D仲間
今日は区切る場所難しかったので、長いの一話のみです
結局、新進気鋭の(元)冒険者グループは縛り上げ、俺ひとりで大森林近くの国境沿いの詰め所に連れていくこととなった。少し回り道だが、問題はあまりない。
詰め所で、俺が仕事を引き受けたことと食料の配給について何度も礼を言われたけれど、そのあたりは軽く返しておいた。
キッコリが言っていた通り、目を覚ました牛はおとなしくなっており、従順に氷漬けのドラゴンを運んでくれている。
この調子だと、今回のトラブルの時間による仕事の遅れも最小限で済むだろう。
しかし、問題は俺の職業だ。
無職……じゃないんだよな。
とりあえず平民のままにしているんだけれども、もう無職には戻せない。
無職だった頃に覚えたスキルはそのまま残っているので、職業は五つあるし、他人の職業を見たり、マイワールドに行くことに対して問題はない。
求職スキルも残っている。
とすると、問題は――
(あれ?)
問題は、ないのか?
そもそも、俺が無職であり続ける理由って、女神様に無職に関する情報を提供する、いわばモルモットみたいなもんだった。
それに、無職には、以前の《××××》みたいな意味不明なスキルを覚えるというリスクもある。とすると、むしろこれは喜ばしいことなのではないか?
職業はなんですか?
と聞かれて、困ることはもうないわけだ。
そうだ、このままでいこう。
どうせなら、平民のレベルをこのまま上げて、平民のレベル99を目指してもいいかもしれないな。
「……なぁ、イチノジョウさん。さっきまで落ち込んでいたと思ったら、今度は偉く上機嫌になってるようですが、本当に大丈夫ですか?」
「なんのことだ? 俺はとっても元気だぞ」
本心偽ることなく、インセプに返した。
いまではあの新進気鋭の(元)冒険者グループに礼を言いたいくらいだ。
犯罪職で得たスキルは漏れなくスキル整理により見えなくしたけれど、俺の中でしっかり残っている。危ないスキルもいろいろとあったが、しかし便利なスキルも多い。
たとえば、鳥の声というスキル。
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鳥の声:鑑定スキル【海賊レベル5・船乗りレベル5・魔物使いレベル5】
鳥の声を聞き分け、その意味を知ることができる。
スキルのレベルが上がるほど具体的な内容まで理解できるようになる。
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というスキルだ。一瞬、童話のようなスキルだと思ったが、実際は言葉として聞こえるわけではなく、この鳥の鳴き声の僅かな違いから、「嬉しい」「注意」「愛してる」などと感情をおおよそ理解できるだけだった。
船乗りが海鳥の声を聞いて嵐を予見する――とかそういうのに使うスキルなのだろう。
それでも、レベルを上げればさらにいろいろと理解できそうだ。
魔物使いレベル5ってことは、さっきの新進気鋭の(元)冒険者グループの奴も使えたのかな? あっちはマ物使いだからわからないなぁ。
それと、瞬殺についても名前だけ聞けば物騒だが、
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瞬殺:攻撃スキル【辻斬りレベル5・暗殺者レベル5・忍者レベル10】
一秒間限定で自身の速度が倍に、相手に与えるダメージが三倍になる。
クールタイム72時間
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というものだった。
ここぞと言うときに使えそうだが、逆に瞬殺スキルを持っている敵と戦うときは注意が必要だな。
むしろ、俺的に要らないスキルは、こっちの方か。
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肉体破壊:攻撃スキル【デスウォーリアレベル5・バーサーカーレベル15】
攻撃を与えた時、一定の確率で相手の肉体を破壊する。
肉体の破壊の度合いはダメージによって比例する。
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というものだった。よくわからないけれど、殴った相手の体がもれなくスプラッタ映像のようになりかねないため、封印は確実だろう。ミートソーススパゲティが食べられなくなりそうだからな。
スキルを確認し終えたところで、鷹の目で周囲を確認。
山はもう下り終え、荒野を東に進む。まっすぐ東にいけば、大量の牛っぽい動物の群れが北に向かっている一団と出くわしそうだ。
「キッコリ。東に水牛っぽい一団がいるけれど、このあたりにそういう魔物はいるか?」
「本当か? 全然見えないが、兄ちゃんが言うならそうなんだろうな。牛の大きさは?」
「このデカイ牛と違って普通の牛だな」
「数は?」
「かなり多い。十や百じゃないな」
「そりゃ、スーギューの群れの大移動。大きな沼や池、川とかで水草を食う水牛だよ。水地から水地へと移動しているんだ」
荷車をさらに進めると、そのスーギューの群れが見えてきた。
まだまだ離れているけれど、これは圧巻だな。
「今夜はステーキにするか?」
あれだけいるのなら、少しくらい間引いても問題ないと思う。
「一頭にでも手を出したら群れ全体で襲ってくるぞ。兄ちゃんなら余裕で倒せると思うが、スーギューがいないと川の水草が増えすぎて川が氾濫する危険が上がるからな。そっとしておいてやってくれ」
「確かに、無理に戦う必要はないか」
俺はキッコリの意見を尊重することにした。
「じゃあ、今日はここで野宿にするか。さすがに明日には群れもどこかに行ってるだろ」
「そうだな――よし、俺は燃やせるものを集めてくる」
「じゃあ、俺はその辺の食べられる野草でも集めるよ」
「僕はさっきの蛇を捌く」
キッコリ、インセプ、チュートゥが野営の準備を始めた。
薪や食べ物はアイテムバッグの中に大量にあるんだけど……でもこういう食事作りも悪くないか。
「じゃあ、俺はスーギューから逃げてきた小動物でも狩ろうか」
「いや、兄ちゃんはそこにいてくれ。護衛の仕事をおろそかにするわけにはいかんからな。チュートゥひとりだといざというときに対処できん」
「そうだな――わかった、じゃあ俺は水でも作ってるよ」
台車の中にあった空の壺があったので、プチウォーターで水を作った。
「凄いな。水汲みの手間が一気に省ける」
「便利だろ」
「ああ――そうだ、水浴びにも使えるんじゃないか?」
「水浴びか? 確かに気持ちいいが、体を洗うなら、浄化の魔法が使えるから、それを使ってやるよ」
「生活魔法かっ!? そういや、昨日も油を作ってたが、確かあれって生活魔法Ⅲのオイルクリエイトだったか」
「おっ、キッコリは詳しいんだな。ちなみに、生活魔法Ⅳってなにかわかるか?」
「そこまで詳しいってわけじゃないからな、知らないな」
どうやら、拠点帰還については知らないようだ。
なら、生活魔法Ⅴも知らないだろう。
「たしか五年くらい前に、ビッグ・セカンドって作家の本で読んだんだよ」
「ビッグ・セカンド先生の本って、もしかしてこっち系の本か?」
俺はそう言って、アイテムバッグから秘蔵の一冊を取り出した。
猫耳の女の子のイラストが描かれている本だ。
「なっ! それはニャンテンダー先生の幻の一作、『ねっこねこ学園』じゃないか! しかも三冊全部揃っているっ!」
「知ってるのか? っていうか、あいつ、そんなに有名なのか?」
「お前、もしかしてニャンテンダー先生を知っているのか?」
「知り合いというか、まぁ一度会ったことはある」
ダキャットの国境町でのことだ。
猫使い――いや、猫漫画使いだな。
ケット・シーに猫使いというネタ職業に変えられたことを恨みに持ち、ケット・シーのライバルである猫人族の人気をあげるためにこの本を描いていると言っていた。
「どんな人だった? 猫人族のイラストばかり描いて他の絵は一切描かない方だからな。きっと凄い信念を持って描いているんだろうな」
「……聞かない方がいいと思うぞ。夢が壊れる」
「そうか……そうだよな」
キッコリはそう言うと、台車の荷の中からボロボロになったDを持ってきた
それは、妖精を題材にしたDだった。
そうか、キッコリもDを好む人たちだったのか。そう思ったら、インセプとチョートゥもまたそれぞれのDを取り出した。
「兄ちゃんに話していなかったんだが、実は俺たちが意気投合したのは、兄ちゃんが試験に落ちた抗議をしに行った後、三人で合格祝いの打ち上げパーティをした時に全員がこれのことを好きだと知ってな」
「お前ら、そういう繫がりかよ。まぁ、女がいるパーティじゃ、こういう本で盛り上がることは絶対にできないからな」
俺もDT勇者鈴木もそういう点では苦労している。
「な、なぁ。ちょっとその本見せてくれないか?」
「いいぞ。その代わり、お前たちの本も見せてくれ」
こうして、俺たちは晩御飯の準備をそっちのけにして、Dの鑑賞会が始まったのだった。
「でも、こうしてみると、趣味がまるわかりになるな。キッコリさんが妹キャラ好きなのは意外だったけど、チュートゥはやっぱり不思議っ子好きかよ」
「不思議っ子ではない。なんでも、ビッグ・セカンド先生の書物によると、こういう人物はチューニ病というキャラらしいぞ」
「なんだ? 病気なのか?」
「精神的に卓越した者は一般人にとっては受け入れられるものがなく、病気としか表現するしかできなかった――と聞いたことがある。正しくは新人類と表現したほうがいいのだそうだ」
インセとチュートゥがそんなくだらない議論を始めた。
中二病ってそんな大それたもんじゃないぞ。
つまり、チュートゥの趣味は、マリーナってことか。
ただ、本の趣味か。
「とすると、インセはサキュバス好きなのか?」
「いいだろっ! サキュバスには夢がある。ああ、なんで俺はサキュバスのいる時代に生まれなかったのか」
「ん? サキュバスってもういないのか?」
「とっくの昔に滅んだって聞いたぞ。というか、サキュバスって、実はこんな美人な姉ちゃんじゃなく、幻影で美人に見えるだけだって聞いたことがある」
「幻影でも美人に見えるならそれでいいじゃないか。小人族に恋をするよりははるかにマシだろ」
「……そんなに変か? 小人族に恋をするのって」
俺がそう言うと、なぜか三人は黙った。
「そりゃな。イチノジョウ、小人族を見たことってあるか?」
「半小人族ならあるけど」
「どうだった?」
「そうだな、見た目は十歳くらいだったけど、実年齢は十七歳だった。可愛らしい女の子だよ」
「そりゃ半小人族だからな。小人族はそれより下。こういうセリフがある。『初対面の子供とおままごとをするとき、絶対に結婚の約束をしてはいけない。なぜならその子は成人した小人族の可能性があるからだ』ってな。四十歳くらいの女性でも、見た目は五、六歳の少女にしか見えんらしい」
「それは……なんとも凄い話だな」
たしか、キャロはお母さんが小人族で、お父さんが人間族だったと思う。
身長だけじゃなく、見た目も子供のままなのか。
「そういえば、俺の知り合いにもいたな。小人族に恋した人間族が」
「そうなのか?」
「ああ。ファイルって名前の気弱な野郎でな。行商に失敗して落ち込んでいたところを小人族の女に励まされて恋に落ちたんだってさ。三回告白して三回振られて、四回目の告白でようやく受け入れられたって話を聞いたよ。結婚してからは西大陸で行商人になったって手紙を何度か貰ったが、もうあれから何年経っただろうな」
キッコロは懐かしそうにそのファイルという男について語った。
ファイルの実家は、これからいくゴーツロッキーにあるらしいけど、詳しい家の場所はわかっていないだとか、あいつはエールは樽一杯飲んでも平気なくせにワインを一杯飲んだだけで悪酔いするんだとか、たわいのない話ばかりだった。
Dを読む手も止めて、俺はその話をキッコリから聞いていた。
が、そのとき、俺の腹の虫が食料の供給を要求してきた。
「もう準備はいいだろ――プチライトっ! プチファイヤ―乗せ」
光の玉を目の前に浮かべるな
「おぉ、明るいっ!」
「触るなっ!」
インセプが指先で光の玉に触れようとしたので、俺は大きな声で叫んだ。
それに、インセプは思わず指をひっこめた。
「わ、悪い。けど、そんなに怒鳴らなくても」
「いや、これ、結構危ないからな」
俺はそう言って、壺の中の水を少しすくって光の玉にかけた。
水が音を立てて湯気に変わり、天へと昇っていった。
「プチファイヤーと合わせてるから、かなり熱があるんだ」
「プチファイヤーと合わせてって、お前、そんなことできるのか? 魔法融合なんて聞いたこともないが、兄ちゃんがやっているとなると受け入れざるを得ないな」
キッコリが呆れて言った。
この融合魔法、実は密かに研究していたんだよな。
ベラスラでプチウォーターとプチファイヤーを組み合わせてお湯を作ったことがあった。
いまのところ、下級魔法でしか研究していないんだけど、俺が完成させた魔法は以下の通り。
・プチウォーター+プチファイヤー=ホットウォーター(お湯)
・プチライト+プチファイヤー=小さい太陽(熱い光の玉)
・プチライト+プチサンダー=閃光雷(弾ける光属性の雷)
・プチアイス+プチウォーター=氷結水(冷たい水)
・プチウィンド+プチファイヤー=火風刃(威力の高い炎の刃)
という感じだ。
ただ、この融合魔法、発動にちょっと時間がかかるうえ、魔法を連続で使うことができるには第二職業が必要なため、俺以外に使える人間はいない。
真里菜が見習い魔術師として成長すれば伝授したいと思っているけれど、大道芸人のあいつにかかればもっとすごい融合魔法を完成させるだろうからな。
「これをもっと下げることは可能か? 地面の上くらいに」
「ああ、できるぞ」
俺は炎の玉を下げた。
すると、チュートゥが台車の中から芋を持ってきた。
「おっ、焼き芋か。たしかにいいかもな。そうだ、焼きおにぎりもしようぜ」
「焼きおにぎり? なんだ、それ」
「まぁ、見てればわかるって」
俺はアイテムバッグから焚きたての御飯を取り出す。
第二職業をアウトドアシェフに変えておく。
そして、手を浄化してから、三角おにぎりを作って並べた。
「いま出したのはなんだ? 黒い……ソース? ペースト状の食べ物はうまいのか?」
「醤油と味噌だよ。俺の故郷の調味料だ」
「兄ちゃん、それは紙か?」
「アルミホイルだ。アルミニウムって金属を薄く延ばしたらこうなるんだよ」
そう言って、アルミホイルに醤油と味噌を塗ったおにぎりと、ついでに芋を包んで、火鋏で光の玉の中に入れた。
「なぁ、兄ちゃん。お前って本当は何者なんだ?」
「おっ、キッコリ、それはいい質問だな」
いままでは、こういう質問されるたびに実は無職であることを意識してしまい、本当に嫌で嫌で仕方なかった。
しかし、今の俺はこう言える。
「俺は俺だよ。なんにでもなれる可能性がある俺という存在なだけだ」
「……イチノジョウさん。それ、チュートゥみたいだぞ?」
「……そうか?」
たしかに、ちょっと臭かったかな。
臭さを誤魔化すため、アルミホイルを取り出した。
【イチノジョウのレベルが上がった】
アウトドアシェフのレベルが上がった。
当然、このままでは熱いので、暫く冷ます。
「そろそろいいだろ――あつっ!」
やはりというか、待つことができなかったインセプが最初に手を伸ばして痛い目にあっていた。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ。あつっ」
痛い目にあったばかりだというのに、焼きおにぎりのアルミを剥がすと、一気にかぶりついてまた舌を火傷していた。
「だからあわてるなって……って言っても、この匂いを嗅げばな」
「ああ、辛抱堪らん!」
「僕もいただこう」
三人は焼き芋よりも先に焼きおにぎりに手を伸ばした。
醤油と味噌の組み合わせ、アザワルドの人に合うかと心配だったが、
「兄ちゃん、なんだこれ、めっちゃうめぇぇっぞ」
「やばいっ! 本当にまじでやばいっ!」
「これは、まさに神より与えられし最上の糧っ!」
杞憂だったようだ。
俺も食べるか。
「うん、確かに外で食う焼きおにぎりって、家で食うのとはまた違った趣があるな」
「そういえば、ファイルも手紙の中で似たようなことを言っていたな。美味い酒を飲むには三つの条件があるって」
「三つの条件? あぁ、確かにそうだな。素材、製法、管理の三つだろ?」
「兄ちゃん、それは酒職人が美味い酒を造る条件だろ。ファイルが言ってたのは飲む側の条件だ」
……普通に間違えてしまった。
しかし、飲む側の条件?
美味い酒の肴とかか?
「『ひとつは環境。綺麗な景色を見てもいい。テーブルに一輪の花を活けるだけでも酒は美味くなる』」
たしかに、食事にも環境は大事だ。
星々を見ながらの食事はうまい。酒も同じだろう。
「『ひとつは大切な友と一緒に飲むことだ。どんなに美味い酒でもひとりで飲んだら、それを伝える相手がいなければ意味がない』」
それは食事にしたらわかるけど、酒なら……な。
ハルは酒に弱いし、キャロに酒を飲ませる気にはならなかった。
真里菜も酒は飲まないし。
「『最後に、嬉しいことがあったときに飲む酒が一番うまい』」
「まぁ、だいたいわかるよ。俺も、久しぶりに同人誌について語れて、まぁそこそこ気の置けないお前らと食べられる食事だからうまいと思ってるんだ」
「俺もだ――でも、この手紙には続きがあってな。ファイルの奴、なんでこんな話を始めたのかって思ったら、その後生まれたばかりの子供の自慢話を延々と続けるんだぜ。天使のようだとか、妻に似ているだとか、将来はきっと学者になるだとか。まだ生まれたばかりだっていうのにな」
「親バカだな。でも、親って大体そうなのかもしれないぞ。俺の親だって、妹が生まれた時は、そりゃもう大騒ぎでな……いや、確かに俺の妹は天才だったけどさ」
「おっ、イチノジョウさん、妹がいるんですか? キッコリに紹介したらどうです?」
「バカっ、俺が好きなのは同人誌の妹ってだけだ。イチノジョウも、真に受けるなよ」
「わかってるけど、まぁ機会があったら紹介するよ」
社交辞令としてでなく、本当にそう思った。
「にしても、ファイルの奴、元気にしてるのか?」
焼き芋まで食べ終わったキッコリが水を飲んで言った。
「『今度、遊びに来る』って手紙をくれたのにな。『娘の――を連れて』って」
キッコリが言ったことで、俺の手から芋が零れ落ちた。
「え? いまなんて言った」
「兄ちゃん、芋が落ちたぞ」
「芋はどうでもいい、なんて言ったんだ?」
「ん? 『今度遊びに来る』って手紙を――」
「その後だ」
「『娘のキャロルを連れて』……って、言ったんだけど、それがどうかしたのか?」
あぁ、そうか。
さっきから話に出てきたファイルって、男。
キャロルの父ちゃんのことだったのか。




