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手にいれた剣

「ふぅ、ちょっと休憩しよう」

「アレフ! 剣の素振り程度で体力が無いな、お前は」

「充分素振りしたよ!」


 そうなのだ。

 先程まで俺はスケルトンが持っていた剣を振っていた。

 この前の戦利品は骨の欠片と、この剣一本。

 剣はロングソードだ。

 ちょっと錆びてるけど、短剣よりは使えるはず。


「そんな錆びた剣で……」

「リンゴ代を我慢して剣を買おうかなぁ」

「そ、それは困る! 毎日のリンゴ代も剣の代金も両方稼ぐと良いだけだろうに!」

「あはは、シグ。冗談だよ」

「冗談では無いぞ!? リンゴも剣も、両方手に入れるのだ!」

「でも俺、まだそんなに強くないし」

「何を言う。スケルトンを相手にしていたときのお前の技量、中々のものだったぞ? 並みの戦士ならばスケルトンの波に呑まれて死んでいる!」

「そうかなぁ」

「もっと自分に自身を持て! アレフ、お前は『ダメだダメだ』と言われ慣れていて、本当に自分がつまらない人間だと思っているのではないか?」

「俺に何をさせたいんだよ。リンゴのお替り?」

「違う! (われ)はアレフ、お前が本当に力ある剣士だと信じているからこうして言葉にしているんだ!」

「俺が、凄い?」

「そうだ! お前は凄い! 何せ<<竜殺し>>なのだからな!」

「ああ、そんな役に立たないスキルもあったっけ」

「何を言う。邪竜と戦うときは役に立つ! もっとも、我ら竜人族に早々悪人は居ないがな!」

「ねぇシグ。ドラゴンってみんな人間の姿になれるの?」

「はぁ? 何を言っている。ドラゴンと竜人族は違う存在だぞ」

「え?」

「ドラゴンはドラゴン。竜人族は竜人族だ。ドラゴンに似た姿も取れる偉大なる種族、それが我ら竜人族だ!」

「はぁ」


 わからない。良くわからないけど、何だか凄い。


「そしてアレフ。お前の<<竜殺し>>のスキルはドラゴンと竜人族、どちらにも有効だ! だから吾はお前を監視する! どこでも見張っているからありがたく思え?」

「監視って言った、今監視って!」

「そうとも! 我らにとって危険な存在だからな! 我らにとって味方となれば良し、敵とするわけにはいかん!」

「そうなんだ」

「そうとも! これも掟の一つだ!」


(おきて)』ねぇ。なんだか怪しいなぁ。


 ◇


「街中で怪しい奴を見たってよ」

「怪しい奴?」

「全身黒尽くめで、黒いマントにフードを被っていたって話だ」

「なんだそれ。あからさまに怪しいじゃねぇか」

「で、そいつなんだが……」


 ◇


「む!」


 リンゴを齧っていたシグが突然跳び上がる。


「アレフ、敵だ!」

「敵!?」


 黒い影が走る。


「覚悟!」


 そいつは言った。


「どういうことだよシグ!」

「その名を出すなバカ!」

「バカとは何だよ!」

「バカはアレフ、お前だ!」


 影は飛び込んでくる。

 銀の光が煌いた。

 ロングソードが振るわれる。

 早い!

 鋼と鋼を打ち合わせる音が重なる。


「ちょっ」

「邪魔をするな! シグルデ姫を渡してもらおうか!」

「シグ! やっぱりお前が目当てなんだよこいつ!」

「バカ! そんな事はわかってる!」

「里の者に伝えろ! 吾は掟によりこの者と行動を共にすることになったとな!」

「なんですと姫!?」

「吾はこの者に傷物にされたのだ!」


 傷物……なんですか、その微妙な表現は。


「これが我ら竜人族の掟。この者は吾に自分と一緒に行動するように願ったのだ!」

「ばかな……こんな人間ごときに姫が遅れを取るとは……」


 黒尽くめの剣が俺の首筋を捕らえたかに見えた。

 俺はとっさに首を庇う。

 キン!

 鋼の打ち合わされる音がまた響く。

 

「シグは俺の大切な仲間だ!」

「ガキ……! っつ、何だこの力! こんな力がこんなガキに!?」

「お前がどうしてシグをおっているのかは知らないが……シグは渡さない!!」

「お前の力……本物か。良いだろう。ただ、そんな錆びた剣では姫の騎士は務まらんぞ!」

「うるせぇ!」


 黒ずくめが背後に大きく跳び退る。

 俺はバランスを崩して前のめりに倒れこんだ。


「この剣をやろう。見事姫を守って見せろ!」

「これは……」


 残されたのは見事なロングソード。

 刃こぼれ一つ無い美しいロングソードだった。

 

「アレフ、無事か!?」

「うん、シグこそ大丈夫!?」

「吾は大丈夫だ」

「それより一体……あの人は竜人族?」

「吾ら竜人族を崇める教団の者だろう。吾の帰りが余りに遅いから心配して人を寄越したに違いない」

「連絡くらいしておこうよ」

「そうだな。面倒をかけた。すまないアレフ」

「良いよ。でも、この剣……凄く立派な剣だけど、本当に俺が貰っても良いのかな?」

「良いに決まっている。アレフ、お前はこの吾の騎士でもあるのだからな!」

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