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成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
傭兵王国編

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ロック鳥襲来

 翌朝にはスーギューの群れはすっかりいなくなっていた。

 朝食はパンと牛乳で済ませる。

 この巨大牛の搾りたての牛乳だ。

 インセが搾乳してくれたのを、俺が浄化(クリーン)の魔法で消毒する。

 かなり臭かった。

 ミリからゲテモノ料理を食べさせられ慣れていなかったら、飲み切ることはできなかっただろう。

「スーギューの奴ら、どこにいったんだろうな」

 スーギューがどこから来て、どこへ行くのだろうか。

 哲学みたいな(?)ことを考える。

「この先だと、ランドウ山脈にあるランドウ湖じゃないか?」

 インセが地図を見て言った。

「それはない。ランドウ湖はかつて老竜が生息していたと言われる土地だ。その姿は見えなくなって久しいが、いまもなお野生の魔物が近づくことはない」

「老竜? チュートゥの妄想じゃなくて?」

「その話なら俺も知ってる。妄想ってわけじゃないだろ」

 キッコリが言うのなら本当だろう。

「でも、他に水辺みたいなものは地図に載ってないぞ?」

「地図に載っていない池や川だってあるだろう。そこに行ったんじゃないか?」

 地図といっても、俺が知っている日本地図じゃない。

 本当に大雑把な地図であり、全てが記されているわけではない。

 たしかに地図に載っていないような池や川もあるだろう。

「そりゃそうか……じゃあ、そろそろ出発するか。そうしないと、ウーシーがこのあたりの草を全部食べ切りそうだしな」

 ケンタウロスほどじゃないにしても、この体格を維持するにはかなりの量の草を食べる必要があるらしい。

 そういえば、ケンタウロスもこっちの方角に来ていたんだよな。

 今頃、どこの餌場を荒らしているのだろうか?

 とりあえず、出発前に現在の職業を確認する。

【平民:Lv82 闇魔術師:Lv24 光魔術師:Lv24 侍:Lv32 アウトドアシェフ:Lv4】

 朝食の準備をしたときにアウトドアシェフにしたままだったが、まぁこのままでいいか。

 アウトドアシェフは泥水を浄化するろ過みたいな、面白いスキルを覚えるからな。

 準備を整え、出発した。

 氷漬けのドラゴンに金属の台車のため、速度は遅い。

 ただし、デカイ牛と一緒にいるお陰か、魔物が近づいてくることは少なかった。

 それでも、まったくないというわけではない。

「ロック鳥だっ!」

 キッコリが気付いた。上空に全長十メートルくらいの巨大な鳥がいた。

 ワイバーンよりでかいかな?

「くそっ、こんな時に――あんなに高く飛ばれたらスラッシュも届かないぞ」

「届いたとしてもロック鳥の素早い速度ではまず遠距離攻撃は当たらん。僕の剣の届く範囲にまで降下してくれば、その時が奴の最期だ」

 インセとチュートゥが剣を抜いて警戒するけれど。

 鳥系の魔物なら、やっぱりあれだよな。

「ブーストサンダー」

 魔力ブーストによる巨大な雷攻撃が一直線にロック鳥を射貫いた。

 ロック鳥はそのまま落下、息絶えた。

【イチノジョウのレベルが上がった】

【平民スキル:エールⅡがエールⅢにスキルアップした】

【闇魔術師スキル:闇耐性(微)を取得した】

【光魔術師スキル:光耐性(微)を取得した】

【侍スキル:特攻確率UP(微)を取得した】

【アウトドアシェフスキル:乾燥を取得した】

 と、いろいろとレベルが上がった。

「はい、終わり。やっぱり鳥系は雷が弱点だな」

 あと、アウトドアシェフのスキルはやはり面白い。

 乾燥スキルは、植物などを効率よく乾燥させることができるスキルらしい。

 MPも消費するので、魔法とどう違うのかはわからないけれど、茶葉や薬草などを乾燥させるのに便利だ。

 干し肉を作るのにも便利そうなので、ハルのためにぜひ使ってあげたい。

 さて、落ちてきたロック鳥を解体するか?

 そう言おうとしたのだが、キッコリとインセが口を開けて俺のことを見ていた。

 チュートゥだけは「俺はわかっていたぞ」という雰囲気で不敵な笑みを浮かべていたが、しかし足が震えている。

「ん? どうした? 魔法が使えることはわかってただろ」

「威力がおかしいんだ! なんでロック鳥が雷一撃で倒されてるんだっ!」

「キッコリ、知らないのか? 鳥系の魔物は雷系の魔法が苦手なんだ」

「知らないのはお前のほうだっ! ロック鳥は雷雲の中も飛ぶ化け物鳥、その名の通り体が岩でできていて雷耐性が高いんだ!」

 並みの雷魔法では傷つけることはできない、そう言われた。

 あぁ……そうだったんだ。

 俺の雷魔法が並みの攻撃じゃないってことか。

「よし、このことは秘密で頼む。それより解体だ、解体! ロック鳥の肉って美味しいのか?」

「羽は芸術品の素材になるが、肉は硬くてあまりうまくないそうだ」

「そうか……じゃあ肉はペットの餌にするか」

 あれだけの巨体、デザートランナーの食事にするには十分だろう。

 羽を抜き取り、肉は適当にぶつ切りにして鞄の中に入れる。

 デザートランナーが食べるなら、わざわざ血抜きをする必要もないな。

「羽はキッコリが換金してくれ」

「ああ、そのくらいはやってやるよ。こっちは二度も命を助けられてるからな。兄ちゃんの口座に振り込めばいいのか?」

「なにいってるんだ? 俺が肉をもらったから、羽はキッコリたち三人で分けてくれって言ったんだぞ?」

「なっ!? それはいくらなんでももらいすぎだろ。これだけのロック鳥の羽なら、金貨二枚は下らんぞ!」

「そうだな、じゃあ俺がもらうものはあとで考えておくよ」

 俺が欲しいものは、金よりも情報なんだよな。

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