表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/448

これが俺の世界!

 世間に物申したいことがある。

 無職と引きこもりとニートは全て一纏めにされやすいが、全ては全然別物だ。

 まず、引きこもりは、その名の通り、家から外に出て社会参加しない人のことをさす。

 週に一度ジャ○プを買いにコンビニに行くから引きこもりではない、というのは間違っているし、ずっと家の中にいるけれど、内職をして仕事をしている人は引きこもりではない。つまり、引きこもりは無職の中の一つであり、無職=引きこもりではない。

 次に、ニートとは15歳から34歳までの人の中で、就職・就職活動・通学・家事をしていない人のことを言う。例えば自宅警備を家事の一つととらえるのなら、自宅警備員はニートではない。


 つまり、俺は就職活動という立派な社会活動をしているわけだから、ニートでも引きこもりでもないというわけだ。

 ということを再度確認し、俺は引きこもりのスキルを確認する。


……………………………………………………

引きこもり:魔法系スキル【無職レベル80】


亜空間に繋がる穴を作成し、その向こう側に世界を作るスキル。

MPを消費することで様々な機能を使うことができる。

……………………………………………………


 …………はい?

 引きこもりっていう名前の魔法!?

 これってもう空間魔法といってもいいような気がする凄い魔法なんだけどな。


「どうしたのですか? イチノ様」

「いや、ちょっと……な。マジックリストオープン」


 魔法はいろいろ追加されている。

 付加魔法だろう。ファイヤフォームやサンダーフォームなど、剣に魔法を付加させる魔法っぽい。

 それは十分にかっこいいんだが、一番下にそれはあった。

……………………………………………………

マイワールド Lv- 消費MP0

……………………………………………………


 レベルはない。MPも消費しない魔法か。


「マイワールド!」


 俺が手を前に出し、その魔法を唱えた。

 すると俺の前に穴が現れた。


「……これが俺の世界か――」


 俺はそう言って、

 刹那――


 俺は別の世界にいた。

 真っ白な世界だ。上も下もない世界。

 似ている――女神と出会った世界に。


 無重力の世界だ。

 ここは拠点には絶対に向かないな。

 こんなところで一日生活したら、元の世界に戻ったとき、重力に体が潰されてしまう。


 そこに、浮かんでいるものが一つある。

 本だった。


 俺は手を伸ばし、近くにあった本を掴む。


 その本には二つの項目だけが書かれていた。


―――――――――――――――

 好きな項目をなぞって下さい。


 星作成:消費MP50

 許可証作成:消費MP100

―――――――――――――――


 星作成?

 恐らく、これが最初にしないといけない作業なんだろうな、と俺はそのダイナミックな言葉に少し躊躇しながらも、文字をなぞった。

 突如、俺の足元に地面が現れた。

 ぺんぺん草一本生えていない赤土の大地だ。


 と同時に重力を感じる。

 どうやら星が作られたらしい。

 にもかかわらずMPの消費はたったの50なのか。


 空には太陽もないし月もない。

 ただ、真っ白な空間が広がっていて、明かりには困らないな。


 この光で光合成が可能なのかどうかで、植物を育てられるかどうかが決まりそうだ。


 後ろを見ると、空間の穴があった。

 本を持ったまま、その穴に手を近づけた。


 突如――俺はその穴に吸い込まれ、立っていた。

 草原の上だ。

 元の場所に戻ってきたようだ。

 穴はまだ残っている。消えろと念じると、空間の裂け目は消えた。


「ご主人様!」「イチノ様!」「イチノ!」


 三人が俺に駆け寄る。

 特にキャロは目が赤くなっていた。泣いていたのかもしれない。

 そりゃ、いきなり変な空間に飲み込まれたら心配するわな。


「悪い、心配させてしまった。今入手したスキルでな、なんか自分の世界を作って入ることができるスキルらしい」

「自分の世界ですか!? そんなスキル聞いたこともありません……空間魔法の一種なのでしょうか? なんという名前のスキルなんですか?」

「引きこ――マイワールドだ」


 引きこもりと言いかけて、魔法の名前を告げた。


「それより、一度町に戻ろう。このスキルはいろいろと検証が必要なようだしな」


 一緒に持ち出したはずの本が消えていた。

 どうやら、あの本は持ちだすことはできないようだ。

 俺がいない間、空間の裂け目だけがあったようだ。ただし、三人は入れなかったようだ。


 気になることはある。

 許可証作成。あれって、つまりそれを持っていれば俺の世界に入れるってことか。


 もちろん、あのスキルの有用性は高い。

 あれだけの大地だ。土地の状態にもよるが、農業をするのもいいかもしれない。

 他にも家を作るのもいいな。


 夢は広がる。


 あと、誰かが入っている状態で空間を閉じることができるのか?

 その場合は中にいる人はどうなるのか?


 どこで空間の裂け目を作っても同じ場所に出るのか?


 いろいろと検証をする必要がある。


「ちょっとだけ確かめたいことがある。すぐに戻る」


 そう言って、俺は再び、「マイワールド!」と魔法を唱えた。

 空間の裂け目が現れ、そこに入ると、さっきの場所に訪れた。


 赤土の平坦な大地が広がっているので、同じ場所なのかどうかはわからないが、とりあえず落ちている本を拾い上げた。


―――――――――――――――

 好きな項目をなぞって下さい。


 星拡張:消費MP500

 許可証作成:消費MP100

 ゴミ箱作成:消費MP200

 湧き水作成:消費MP100~

 大地の栄養剤:消費MP50

 鉱山作成:消費MP500~

 火山作成:消費MP700~

 湖作成:消費MP300~

 植物時間経過:消費MP1/日

―――――――――――――――

 

 いろいろと項目が増えているな。

 でも、消費MP700とか、どんな大魔法だよ。いや、火山の作成は大魔法か。

 これって湖を作ったりしたらどうなるんだろうな?

 ここが急に湖になったりするのだろうか?

 検証しないといけないことが増えた。


 あと、ゴミ箱が湧き水よりも消費MPが高いのが気になる。

 他にも気になる項目はいろいろとあるが、俺は本をその場に置き、そして、アイテムバッグから矢を一本取り出してその場に突き刺した。


 これで、宿に戻ってここに訪れたとき、同じ場所に出るかどうかがわかる。


 みんなが心配したらいけないから、俺は急いでこの世界から外に出た。


 一言断っていたので、今度は心配していなかったようだ。


「よし、準備も終わったし帰ろうか。いろいろと検証が終わったら、三人を俺の世界に招待できると思うよ」

「とても楽しみにしています」

「いろいろと商売などもできそうですね」

「イチノの世界か……ベッドの下を見られないように注意するのだな」


 マリーナは一体何を期待しているんだよ。

 ベッドどころか家や部屋もないし、同人誌はアイテムバッグの中にしかないぞ。


 その後、俺は三人とともにフェルイトに戻るために歩いていった。

最終的には自分の世界だけで衣食住の全部を賄えるようになるのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ