表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

441/448

冒険者始めました その7

「……なにこれ?」


 ルートのつぶやきは、ラインとナターシャ二人の心情も代弁しているものだったかもしれない。

 まぁ、言いたいことはわかるが、とりあえず目の前の敵に集中するか。


 とりあえず、三十階層のボス――阿修羅のような三つの顔を持つ巨人を、スラッシュ一撃で沈めた。


【イチノジョウのレベルが上がった】

【チャンピオンスキル:ベルト装備がベルト装備Ⅱにスキルアップ】

【チャンピオンスキル:物防増加(神)が物防御(神+1)にスキルアップ】

【サバイバルパティシエスキル:糖質抽出を取得】

【サバイバルパティシエスキル:カロリー鑑定を取得した】

【サバイバルパティシエのレベルはこれ以上上がりません】

【遊び人スキル:大道芸を取得した】

【称号:サバイバルパティシエの極みを取得した】

【職業:サバイバーが解放された】


 ん!? おぉ、遊び人でとうとう大道芸のスキルを手に入れた。

 真里菜が得意だったスキルだ。

 もっとも、あいつの大道芸スキルは、出会ったときですら、大道芸Ⅸだったからな。

 まだまだ俺は彼女の足元にも及ばないようだ。

 とりあえず、サバイバルパティシエをサバイバーに変えておくか。


「ご主人様、魔石と大剣です」

「ああ。まぁ、アイテムバッグに入れておくか」


 ハルが拾って来たドロップアイテムをアイテムバッグに収納する。


「…………なにこれ?」


 ルートは壊れたレコーダーみたいになっている。

 さっきからずっとこの調子だ。


「ルート、行くぞ。女神像の間で迷宮踏破ボーナスを貰わないとな」


 そういえば、何気に迷宮踏破ボーナスをもらうのも久しぶりだな。

 この迷宮では、三十階層ごとに女神像があって、特典が貰えるみたいだからな。


「いやいや、ちょっと待ってくれ! ここまでずっと教えてくれなかったけど、流石におかしいだろ!」

「僕たち、レベルがとんでもないことになってるんだけど」

「さっきから神の声が鳴りやまないのですが」


 神の声というのはシステムメッセージのことだろうな。


「本当に、おかしいんだって! 見習い剣士のレベルが一気に上がったと思ったら、いつの間にか剣士になってるし」

「僕も見習い槍士を極めて槍士になってる」

「私は貴族のままですが、レベルが14になっています」


 貴族のレベルは上がりにくいのかな?


「まぁ、三十階層って、中級者向け迷宮クラスの敵がいるから、レベルが上がりやすいんだな」

「「「上がりやすいってレベルじゃない!」」」


 経験値二十倍の天恵の効果なんだけど。

 説明してもいいかな?

 一応、第二職業設定Ⅱは使っていないので、三人とも第二職業の設定をしていないし、経験値二十倍だけだったらバレても問題はないんだけど。


「あなたたち、それ以上の詮索はご主人様に失礼です」


 そう言ったのはハルだった。


「でも――」

「あなたたちが最初、ナターシャさんのことを私たちに話さなかったのは、私たちを巻き込んでいいのかどうか、信じていいかどうか、そんなことを考えていたからですよね? ですから、私もミリュウ様もご主人様も、ナターシャさんが貴族であろうことは予想ついていましたが、あえて何も尋ねませんでした。今回の件について、仮にご主人様が何かをなさっていたとしても、それを語らないのはいけないことですか?」


 ハルが尋ねると、三人はそれ以上何も言えなくなる。

 えっと、ナターシャが貴族であることに気付いていたけれど黙っていたのは、彼女たちに気を遣ったからではなくて、単純に面倒だったからだけなんだけど。

 ついでに、天恵について語らないのも、やっぱり面倒だからだけなんだけど。


 ……でも、まぁ三人が納得してくれたようだし、別にいいとするか。

 幸いというか、俺が魔物を全部倒したとしても、ルートたち三人に入る経験値は、単独で倒す経験値の二倍程度。三人とも驚いてはいるけれど、極端なものではないと思う。

 むしろ、俺の方がレベルが上がってる。

 遊び人とか、もうレベル90突破してるし。


 さて、では女神の間に。


「――っ!」


 一瞬ドキっとしたけど、大丈夫だ。

 オークじゃない、コショマーレ様だ。

 コショマーレ様、コショマーレ様、よし、心が落ち着いた。

 しかし、いきなりコショマーレ様の女神像があるといつも驚かされるな。


「ご主人様、大丈夫ですか?」

「大丈夫だ、考えてない、考えてないから」

「一度明鏡止水を使って心を無にした方がよろしいかと」


 そうだな、このまま祈ってコショマーレ様に怒られたら大変だし。

 明鏡止水は集中力を上げるスキルだが、本来の効果は心を無にすることにある。

 よし、大丈夫だ、落ち着いた。


「じゃあ、祈りを捧げるか」


 俺は女神像に祈りを捧げた。

 ただ、今回は女神様に呼ばれることはなかった。


【迷宮到達ボーナス:生活魔法Ⅴが生活魔法Ⅵにスキルアップした】


 おぉ、久しぶりだな、性活魔法。

 さて、今度はどんな夜の魔法を覚えるんだ?

 マジックリストをオープンする。

 覚えたのはエアクッションという魔法だった。

 空気のクッションを作り出すことができる魔法らしい。

 魔力を調整すれば、硬さや大きさの調整もできるようだし、高所から落下したときにこの魔法を使えば安全に着地できそうだ。

 生活面でも、宿屋で枕が合わなかったり、急な来客で椅子が足りなかった時に役立つだろう。

 しかも、一番すごいところは、一度出すと最長で二十四時間効果が持続するということだ。

 空気の塊なので剣で斬ることもできないから、敵を足止めする壁としては最適だ。


 本当に生活魔法はいつも規格外の魔法ばかり覚える――


 って、どこでもベッドじゃねぇかっ!


 わかるよ、ここまで来たらもう!

 そういう使い方だろ、そうなんだろ?


 ちなみに、迷宮踏破ボーナスではなく、迷宮到達ボーナスであり、称号の変化もない。

 まぁ、踏破したわけじゃないからな。

 ハルの手には宝石が、ルートの手には剣が握られていた。

 ラインとナターシャは何も持っていないからスキルを手に入れたようだ。


「ご主人様、申し訳ありません。ただのエメラルドのようです」

「そうだな……いや、売ればかなりの財産になると思うから、謝らなくていいぞ。ハルが望むならアクセサリーに加工してもいいしな」

「俺は剣――お、剣先から水が出る。魔法の剣だ。二人は何をもらったんだ?」

「僕は茶色の手。正直ハズレかな? 植物を枯らすスキルだったと思う」

「……私は縄抜けですね。できればこのスキルを使うような事態にならないことを願います」


 植物を枯らすスキルって、除草の仕事をするときとか便利そうだな。

 除草剤要らずか。

 あと、植物系の魔物とか倒せたりしないか?


「さて、スタミナヒール! これで三人とも元気になったな。じゃあ、また走るぞ! 目標、一時間で六十階層到着! 一階層二分で行くぞ!」

「「「え?」」」


 三人は嫌な予感がしたようだ。

 まぁ、目標はあくまで目標。

 できるところまで頑張ればいい。


 その後、俺たちは二時間半かけて六十階層のボス部屋手前まで到着した。

 三人のレベルはそれほど伸びていないが、簡単に死なないくらいにはなっている。


「え? もうレベル15? え?」

「ステータスがさっきまでと全然違う……」

「……私いつの間に見習い魔術師に転職を……もうすぐ魔術師になれそう?」


 俺からしたら大したことがないレベルの増加だけど、三人は十分驚いているようだ。

 ハルは上位職で固めてるからそれほど変化はないな。

 そして俺は――


【遊び人スキル:笑いの神様の選択を取得した】

【遊び人のレベルはこれ以上上がりません】

【称号:遊び人の極みを取得した】

【職業:自由人が解放された】


 とうとう遊び人を極めた。もちろん、チャンピオンとサバイバーのレベルも上がっているが、これが一番気になった。

 ていうか、自由人って、それってもはや無職と一緒だろ?

 それと、笑いの神様の選択……これってどうなんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ