序章 ノモンハン
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1939年ノモンハン
1939年満州とモンゴル国境で日本軍とソビエト軍の国境紛争が起きていた。
そして敗走する日本軍の中で取り残されている歩兵小隊がある。
孤立し敵の波状攻撃を退けた所、主人公である鈴木五郎少尉は
決断を迫られていた。
「少尉殿どうしますか?先程の攻撃で40人いた小隊の生き残りが5人ですよ」
「防御陣地なんてもう持ちません」
わかってるさ友軍とも連絡が取れず全滅に近い状況だという事も、
弾薬食料の残りも少ない。
後は死を待つのみという事を。
ああ、ここで死ぬのか、苦労して士官学校に入学して席次は最下位だが
少尉任官できた事を誇りに思い生還は諦めよう。
捕虜になれないのが大日本帝国軍人なのだから。
幸い?小隊も五人まで減ったから残りの連中は処罰はされまい。
「斎藤軍曹、今まで素人な俺をよく補佐してくれた、今から4人で後退しろ」
「少尉殿も御一緒でないと行けません」
「ありがとう、だが俺が加わると命令違反になるからこれを中隊本部まで頼む」
そう言って袋詰めの書類や地図・書類を渡す。
「軍曹、敵将校から捕獲した書類を4人で中隊本部に届けてくれ、それが命令だ」
「俺は残りの兵と増援を待っていると伝えてくれ」
「そうだな10人位残ってると言っとけ」
俺の意図が分かったのか中年の軍曹も少し涙ぐんでいる。
「後頼みがある、この軍刀を家族に届くように計らってくれ」
「受け賜りました少尉殿、所で動けない兵達はどうします?」
「士官の義務を果たすさ」
一瞬緊張した空気が漂うと軍曹が口を開く。
「手伝いましょう」
そして、二人で重傷者達にとどめを刺し終わると、軍曹たちは後退していった。
「味方の兵に止めを刺すのは、敵と違って精神的に中々来るな」
そう言いながら最後の煙草の火を付け心を落ち着けると、
BOOOOOON! BOOOOOON!
敵の榴弾が着弾し始めたので塹壕に戻ると機械音が聞こえ始めてきた、戦車だ。
足元の火炎瓶に目をヤル。
そして歩兵を伴わず高速で接近してくる。
歩兵抜きとは舐めていやがる。
「BT戦車を道連れか、部下を沢山死なせたから靖国にいけるかな?」
「よし!」
「バンザーイ!!」
DOOOOOOOOOON!!
戦車に向かって火炎瓶を投擲すると同時に衝撃が体全体を襲い
意識が飛んでいった・・・