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あぶないクスリをのんじゃうぞ

「では飲むぞ? 飲んじゃうぞ? アレフよ、もしお前がツルペタ大好きの変態ロリだったとしたら、ここで見納めだ。しっかり吾(われ)の今の姿、その目に焼き付けておく事だな!」


 街の河原にて、茶髪のツインテールっ子が何か世迷い事をほざいている。

 誤解するなよ!?

 俺は紳士だ! 断じて変態などではない!


「では、っと。成長のクリスタルが緑だったから、この成長のポーションも緑色なのだな……」

「シグちゃん、本当に大丈夫? 一応、ライア様にお祈りしてからのほうが良くない?」

「誰が邪神などに祈るものか!」

「シグルデちゃん、それは試作品なんだから、もし何かあったら直ぐに吐き出すのよ? ポーションの試作品なんて、本当にろくなものがないんだから。ね?」

「大丈夫だ! 死んでも吐き出すものか! ボンキュッボンに成るまでは吾は諦(あきら)めん!」


「では飲むぞ……飲むからな……!? 飲むぞ? 飲んじゃうぞ!?」

「早く飲めよ!?」

「シグちゃん……」

「シグルデちゃん……」

「飲むぞ!? 止めるなら今のうちだぞ!? 本当の本当に飲むからな!?」

「良いから飲むなら早く飲め! それとも怖いのか、シグ?」


 ゴクリ……なんだか、そんな音が聞こえた様な気がする。


「怖いんなら止めておけ? な? シグ。無理するな? な?」

「怖くない! 謎の秘薬がなんだ! ボンキュッボンのためだ!」


 グイッ!


 あ。飲んだ。


 ゴクッ。

 

 シグの喉が動く。


「うげーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「吐いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーシグちゃん!」

「シグルデちゃん……我慢できなかったのね……」


 エロエロエロエロ、と吐き出され、川の水面を染める緑色の液体。


「何だこの不味さは! こんなもの飲めるか!! ペッ、ペッ!」

「おいおいシグ。さっきの決意はどこに行ったんだよ」

「何事にも限度がある! 人間が不味かったように、このポーションも吾の口に合わんな! そんなものはペッペッペだ! あー、ここが冒険者の店の中でなくて良かった! もしこのような姿を他の冒険者どもに見られでもしていたなら、とんだ笑いものに……」


 ザパァ……!

 バシャ、バシャ!!


 気のせいか、

 何かとんでもなく大きな音が聞こえるんだけど──。


「あ、アレフ後ろ後ろ! シグちゃんに構ってる場合じゃないんだってば! 背中を擦(さす)るなんて後々! 後回し!!」

「なんだよジュリア?」

「魚よ! 大きな魚! アレフ君! あの巨大魚を釣り上げるのよ! ああ、釣り人の血が騒ぐわぁ!?」

「魚!? 巨大魚!? げぇえええええええええ!?」


 見れば、見た事も無いような大きな魚がピシャピシャ跳ねて。


「アレフ君も手伝って! あれを釣るのよ! 釣り上げるの! 川の主釣り! ここで引いては釣り人魂が泣くわよ!?」

「何だよその釣り人魂って!?」

「ほら、ボサッとしないで! 釣竿出して!」

「お、おう……」

「ジュリアちゃんも釣竿持ってきて! お魚釣り上げるの! 頑張るのよ!」

「は、はい、ファラエルさん!」


 ◇


「「「「「カンパーイ」」」」」


 多くのテーブルで酒が振舞われていた。

 今日は宴会。

 臨時の宴会。

 メインディッシュは巨大魚のフライだ。


「能無しアレフに役立たずファラエルもたまには役に立つじゃねぇか!」

「いやぁ、晩飯がおごりになるとは思わなかったぜ!」

「うん、この魚のフライ、結構いける。美味いぜ、これ」

「ホントかよ……って、本当だな、美味いなこれ!」

「ありがとよ能無しアレフ! ありがとよ役立たずファラエル!」

「あはは! 今晩ばかりはアレフに乾杯! ファラエルにも乾杯だ!!」


 ◇ 


 俺? 俺も何匹も釣り上げたよ? 大変だったなぁ……。


「ううう、うううううううううううううううーーーーーーーーーーーーーーー! 吾が、吾があそこで我慢していれば、いまごろ吾はボンキュッボンな体に……ううううううううう!」

「まぁそう言わずに魚食えよ。今日は食い放題だぞ? ギルド酒場のみんなも喜んでる。何せ晩飯が俺達の奢りなんだからな」

「黙れアレフ!」

「いいえシグルデちゃん。あたしが黙らないわ! あたしがね、この魚はあたしが釣り上げたのよ!? こんっな大きな、一抱えもする魚をね! 今年一番の大物だったわ! そして釣り上げた獲物を速攻で氷で〆たんだから! 氷の魔術も役に立つでしょ!? 血抜きに保存、氷の魔術は万能よ! 氷の魔術の勝利に乾杯!! 氷の魔術に栄光あれ!!!」

「ねぇシグちゃん、きっと他の方法があるよ。私で良ければ、また手伝ってあげるからね? ね? だから元気を出して? ライア様も見守ってるわ」

「あたしも手伝ってあげる。諦めない事が重要よ? シグルデちゃん?」

「黙れ邪教の使徒に狂的氷の魔術マニアめ! 少しばかり乳がデカイからとイイ気になって! 気休めの慰(なぐさ)めなどいらん! 吾は誇り高き竜人族の皇女シグルデ! ツルペタが何だ! 絶対にいつか、いつか必ずボンキュッボンな体に成って、ジュリアにファラエル……お前達を見返してやるからな!! うわーーーーーーーーーーーーん!! 今に見ておれよ!?」

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