるから
それなりに腕はあるんでしょ?」
少し不貞腐れたヨーコの顔を見ると取り敢えずはやる気十分で、
モニカはこの状況に少しビビっているな。
だが俺も一から下済みをしたくはなかったのでその申し出を受けることにした。
「いいぞ受けてみようか」
「そう来なくっちゃ、こちらに来てね」
力の差が無ければこの年長者をも敬わないのが西洋人みたいだなと思いながら、
モニカに先導されて奥へと移動すると、屈強な男と女の二人が待ちかまえていた。
初めから仕組まれていたようだ。
くそっ。
「それではお二人さん実力を見せてくださいねよろしくぅぅ」
そんなミランの軽い態度を見てヨーコと二人呆れかえるのであった。