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もくてき

「なーアレフ。最近アレフが冒険者ギルドに顔を出さないのは、どうしてなのだ?」


 シャリシャリとリンゴを齧りながらシグが言う。


「色々と呼ばれるんだよ。酒場の用心棒や金持ちの話し相手に」

「なんなのだそれは?」

「冒険の話をねだられるんだ。そうなると、ついつい相手をするしかなくなるんだよね。どうしても話が長引いちゃって……なかなかここに来れてないね俺。うん」

「アレフは忙しいのか? ジュリアも教会に行っているし、ファラエルも魔術学院に……吾(われ)は冒険者ギルドにいつも一人残されて……正直、吾は暇だぞ!」

「ごめんごめん。何か依頼を探してみようか?」

「おおお、久しぶりの冒険なのだ!」

「ジュリアやファラエルにも声を掛けておかないとな!」

「なのだ!!」


 ◇


 深夜。

 城外。

 草むらの中……。


「アレフ……吾は眠いのだ……」

「そうね、シグちゃんにはちょっと遅い時間かもね」

「シグルデちゃん、もう直ぐだと思うから、頑張って!」

「うー、うにゃうにゃ……じっと隠れてるから、余計に眠いのだ……」


 目の先には焚き火が見える。

 その周囲には男らが数人。

 ある筋から仕入れた情報によると、どうやらここで禁止されているヘロヘロ草の取引があるらしいのだが……?


「アレフ……アレフ……どこかに行っちゃ嫌なのだ……アレフ……」

「シグちゃん、敵を待てずに寝ちゃったね」

「シグルデちゃん……仕方ないわね。私たちだけでやりましょう。それで良いわよね、アレフ君?」

「ああ。仕方ないよ……って、来たよ。あいつらじゃない!? ほら、大きな皮袋を提げてる……!」

「行きましょう。あたしが魔術で足を止めるから、アレフ君とジュリアちゃんは取引の確認と敵の武装解除をお願い」

「わかった。行くぞジュリア! シグはそこに寝せておこう」

「うん、アレフ。それじゃね、シグちゃん。また後で」


「それでは、っと。あたしに目をつけられたのが運のツキね……食らいなさい! アイスフリーズ!!」


 男達の足元から氷が伸び、ファラエルさんのその魔術は一撃で男たちの自由を奪う。

 さぁ、出番だ。

 シグには悪いけど、さっさと片付けされてもらうとしますか!


 ◇


「はっ!? アレフアレフ! 敵はどうなった!?」

「ふふふ、終わったわよ、シグルデちゃん」

「うん。お早うシグ。悪い連中は俺たち三人で捕まえて衛視に突き出しておいた」

「シグちゃん、寝顔可愛かった」

「く……う、うぉぉぉ……久しぶりの冒険が! 吾は、吾は! 吾の活躍が……がががのが!」


 馬小屋の馬車の荷台で飛び起きたシグは俺たちを見るなりそう言ったんだ。


 ◇


「ねぇアレフ、ちょっと話があるんだけど良いかな?」


 ジュリアから話を切り出された俺は、二人で街を歩く事にした。


「この前の依頼と、シグちゃんのことなの」

「この前の依頼?」

「麻薬取引」

「ああ、あれね」

「それとシグちゃん。ねぇアレフ、私、宣教許可証貰えたんだ。この前の依頼を成功させたでしょ? あれが教会の上の人の心を痛く打ったらしくって」

「ジュリアが評価されたのか?」

「うん」

「お、おめでとう!」

「ありがとう。それで、シグちゃんのことなんだけどね。この前寝言でシグちゃん何度もアレフの名前を言ってたでしょ?」

「言ってたな。何の夢を見ていたんだか」

「私ね、シグちゃんが寂しい思いをしているんじゃないかって思うの。ファラエルさんにもこの話をしたんだけど、ファラエルさんも私と同じような事を言ってた」

「シグが寂しがってる?」


『アレフもジュリアもファラエルも、みんな吾の相手をしてくれないのだ! 吾は暇だぞ!!』


「ほら。この前、図書館に行ったじゃない。その時、シグちゃんの種族の竜人族の事を調べて何もわからなかったでしょう……?」

「そうだな。たいした事はわからなかったな」

「だからね、シグちゃん口には出さないけど、本当はとても寂しいんじゃないかな?」

「そうだな……だって仲間がいるかどうか、全くわからないわけだし。とはいえ、シグに昔の事を聞いても、忘れた、知らない、とか子どもみたいなことばかり……」

「シグちゃんは見ためどおりの子どもだよ」

「ジュリアもやっぱりそう思うのか?」

「他にどう考えろと言うの? どう見てもまだまだちっちゃな子どもじゃない」

「頼むから目の前では言うなよ? な? シグの目の前で言ってくれるなよ、ジュリア?」

「わかってるって。当たり前じゃない!」

「頼むよ?」

「うん。だからね、そろそろ私たち、シグちゃんのためにシグちゃん以外の竜人族を探す旅に出ない? 元々その予定だったよね? ね、アレフ?」

「え?」

「ほら、アレフは闘技場でチャンピオンを倒して名前を上げたし、ファラエルさんは炎の魔術師に早々に完勝してたし」

「まぁね」

「アレフ? ……私もこうして宣教許可証をもらえたわ。あと目的が果たせていないのはシグちゃんだけだもの。かわいそうだよ」

「そうだな……俺からもファラエルさんに話してみるよ」

「うんうん」

「なぁジュリア。お前、結構優しいな?」

「アレフこそ優しいよ」

「ジュリア。お前はシグを子ども扱いしてやるなよ?」

「わかってるから。わかってる!」

「あはは! ジュリアが子どもみたいだ!」

「もう! 私をからかって遊んでるでしょうアレフ!」


 こうしてみると、ジュリアも結構子どもだよな?

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