転生したら双子の妹(赤ちゃん)ができた!
目が覚めてすぐ思ったこと…。
(やっぱり、俺、赤ちゃんに転生したらしい。)
相も変わらず身体を起こすことは叶わない。
首を動かせば隣で眠る俺の双子の妹の優菜が目に映る。
そして、優菜に対して思うこと…。
(マジ天使。あぁ、もう本当に天使。)
俺は生後数日でもう既にシスコンと化していた。
「んぁ…。」
(あ、起きた。)
優菜がパチパチと数回まばたきをする。
そして大きくあくびをして、しばらくポケーっとする。
それからうねうね動いてから俺の方を向く。
それで俺のことを赤ちゃんのくせに物凄く引いた目で見てくる。
もっと言えばゴミを見るような目だ。
これが、優菜のルーチンとなっている。
シスコンの俺としてはかなり悲しい。
(けど、可愛いことには代わりない。天使。)
しかし、将来、お兄ちゃんとか兄さんとか呼ばれず、ゴミとかウジ虫とか呼ばれそう…。
(良い子に育ちますように。)
切にそう願いながら、俺は優菜に触れようと手を伸ばす。
が、彼女は器用に転がり俺から離れる。
胸中、苦笑いをして、俺は優菜を見続ける。
そんな俺には優菜を見ながら最近思うことがある。
俺が助けようとして、一緒に轢かれてしまったあの少女は、どうなってしまったのだろうか。
俺は赤ちゃんとして転生した。
なら、彼女も赤ちゃんとして、どこかで転生したのだろうか。
もしそうなら優菜がその子なのかもしれない。
(ま、お互い言葉が話せるようにならないとそれは分からないけど。)
「あ、二人とも起きてるぅ。じゃあ、お乳あげましょうねぇ。」
今の母が俺を抱き上げて服をたくしあげ、胸を出し、俺に乳首をあてがう。
このときの俺は特に恥ずかしいやら、下劣な思いやらを抱いたりはしない。
やましいことは何一つない。
それなのに…。
(優菜がいつも睨み付けてきて困る。やっぱり、女の人の乳を飲む行為を睨むってことは優菜は転生者なのか?)
早く真相を確かめたい。
産まれたときから犯罪者って思われてる気がするから…。
ケフッ、とゲップを母に聞かせて次は優菜が抱き上げられる。
「あら、飲まないわねぇ…。」
俺は優菜に背を向けた。
「飲み始めた。」
優菜の方を向く。
「もういらないの?」
優菜に背を向ける。
「やっぱり飲むの?変な子ねぇ。」
俺が見ているときは飲まない…やはり、優菜は転生者な気がする。
気にする必要ないのに…。
そういうことも伝えたい。
早く喋れるようになりたい。