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成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
傭兵王国編

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無職でも刀鍛冶ならできます(前編)

「そういえば、鍛冶に必要なのは、鉄床と槌だけで、炉は必要ないんじゃないのか?」


 ドクスコに尋ねた。

 少なくとも、俺は鍛冶に炉や鋏など使ったことない。

 そんな設備がなくても剣を作ることができるので、便利だなぁと思ったものだ。


「炉で金属を熱したほうが、鍛冶スキルを使うときに槌で打つ回数が減るんだ。もっとも効果はすぐに切れるがな」

「そうなのか――でも俺には必要ないかな。で、なにを作ればいいんだ?」

「剣ならなにを作れる?」


 調べてみるか。

「ソードレシピオープン」

 と唱える。これで剣のレシピが確認できる。

……………………………………………………

・木の剣

・石の剣

・銅の剣

・青銅の剣

・鉄の剣

・鋼鉄の剣

・銀の剣

・金の剣

・竜の剣

・風の剣

・火の剣

・水の剣

・土の剣

・氷の剣

・刀

……………………………………………………

 だいぶ種類が増えているな。

 マイワールドで銀のアクセサリーとか作っているときに鍛冶レベルが微妙にあがっていたから覚えたのだろう。

 俺はドクスコに鍛えられる剣の種類を言った。

「なるほどな。よし、待っていろ」

 ドクスコはそう言うと、蒸し暑い部屋の中に俺を残してどこかに行った。

 ……本当に暑い。火耐性スキルを持っているけれど、効果はあるのだろうか?

「……プチアイス」

 威力を最低限に抑え、手の中に小さな氷の魔法を作り出した。あぁ、ひんやりする。

「待たせたな。これを使え」

 ドクスコが俺に渡した金属を見る。

 鉄のように見えるが、何か違う。

 金属鑑定で調べた。

「……玉鋼?」

「わかるのか? そうか、見習い錬金術師の金属鑑定か」

 ドクスコが俺に尋ねて、自分で納得した。

 その通りなので、特に否定も肯定もしない。

「これがあれば刀を作ることができるだろう?」

「えっと、ちょっと待ってくれ」

 刀に必要な素材を調べてみる。

……………………………………………………

・太刀

 玉鋼 鉄 木材

・刀

 玉鋼 鉄 木材

・脇差

 玉鋼 鉄 木材

・仕込み杖

 玉鋼 鉄 木材

……………………………………………………

 作れる刀は四種類か。なぜか仕込み杖が入っているのは気になる。

 素材の違いはないが、しかし消費する素材の量は異なるようだ。

「あと、鉄と木材が必要だが、それはこっちで用意できる」

 俺はそう言って、アイテムバッグの中から鉄のインゴットとオーク材を取り出した。

「見せてみろ……ほう、この鉄のインゴットは素晴らしい」

 キャロが手に入れた鉄鉱石から作った鉄の一部は売らずに残してあった。それだ。

「しかし、木材はダメだな」

「なんでだ?」

「オーク材は柔軟性に乏しいからな。船にはいいが鞘や柄にはむかん。ホオノキがあるからそれを使え」

「レシピでは木材とあるだけで種類の指定はないけど、木材によって変わるのか?」

「当然だ。ホオノキは扱いやすいが、他にもレシピにはないが、鞘に鮫皮を使えばよりいい刀ができる。まぁ、ここは山の中だから、滅多に手に入らんがな」

「鮫ならあるぞ?」

 アイテムバッグの中から鮫を丸ごと一頭取り出した。

「……これは見事な鮫だが、鮫皮というのはエイの皮のことだ。なんでこれを出した?」

 ぐっ、思わぬ恥を掻いた。

 鮫皮と言われて鮫を出したわけだが、鮫皮ってエイの皮なのか。

 これは翻訳スキルの弊害だな。

「あぁ、鮫はあとで酒のつまみにと思ってな。海から遠いから滅多に食べられないんだろ?」

「なるほど、そういうことか。しかしここに置いていたら傷んでしまうから、一度しまってくれ」

「わ、悪い」

「それにしても、これだけ大きな鮫を入れることができるとは。それもダイジロウの作品だな」

「わかるのか?」

「うむ、儂ももらったからな。あ、槌はこれを使え」

 ドクスコは腰につけている巾着型の袋から、大きな槌を取り出した。

 俺が持っているアイテムバッグとは形が違うが、確かに性能は市販されているものよりも遥かにいいようだ。

 魔道具屋で売っているアイテムバッグは高価なうえ、普通の鞄の数倍しか入らないみたいだからな。

 俺は鮫をしまいながら、ドクスコが取り出してくれた槌を構える。

 鉄製かと思ったが……鉄よりも遥かに重い。

 持ち上げてみたけれど、これ、重量挙げのバーベルより重いと思うぞ?

 150キロはあるんじゃないか?

「重鉄?」

 金属鑑定で聞いたこともない鉄の名前が出た。

「重力を操るグラビティゴーレムという魔物が落とす魔金属だ。普通の鉄の五倍の重さのある金属でな」

「魔金属か……」

 そりゃ聞いたことのない金属なわけだ。

 重力を操るゴーレムって、なんか凄いな。ハルみたいな素早さを前面に押し出して戦う剣士にはきつい相手かもしれない。

「よし、行くか」

 俺は素材を全て金床の上に置き、槌を持ち上げた。

 重い……が、今の俺のステータスならなんとか振るうことができそうだ。

「むっ、儂以外には扱えないと思っていたが、まさか重鉄ハンマーを持ち上げるとは」

「使えないと思うもん出すなよ」

 俺は文句を言いながら、ハンマーを金床へと振り下ろした。

 ぐっ、堅い。

「一度では無理か」

 青銅の剣や鋼鉄の剣は一度叩いただけで形になったが、これを見る限り刀はまだ完成には遠い。

 少なくともあと何回も叩かないといけないだろうが……暑いから早く出たいんだよな。よし、一発で終わらせるか。

「肉体ブーストっ!」

 俺は自分の肉体にブーストをかけた。

 これで一気に終わらせてやる。

電子書籍8巻の配信が今日よりスタートです。

そして、満を持してあれの書籍化が決定しました。

詳しくは活動報告にて。


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