表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
傭兵王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

319/448

幕間 その頃ジョフレとエリーズ

3連続更新3つ目。

   幕間話 巨大なドラゴン



 ランドウ山の地下深く。ケンタウロスはまっすぐ進んでいた。迷路になっており、まともに進むことができない。それどころか、ケンタウロスの大きさならば引き返すしか道がないだろう。

 しかし、ケンタウロスは食べ物の約束を守るため――というより、今後も食べ物をもらうため、狭い道を無理やり広げながら――つまり岩盤を体当たりで壊しながら進んでいた。

 本来ならば暗闇でなにも見えないのだが、ケンタウロスにとって視界は食べ物を識別する要素のひとつでしかない。

 途中、コボルトの巣を見つけて襲われそうになったが、全員体当たりで倒していった。

 つまり、暗闇の中でも昼間の大通りを散歩しているように歩くことができる。

 そして、ランドウ山の洞窟の最奥。

 そこには明かりがあった。

 ふたりの冒険者が、懐中魔灯という明かりの魔道具を使っていたうえ、そこは魔力が固まり結晶となった物質――魔法晶石が淡い光を放っていたからだ。

「ドラゴンいないな、エリーズ」

「ドラゴンいないね、ジョフレ」

 そのふたりの冒険者はジョフレとエリーズ。

 このランドウ山にドラゴンを倒しに来ていた。

 しかし、複雑に入り組んだ洞窟、彼らはドラゴンの住む広間もコボルトの巣もすべて避けこんなところにまでたどり着いていた。

「ん? おぉ、ケンタウロスじゃないか」

「ん? あぁ、ケンタウロスじゃないの」

「「久しぶりぃぃぃっ!」」

 ふたりはケンタウロスに抱き着いた。

 抱き着かれたケンタウロスはそれを無視して、地面に生えているコケを嘗めとるように食べた。

 ケンタウロスがイチノジョウから頼まれたのは、ジョフレとエリーズを連れて山から下りること。しかし、すでにこの場所は山の麓よりも下――地下深くにあるため、連れて下りるという約束は達成されていると思ったからだ。

 この場所から降りることができる場所と強いて言えば、左右にある地底湖くらいだけれども、この場所にある苔が非常に美味しかったため、動くことはなかった。

「ところで、エリーズ。これって、やっぱりあれだよな?」

「うん、私も気になってたんだ。これはやっぱりあれだよね」

「ダイジロウさんに頼まれていたあれだよな?」

「ダイジロウさんに頼まれていたあれだよね?」

 ジョフレとエリーズは懐中魔灯を使ってそれを照らし出す。

 そこにあったのは巨大なドラゴンの化石だった。

 ジョフレとエリーズは、ダイジロウからこの山に眠るという巨大なトカゲ(・・・)の化石の角を持ってくるように言われていた。

「本当に巨大なトカゲだな」

「本当に巨大なトカゲだね」

「フィッシュリザードよりでかいな」

「フィッシュリザードよりでかいね」

 二本ある角のうち、ジョフレは一本の角を取った。

 そして、ジョフレとエリーズはそれをアイテムバッグに入れて言う。

「ドラゴンはこれより大きかったよな」

「ドラゴンはこれより大きかったよね」

 ふたりにとってドラゴンとは、フェルイトで見た空を覆いつくすような竜王だけだった。それ以外のドラゴンを知らない。

 ちなみに、ワイバーンも見たことはあるのだが、ワイバーンとドラゴンは正確には別の種の魔物のため、ドラゴンに含めていない。

 竜王をドラゴンの基準にしているので、本来ならば老竜よりも遥かにでかいこの巨大ドラゴンの化石ですら小さく思えるのだ。

 ダイジロウが何度説明してもその認識は覆ることはなかったので、結果、ジョフレとエリーズにはトカゲの角を取ってくるという命令が下ったのだ。

 こうして、ふたりはトカゲの角ならぬドラゴンの角を無事に手に入れたのだが、しかし――

「どっちが出口だ?」

「どっちが入口かな?」

 ふたりが洞窟を出られるのはもう少し先のようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ