いよいよ転職の時がやってきた
ウサギを2羽狩った。とはいえ、俺は普通の人の400倍成長しやすいんだから、普通の人が800羽狩ったのと同じ成長をしているというわけか。ダイジロウさんの本には、この世界の人は生まれてすぐ平民に職業を変えるそうだから、もしかして、この裏技に誰も気付いていないのか?
これはいい発見だ。
無職のステータスに、平民のステータスが上乗せされている、ということなんだろう。
少なくとも、ただでさえ成長しやすい天恵があるというのに、他の人の倍のステータスが得られるってことじゃないか。
今の第二職業は平民。
ダイジロウさんの本によると、平民はスキルこそ地味なものしか覚えないが、レベルが上がると変更できる職業が増えていくという。
とりあえず、殺したウサギはアイテムバッグに収納。
こうなったら、ウサギをもう1羽倒して成長し、ファースト職業を別の職業にしたいな。
流石にファースト職業が無職のままだと、俺の精神的にきつすぎる。新たな職業を手に入れたら、無職には第二職業に移動してもらおう。
異世界でくらい就職したいからな。ただ、平民も、なんか「フリーター」っぽい感じでファースト職業にする気にはなれない。
とはいえ、今はこの獣道を北上するのが先か。
狼に出てこられたら危ないからな。
ウサギ2羽なら今夜の宿代には及ばないが、ダイジロウさんから貰った金があれば余裕で宿に泊まれると思う。
と思ったら、今度は黒いウサギを発見!
ラッキー、狩らせてもらうぜ。
黒いウサギは先ほどよりも素早い動きで俺を翻弄してきた。
最初のウサギがス○イムだとしたら、黒いウサギはスライ○ベスってところかな。
普通の白いウサギより上位種という感じだ。
このままでは逃げられちまう。
そう思った時、黒いウサギが切り株の根っこに躓いた。まるで童謡みたいだ。
チャンスだ!
尖った石で斬りかかろう。そう思った時、黒いウサギは覚悟を決め、俺に体当たりをしてきた。
かなりの速度だったが、避けることに成功した。今までの自分ではできない動きだ。あぁ、速度が上がったから避けられたんだな。
すれ違いざま、俺の持っていた尖った石が黒いウサギの首を掠り、それが致命傷となった。
【イチノジョウのレベルが上がった】
【平民スキル:投石を取得した】
【職業:農家が解放された】
【職業:狩人が解放された】
【職業:木こりが解放された】
よし、来たぞ!
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名前:イチノジョウ
種族:ヒューム
職業:無職Lv27 平民Lv8
HP:30/30(10+20)
MP:21/21(8+13)
物攻:27(9+18)
物防:23(7+16)
魔攻:10(4+6)
魔防:9(3+6)
速度:16(4+12)
幸運:20(10+10)
装備:尖った石 リクルートスーツ 革靴
スキル:【職業変更】【第二職業設定】【投石】
取得済み称号:なし
転職可能職業:平民Lv8 農家Lv1 狩人Lv1 木こりLv1
天恵:取得経験値20倍 必要経験値1/20
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おぉ、ステータスも職業も一気に増えたな。
平民レベルが8にしかならなかったけれど、無職もレベル7増えている。
無職より平民の方が成長速度は遅いようだ。
俺の予想だと、職業はレアなものほど成長しにくいとかそういうこともあるんだろう。
ただ単に第二職業のほうがレベルが上がりにくいだけ、という可能性も否定できないが。
あと、聞いていた通り、平民のスキルはやはり地味なようだ。投石って……スキル無しでも使えるよ。補正くらいはあると思うが。
確か、ダイジロウさんの本には、平民Lvが10になれば見習い剣士が解放されるらしい。まずはそこを目指してみたい。
その前に、ファースト職業を狩人に変更するぞ!
ファースト職業変更と念じた。これでいいんだよな?
【無職を第一職業から解除すると、無職に戻れませんがよろしいですか?】
え? ちょっと待て!
無職じゃなくなったら、二度と無職に戻れないっていうのか?
そうか、就職できちまったら、失職しない限り無職にはなれない。これは当たり前の話だ。でも、このゲームのようなシステム職業は失うことはないんだから、無職になることはできないってことか。
無職に転職するって言葉はないもんな。
俺の予想だと、無職にはまだまだ未知なる可能性が眠っている。
サード職業、さらにはフォースのかくせ……解放もあるかもしれない。
このままでいるほうが絶対にいい。
それはわかっているんだが。
……結局、また就職できないのか。
落ち込まずにはいられなかった。
少し早いですが、更新でした。
もちろん、タイトルにあるように、無職は消せません。
次回は、いよいよ町に到着です。