転生したら双子の妹ができた!
その子は自分の人生に少しも、まったく、絶対と言って良いほど関係ない人。
それなのに。
それなのに…。
それなのにそれなのに!
どうして俺は線路に向かって飛び込んでいるのだろうか?
ふと浮かんだその疑問に応える時間もなく、飛び込んで顔を上げれば、迫り来る特急列車。
着地して、その子を抱き寄せながら、ホーム下の退避スペースに駆け込もうとレールを蹴る。
そして、このまま二人は助かる!
だが、現実はとても無情だ。
そんな都合よく、マンガや小説、ドラマのようにはいかない。
彼女の制服がレールの間にある何かの機械に引っ掛かった。
一瞬、俺らは止まる。
だが、その一瞬で、俺らの運命は決まってしまった。
特に説明はいらないだろう。
俺と彼女は電車に跳ねられた。
そして死んだ。
死んだのだ。
なのに…。
(死んだはずだよな…?)
目を開ければ、俺は蛍光灯が灯る知らない天井を見上げていた。
「あぅあぅ…。」
そして、近くから赤ちゃんの声がした。
なぜか自由の利かない体で苦労して隣を見れば、やはり赤ちゃんがいた。
反対側を見てもやはり赤ちゃんがいた。
(なぜ俺の隣に赤ちゃんが…?)
「あぅあぅ。」
ん?
(あーー。)
「ぁーー。」
俺は今、有り得ないことに気付いたかもしれない。
「はーい。勇樹くん、お母さん来ましたよー。」
その時、若い女性の声が聞こえ、上を見れば、やはり看護師がいた。
そして、その人は俺を軽々と持ち上げた。
大の大人だったはずの俺を軽々と持ち上げた。
そうして、俺はまた別の若い女性に渡された。
「お母さんだよぉー。」
分かってはいたが、俺の母親ではない。
知らない人だ。
そもそも、俺の名前は勇樹ではない。
「はーい。もう一人、妹の優菜ちゃんもね。」
妹?
俺は妹の顔を見ようとそちらを向いた。
あ、寝てる。
俺の妹らしい彼女は可愛らしい顔でスヤスヤ寝ていた。
(あ、やば…俺も眠くなってきた…。)
つられて俺にも睡魔がやってきて、いつの間にか俺は眠っていた。