そろそろ遊びは終わり。
なぜ、俺は気付かなかったのだろうか。
よく考えれば分かることだった。
前世合わせて30年近く生きてきたはずなのに、どうして…。
自分が馬鹿すぎる。
妹に俺は転生者だと告白した。
だが、妹はキモいといって隣の部屋に行った。
それから、告白する前から随分避けられていたが、さらに俺から離れるようになった。
なぜ、離れるようになった?
既に妹は答えを言っていた。
キモいからだ。
そこで気付けば良かったのに俺は気付かなかった。
【前世は何歳かも、何をしていたかも、どんな人だったかも分からない素性を知らない赤の他人だった男が同じ家にいる。】
これが女の子に対してどれだけ恐ろしいか。
明らかに異常だ。
早く家を出た方がいい。絶対に。
けど、どうやって?
真面目に考えるべきだ。
そして、大人になるべきだ。
今は子どもだからって調子に乗った結果が、家族なのに妹と全く話せない環境と状況を作りだしてしまった。
俺は考える。
早く家を出るためには。
この年齢で海外留学は無理だ。
ましてや、この年齢で出ていったら両親が悲しむ。
今日だって、嬉しそうに俺と妹に幼稚園服と帽子とかばんを着させていた。
そうして俺は考える。
考えて考えて、そして結論を出す。
「なるべく家にいないようにするよ。なるべく優菜から離れるよ。」
少し離れて眠る妹に俺は告げる。
もちろん彼女は寝ている。
規則正しい寝息と体の上下が何よりの証拠だ。
今度、起きてる時に謝らないとな…。
「おやすみ。」
俺はやっぱり愛しい妹に背を向けて瞼を閉じた。