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残すは竜核

 ちなみに、ネクタルの正規の入手方法は、彼女が管理する迷宮(ただし中級以上)で一定確率で手に入れることらしい。確率は運によって上下するが、高くても一万分の一未満だという。ここでもらっておいて本当によかった。

 ついでに、ミネルヴァ様に賢者の石のレシピと竜核について聞いてみた。

 賢者の石そのものは女神様も持っていない。賢者の石のレシピは、ライブラ様が持っているそうだ。ただし、ライブラ様が迷宮踏破ボーナスとして渡すレシピの類は、決してそれ以外では入手できない。個人的に頼んでも特別に貰うことはできないだろうと言われた。

 ちなみに、レシピを入手できる確率もネクタルよりさらに低いらしい。やはり、ダイジロウさんを見つけるほうが現実的だ。

 そういえば、以前、ニーテが女神様は個人的になにかプレゼントを渡すことを禁止しているって言っていた気がする。

 本当に貰っていいのかと尋ねようかと思ったが、やめた。

 禁止されているからやっぱりダメって言われたら困るから。

 今回、ネクタルを手に入れたことで、残る素材は竜核のみとなった。

 それで賢者の石の材料は揃う。

 もっとも、その竜核を手に入れるためには東大陸に行かないといけないのだが、ダイジロウさんを見つけ、飛空艇に乗せてもらうことができたら他の大陸に行くのも容易だろう。いや、それより、ミリを見つければパパっと修理してくれるかもしれない。

「マスター、少しお時間よろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「シーナ三号の外装を作っておきたいと思います」

 外装?

 よくわからないけれど、シーナ三号に必要なことらしいので俺はピオニアについていった。

 そこに置いてあったのは、粘土だろうか?

 大量の白い土くれ(?)が置いてある。

機械人形(オートマタ)の素材って金属じゃないのか?」

「シーナ三号の皮膚の部分は特殊な樹脂粘土によって作られていることが判明しました。マスター、樹脂粘土を一部千切って手で丸めてください」

「わかった」

 俺は言われるがまま、樹脂粘土の一部を千切って丸める。

 重さは水と同じくらいだろうか?

 それに柔らかい。

「マスター、その樹脂粘土に魔力を加えてみてください」

「ん? あぁ……」

 言われた通り、俺は樹脂粘土に魔力を込める。

 すると――粘土に弾力性が生まれた。して、この感触は確かに皮膚の触感にも似ている。

 なるほど、これでシーナ三号の皮膚を作るのか。

「マスター――とりあえずシーナ三号の基盤はここに用意しています」

 ロボットの人体標本みたいなものが運ばれてきた。

 もうここまで作っていたのか。

「なぁ、これにシーナ三号の賢者の石を移したら、とりあえず部品の劣化による不具合は直るんじゃないか?」

「マスター、残念ながらこれはまだまだ未完成です。肝心のメモリが全然できていません。それと、やはり賢者の石そのものも劣化が始まっていて、もう手遅れです」

「……そうなのか。で、俺はなにをしたらいいんだ? 外装を作る……だったか?」

「マスターにはシーナ三号の外装――即ち体の肉の部分を作ってもらおうと思います」

「肉をって、そんな簡単にできるのか?」

「肯定します。マスターの贋作スキルを使えば可能です」

 あぁ、そうか。

 贋作スキルは見た目や触感だけなら全く同じものを作ることができる。

 俺はシーナ三号を思い浮かべ、樹脂粘土を骨格の上に塗るようにつけていった。そして、細部を整える。一応、簡単なものはできた。さすが贋作だな、まさか樹脂粘土から髪の毛や眉毛、睫毛まで作ってしまうなんて。しかし色はどうしたものか。

 あ……そうだ。

 俺は芸術魔法を使った。思い浮かべた女性の裸を描いてしまうという使い道のないはずの魔法であったが、しかし今回は違った。

 俺が魔法で生み出したインクが樹脂粘土を綺麗に彩る。

「こんなもんでいいか?」

「本物と少し色が違いますね」

「それは勘弁してくれ。本物の裸をマジマジと見たことがないからな」

 どこの色のことを言っているのかはあえて言及しないでおく。

 芸術魔法は贋作と違い、俺の想像が入ってしまうからだ。

 ……にしても、凄いな、贋作と芸術魔法。

 これがあれば、もしかしたらフィギュアとか作り放題なのか? 俺はそっち方面には興味はないけれど、マレイグルリで今度あるという(同人誌)の即売会で販売したら一財産稼げるかもしれない。

「ピオニア。あとは賢者の石があれば大丈夫なのか?」

「肯定しますが、ひとつ訂正があります」

「訂正?」

「再度シーナ三号の体を調べ計算した結果、賢者の石がなくても、賢者の石の素材であるアダマンタイト、ネクタル、竜核の三つがあれば下位互換ではありますが当面の問題をクリアできることが判明しました」

「つまり、賢者の石がなくても竜核さえあれば、ダウングレードするがシーナが壊れることはないってことか。でも、いくら修理できても、瘴気のない場所なら魔力の供給ができないことに変わりがないんじゃないか?」

「肯定します。しかし、その点については妙案があります」

 妙案?

 ピオニアのことだ、きっと俺には理解できない考えなのだろう。

「わかった――なら信じるよ」

 竜核さえそろえばいい。

 ならば、だいぶ楽になった。

 あとはどうやって東大陸に行くかだ。

 超古代兵器の転移装置とか落ちてないものだろうか。


 キャロに聞いたところ、東大陸に行く正規の手段は、この大陸の東端から船で行くルートらしい。あと、超古代兵器の転移装置はキャロも知らなかった。

 残念だ。

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